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- 四季便り2015
2015.12.25
仕事がらか、毎年一年を振り返ってまず思い浮かぶのは「お天気」なのです。雨とか晴れとかも気になるのですが、特に記憶に残るのは台風が多かったとか少なかったとか、直撃されたとかされなかったとか…年の終わりになると何となくそんなことを考えたりします。
僕たちの住む岐阜県に関して言えば今年は大きな影響を受けることもなく、仕事に支障をきたすこともありませんでしたが、目を外に向けると大きな水害があったり、海外では渇水に苦しむ地域があったり、被害にあわれた方を思うと自分のところは大丈夫だからとのほほんともしてられないですね。
もう一つ、個人的なことで恐縮ですが…今年は久しぶりにちょっと長いお休みをいただき、2週間弱ヨーロッパに旅に出かけさせていただきました。旅の前半は中学3年生の息子と二人旅で、フランス、ノルマンディーの友人の家を訪ねました。ここは四季の家工房発足時に大工たちみんなで藁の家を建てに行ったフィリップの農園です。
あの時、藁の壁と屋根まで作った家が、その後いろいろな人の手を経て素敵な家になっていました。そこで息子はそのまま残ってファームステイ、僕は二泊程世話になってから何十年ぶりかの一人旅へ。サンドイッチをかじりながらレンタカーで走りまくって、見たかった建物を訪ねまくりました。
ロンシャンの礼拝堂(ロンシャン村)、新ポンピドー(メス市)、パサージュ・ギャラリー・ビビエンヌ(パリ)、プロムナード・プランテ(パリ)などなど、これまで行けそうで行けなかったところを堪能しました。
で、飛行機でポーランドへ。ポーランドの南部、チェコとの国境周辺には素晴らしい木造の教会や礼拝堂が数多く残っているのです。この教会や礼拝堂ですが、名の通った建築もあるのですが各町や村に当たり前のように点在している小さな建物で、ほとんどが「名もない建物」に近い存在なのです。
ですから情報もなかなか手に入らず、レンタカーで探しまくってたどり着くしか方法はないのです。見つかった時は、森の中で宝石を見つけたみたいな喜びです!それぞれが似てたり違ったり、大工の手跡がいっぱい残っていたり、見ていて本当に飽きないのです。
驚くのは軸組だけではなく、屋根も壁も装飾も、すべて木です。古い建物では15世紀に建てられた物が、修理やメンテナンスを施しながら現役で使われているのです。
そうやって技術を継承しているので、ポーランドの大工さんはヨーロッパ中で活躍しているとのことです。
ポーランドという国には何のイメージも持たずに行ったのですが、質実剛健な職人気質でありながら本質はすごく親切な国民性でした。何度も道を尋ねながらの旅だったのですが、言葉も通じない異邦人に、わざわざ英語ができる人を探しに行ったり電話かけてくれたり、とても丁寧に対応してくれる人が多かったのが印象的です。また行きたい国です。
すっかりリフレッシュさせていただき、アイディアやイメージもしっかり持って帰りました。フォローしてくれた仲間やお客様にもご理解をいただき、わがままさせていただきました。年の終わりにこの場を借りてお礼申し上げます。
僕たちの住む岐阜県に関して言えば今年は大きな影響を受けることもなく、仕事に支障をきたすこともありませんでしたが、目を外に向けると大きな水害があったり、海外では渇水に苦しむ地域があったり、被害にあわれた方を思うと自分のところは大丈夫だからとのほほんともしてられないですね。
もう一つ、個人的なことで恐縮ですが…今年は久しぶりにちょっと長いお休みをいただき、2週間弱ヨーロッパに旅に出かけさせていただきました。旅の前半は中学3年生の息子と二人旅で、フランス、ノルマンディーの友人の家を訪ねました。ここは四季の家工房発足時に大工たちみんなで藁の家を建てに行ったフィリップの農園です。
あの時、藁の壁と屋根まで作った家が、その後いろいろな人の手を経て素敵な家になっていました。そこで息子はそのまま残ってファームステイ、僕は二泊程世話になってから何十年ぶりかの一人旅へ。サンドイッチをかじりながらレンタカーで走りまくって、見たかった建物を訪ねまくりました。
ロンシャンの礼拝堂(ロンシャン村)、新ポンピドー(メス市)、パサージュ・ギャラリー・ビビエンヌ(パリ)、プロムナード・プランテ(パリ)などなど、これまで行けそうで行けなかったところを堪能しました。
で、飛行機でポーランドへ。ポーランドの南部、チェコとの国境周辺には素晴らしい木造の教会や礼拝堂が数多く残っているのです。この教会や礼拝堂ですが、名の通った建築もあるのですが各町や村に当たり前のように点在している小さな建物で、ほとんどが「名もない建物」に近い存在なのです。
ですから情報もなかなか手に入らず、レンタカーで探しまくってたどり着くしか方法はないのです。見つかった時は、森の中で宝石を見つけたみたいな喜びです!それぞれが似てたり違ったり、大工の手跡がいっぱい残っていたり、見ていて本当に飽きないのです。
驚くのは軸組だけではなく、屋根も壁も装飾も、すべて木です。古い建物では15世紀に建てられた物が、修理やメンテナンスを施しながら現役で使われているのです。
そうやって技術を継承しているので、ポーランドの大工さんはヨーロッパ中で活躍しているとのことです。
ポーランドという国には何のイメージも持たずに行ったのですが、質実剛健な職人気質でありながら本質はすごく親切な国民性でした。何度も道を尋ねながらの旅だったのですが、言葉も通じない異邦人に、わざわざ英語ができる人を探しに行ったり電話かけてくれたり、とても丁寧に対応してくれる人が多かったのが印象的です。また行きたい国です。
すっかりリフレッシュさせていただき、アイディアやイメージもしっかり持って帰りました。フォローしてくれた仲間やお客様にもご理解をいただき、わがままさせていただきました。年の終わりにこの場を借りてお礼申し上げます。
2015.12.16
土日×3回の合計6日間で開催中の美濃加茂市での住宅見学会も半分を過ぎ、残すところ今週末19日(土)、20日(日)のあと2日間だけとなりました。お越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。いつもながら予約制なので、わざわざお申し込みをいただいたりご希望の日程を調整させていただいたり、お手間を取らせてしまって本当に申し訳ございません。
でも、これには理由があって予約制にさせていただいているのです。まずは、建て主さんへの配慮…新築した大切なお宅をお借りしての見学会なので、これが何といっても一番肝心なところです。
例えば、不特定多数の方にご来場いただいたとして、万が一その中にわる〜い人、泥棒さんなんかが下見を目的に侵入したとしても、こちらとしてはそれを把握することはできないのです。あるいは、悪意はないにしてもヒヤカシ目的とか粗品目当てにみえる方もいるわけで、そういう人たちに「これから長く住む我が家」を見られることは、決して気持ちの良いことではないでしょう。
もう一つのポイントは…これは私たちの受け入れ態勢の問題でもあるのですが、お客様が何組も重なってご来場いただいた場合、個別に対応することができないのです。わざわざお越しいただきながら、しっかりとご説明ができないということは大変失礼なことですし、建物についいてどのようなご要望やイメージを持っているのかということも、会話の中からでないと感じ取ることができません。
今、見ているこのしつらいも、建て主さんのこのようなご要望があって、それをこんな風に提案して、さらに煮詰めて、このような形になったんです…ってふうなことをお話しすると、「なぁ〜るほど!」と納得していただけたりします。物のカタチってぱっと見のカッコ良さだけではなくて、そのカタチになった理由とか仕組みとかストーリーとか、そんなこんなを全部ひっくるめてデザインなので、そう言うところまで感じていただくためにはやはり会話が大切なんです。
中には黙って静かに見ていきたいって人もいるんじゃないかって?いえいえ、これまでの経験ではそういう方はほとんどみえません。わざわざ時間と労力を使って情報集めにみえるのですから、本気モードの方は少しでも多くの情報を収集できる見学会をご希望のことと思います。ですから僕たちも1組のお客様と集中してコミュニケーションが取れるよう、このような予約制はこの先も続けていきいたいと思っています。
そんなわけで、今週末の土日がラストです。お申し込みは専用フォーム、またはメールにてお願いします。見学のお土産…四季の家工房オリジナルの「まないた」も待ってます〜!
でも、これには理由があって予約制にさせていただいているのです。まずは、建て主さんへの配慮…新築した大切なお宅をお借りしての見学会なので、これが何といっても一番肝心なところです。
例えば、不特定多数の方にご来場いただいたとして、万が一その中にわる〜い人、泥棒さんなんかが下見を目的に侵入したとしても、こちらとしてはそれを把握することはできないのです。あるいは、悪意はないにしてもヒヤカシ目的とか粗品目当てにみえる方もいるわけで、そういう人たちに「これから長く住む我が家」を見られることは、決して気持ちの良いことではないでしょう。
もう一つのポイントは…これは私たちの受け入れ態勢の問題でもあるのですが、お客様が何組も重なってご来場いただいた場合、個別に対応することができないのです。わざわざお越しいただきながら、しっかりとご説明ができないということは大変失礼なことですし、建物についいてどのようなご要望やイメージを持っているのかということも、会話の中からでないと感じ取ることができません。
今、見ているこのしつらいも、建て主さんのこのようなご要望があって、それをこんな風に提案して、さらに煮詰めて、このような形になったんです…ってふうなことをお話しすると、「なぁ〜るほど!」と納得していただけたりします。物のカタチってぱっと見のカッコ良さだけではなくて、そのカタチになった理由とか仕組みとかストーリーとか、そんなこんなを全部ひっくるめてデザインなので、そう言うところまで感じていただくためにはやはり会話が大切なんです。
中には黙って静かに見ていきたいって人もいるんじゃないかって?いえいえ、これまでの経験ではそういう方はほとんどみえません。わざわざ時間と労力を使って情報集めにみえるのですから、本気モードの方は少しでも多くの情報を収集できる見学会をご希望のことと思います。ですから僕たちも1組のお客様と集中してコミュニケーションが取れるよう、このような予約制はこの先も続けていきいたいと思っています。
そんなわけで、今週末の土日がラストです。お申し込みは専用フォーム、またはメールにてお願いします。見学のお土産…四季の家工房オリジナルの「まないた」も待ってます〜!
2015.11.24
美濃加茂の現場がいよいよ佳境です。現在、左官屋さんが壁塗り作業を進めております。
壁の材料はすっかりおなじみになった、ホタテ貝の貝殻を原料とする「ほたて漆喰ライト」です。この材料はいくつもの魅力がありますが、調湿機能と消臭機能がおおきなふたつの柱です。
どのようにすごいかってことを言葉で伝えられたら良いのですが、それがなかなか難しくしっくりする言葉が浮かびません。住んでもらったらその気持ちよさは必ず納得していただけるはずなんですが…。
そこで…「まずは体感していただきたい!」ということで、見学会のご案内です。いつもと同じように完全予約制での開催となりますので、ご興味ある方は事前に四季の家工房までご連絡ください。予約制だと予定が立てにくいと言うご意見もありましたので、今回は全部で6日間ご用意しました。日程は以下の通りです。
キッチンや畳の小上りと関連付けて納めるのですが、出来上がったらまさに家の中心となるシンボリックなテーブルになると思います。
壁の材料はすっかりおなじみになった、ホタテ貝の貝殻を原料とする「ほたて漆喰ライト」です。この材料はいくつもの魅力がありますが、調湿機能と消臭機能がおおきなふたつの柱です。
どのようにすごいかってことを言葉で伝えられたら良いのですが、それがなかなか難しくしっくりする言葉が浮かびません。住んでもらったらその気持ちよさは必ず納得していただけるはずなんですが…。
そこで…「まずは体感していただきたい!」ということで、見学会のご案内です。いつもと同じように完全予約制での開催となりますので、ご興味ある方は事前に四季の家工房までご連絡ください。予約制だと予定が立てにくいと言うご意見もありましたので、今回は全部で6日間ご用意しました。日程は以下の通りです。
12月5日(土)〜6日(日)
12月12日(土)〜13日(日)
12月19日(土)〜20日(日)
時間は各日10:00〜16:00となりますので、ご希望のご見学日時をお知らせください。
さて、現場の方も仕上げ作業を進めてますが、工場の方でも家具の制作など最終工程の作業中です。これはダイニングテーブルになるタモの積層材ですが、厚みが4cm、幅が広いところで80cm、狭いところで50cm、長さが4.2mあって板の状態でもかなりの存在感です。12月12日(土)〜13日(日)
12月19日(土)〜20日(日)
時間は各日10:00〜16:00となりますので、ご希望のご見学日時をお知らせください。
キッチンや畳の小上りと関連付けて納めるのですが、出来上がったらまさに家の中心となるシンボリックなテーブルになると思います。
2015.11.13
先回の日記で耐震改修工事をしているって書きましたが、その続報です。内部の耐力壁の補強や新設工事はすべて完了したので、現在は引き続いて屋根の葺き替え工事を行っています。屋根の葺き替えだから耐震改修とは無関係…と思うでしょうがこれがおおいに関係があって、今回の耐震改修工事は「壁の補強」と「屋根の葺き替え」がセットになって一つの工事として完成するのです。
何故かと言うと…建物の耐震性を考える時には、建物の重量というのがとても重要な要素になります。人に例えるならば…「重たい荷物を担いだ人」と「何も担いでいない人」を比べると荷物を担いでいる人の方がふらふらするように、建物もできるだけ軽く仕上げた方が地震に対して有利になります。
特に屋根のように高い部分の仕上げ材が重たいと、建物の重心が高くなってその荷重を受け持つ柱や壁の負担が増えるわけです。で、重たい瓦を降ろして軽いガルバリウム鋼板に葺き替えることで建物の負担を減らし、ひいては壁の補強箇所もできるだけ少なくしましょう…と言うのが現代設計さんが立ててくれた耐震改修の方針です。
もし、瓦屋根のままでの耐震改修だったら、1階の壁はほとんど全ヶ所工事しなくてはいけないところだったのですが、屋根を軽くできたので収納部分だけの改修で納まりました。屋根の葺き替えは何と言っても天気と段取りの勝負です。3日続きの好天を狙って、瓦屋さんと板金屋さん、それと四季の家工房の大工とで、日程を調整した上で一気に作業を行います。
まずは1日目…瓦屋さんが瓦を撤去していきます。これもやたらとめくれば良いわけではなく、埃をたてて近隣に迷惑がかからないように一枚づつ丁寧にめくっていきます。
これが瓦をめくったところです。昔の家なので土を使って瓦を葺いています。土の下に見えているのは下葺き材の杉皮です。これらを撤去する時は細心の注意でやらないと、まわりに土ぼこりを振りまいたり、屋根の下の天井裏に土を落としたりしてしまいます。
なので、この作業は解体業者さんよりも瓦屋さんに頼んだ方が良いかと思います。まぁ、丁寧な解体業者さんもみえますので、一概には言えませんが…。
何故かと言うと…建物の耐震性を考える時には、建物の重量というのがとても重要な要素になります。人に例えるならば…「重たい荷物を担いだ人」と「何も担いでいない人」を比べると荷物を担いでいる人の方がふらふらするように、建物もできるだけ軽く仕上げた方が地震に対して有利になります。
特に屋根のように高い部分の仕上げ材が重たいと、建物の重心が高くなってその荷重を受け持つ柱や壁の負担が増えるわけです。で、重たい瓦を降ろして軽いガルバリウム鋼板に葺き替えることで建物の負担を減らし、ひいては壁の補強箇所もできるだけ少なくしましょう…と言うのが現代設計さんが立ててくれた耐震改修の方針です。
もし、瓦屋根のままでの耐震改修だったら、1階の壁はほとんど全ヶ所工事しなくてはいけないところだったのですが、屋根を軽くできたので収納部分だけの改修で納まりました。屋根の葺き替えは何と言っても天気と段取りの勝負です。3日続きの好天を狙って、瓦屋さんと板金屋さん、それと四季の家工房の大工とで、日程を調整した上で一気に作業を行います。
まずは1日目…瓦屋さんが瓦を撤去していきます。これもやたらとめくれば良いわけではなく、埃をたてて近隣に迷惑がかからないように一枚づつ丁寧にめくっていきます。
これが瓦をめくったところです。昔の家なので土を使って瓦を葺いています。土の下に見えているのは下葺き材の杉皮です。これらを撤去する時は細心の注意でやらないと、まわりに土ぼこりを振りまいたり、屋根の下の天井裏に土を落としたりしてしまいます。
なので、この作業は解体業者さんよりも瓦屋さんに頼んだ方が良いかと思います。まぁ、丁寧な解体業者さんもみえますので、一概には言えませんが…。
2日目は四季の家工房の大工仕事です。これが瓦をはずした後の野地板の状態です。ラッキーなことにこの建物…屋根の構造自体はとても状態が良く、野地板もほぼ傷んでいませんでした。中にはほとんど傷み切ってしまって上を歩くこともできないくらいの屋根もあるのですが、これだけしっかりしていると屋根上での作業もとてもはかどります。
何をやってる写真かと言うと、野地板同士が重なっている部分にノコ目を入れて平らに直したうえで、釘を打って固定する作業をしています。先ほどの写真のような土葺きの瓦屋根の場合は野地板面に多少のでこぼこがあったとしても土で均してしまって問題はなくなるので、昔の大工さんは野地板の長さを切ったりせず長いなりに重ねて打ち付けていることが多いです。まぁ、ちゃんと納まっているので手抜きって訳ではないですよ。
今回の改修ではガルバリウム鋼板の屋根に葺きかえるので、野地板面は極力不陸を作らず平滑にするのが大切で、そのための下地作りがこの写真です。この上に構造用合板を全面に張って、木工事は完了なのですが、その前にもうひとつ大事なことがあります。
これは垂木固定用の専用のビスです。今回の改修で屋根を軽くすることは耐震上とてもメリットがあるのですが、物事にはデメリットもついてくるものです。台風に焦点を当てると、反対に軽い屋根より重たい屋根の方が断然有利なのです。
よくニュース映像などで目にする「風で飛ばされた屋根」って言うのも、瓦屋根ではなく板金のような軽い屋根が多いですよね。今回、せっかく地震に対して丈夫な家に改修したのに、台風で飛ばされては意味がありません。そこで垂木を軒桁にがっちりと固定する必要があります。
以前は吹き上げ防止には「ひねり金物」と言う専用の金物をつけていたのですが、これを付けるためには野地板を一度めくらないと作業ができませんでした。しかも一ヵ所の金物につき釘が4本必要で、これがけっこう手間のかかる作業…時間と勝負のようなこのような改修工事では付けるのが本当に大変でした。
で、数年前に発売されたこのビスの出番なのです。これはメッキされた太めのビスで引き抜きにとても強く、しかもねじ込み時に木が割れないように先端がドリル加工されているという優れものなのです。あとは構造用合板を伏せて、下葺き材のゴムアスルーフィングと言うシートを敷きつめて、3日目の板金屋さんを待つばかりです。
さて、ちょっと具体的な数字にもふれておきますが、今回の葺き替えでどれだけ建物が軽くなったかそこが肝心です。まずは瓦の重さがおおよそ1㎡あたり40kg前後、それとほぼ同等な葺き土の重さをあわせて1㎡あたり80kgとします。新たに葺くガルバリウム鋼板はおよそ1㎡あたり5kg、それと構造用合板が比重0.7で計算したとして、さらに釘やらなんやらでおよそ10kg。80kg−15kgで1㎡あたり65kgのダイエットです。これに施工面積を掛けると65kg×115㎡=7475kg。なんと7トン以上のダイエットです!
あくまでも一般的な数字からの勘定なので実際の数字とは誤差がありますが、それにしてもすごい減量であることには間違いありません。今回直したのは2階の屋根で、来週も天気予報と相談しながら1階の屋根を直します。完了したらいよいよ補助金申請です!
何をやってる写真かと言うと、野地板同士が重なっている部分にノコ目を入れて平らに直したうえで、釘を打って固定する作業をしています。先ほどの写真のような土葺きの瓦屋根の場合は野地板面に多少のでこぼこがあったとしても土で均してしまって問題はなくなるので、昔の大工さんは野地板の長さを切ったりせず長いなりに重ねて打ち付けていることが多いです。まぁ、ちゃんと納まっているので手抜きって訳ではないですよ。
今回の改修ではガルバリウム鋼板の屋根に葺きかえるので、野地板面は極力不陸を作らず平滑にするのが大切で、そのための下地作りがこの写真です。この上に構造用合板を全面に張って、木工事は完了なのですが、その前にもうひとつ大事なことがあります。
これは垂木固定用の専用のビスです。今回の改修で屋根を軽くすることは耐震上とてもメリットがあるのですが、物事にはデメリットもついてくるものです。台風に焦点を当てると、反対に軽い屋根より重たい屋根の方が断然有利なのです。
よくニュース映像などで目にする「風で飛ばされた屋根」って言うのも、瓦屋根ではなく板金のような軽い屋根が多いですよね。今回、せっかく地震に対して丈夫な家に改修したのに、台風で飛ばされては意味がありません。そこで垂木を軒桁にがっちりと固定する必要があります。
以前は吹き上げ防止には「ひねり金物」と言う専用の金物をつけていたのですが、これを付けるためには野地板を一度めくらないと作業ができませんでした。しかも一ヵ所の金物につき釘が4本必要で、これがけっこう手間のかかる作業…時間と勝負のようなこのような改修工事では付けるのが本当に大変でした。
で、数年前に発売されたこのビスの出番なのです。これはメッキされた太めのビスで引き抜きにとても強く、しかもねじ込み時に木が割れないように先端がドリル加工されているという優れものなのです。あとは構造用合板を伏せて、下葺き材のゴムアスルーフィングと言うシートを敷きつめて、3日目の板金屋さんを待つばかりです。
さて、ちょっと具体的な数字にもふれておきますが、今回の葺き替えでどれだけ建物が軽くなったかそこが肝心です。まずは瓦の重さがおおよそ1㎡あたり40kg前後、それとほぼ同等な葺き土の重さをあわせて1㎡あたり80kgとします。新たに葺くガルバリウム鋼板はおよそ1㎡あたり5kg、それと構造用合板が比重0.7で計算したとして、さらに釘やらなんやらでおよそ10kg。80kg−15kgで1㎡あたり65kgのダイエットです。これに施工面積を掛けると65kg×115㎡=7475kg。なんと7トン以上のダイエットです!
あくまでも一般的な数字からの勘定なので実際の数字とは誤差がありますが、それにしてもすごい減量であることには間違いありません。今回直したのは2階の屋根で、来週も天気予報と相談しながら1階の屋根を直します。完了したらいよいよ補助金申請です!
2015.10.28
このところ、四季の家工房はありがたいことにお仕事をたくさんいただきまして、てんてこ舞いの日々が続いています。同時進行の現場が多いので大工もそれぞれの持ち場に散ってゆき、全員が顔を合わせることはめったにない状態です。そんな現場のあれやこれやを、ちょこっとご紹介いたします。
これは学習塾に納めさせていただいた壁一面の本棚です。この本棚は賃貸マンションの一室で個人経営の学習塾を営む先生からご依頼いただいたものです。この壁面はマンション隣室とを隔てる界壁部分なのですが、集合住宅の宿命で隣室からの生活音の音漏れの問題がありました。
特に子供達が勉強に来る時間帯と夕方の団欒の時間が重なることもあってテレビの音がどうしても気になり、集中の妨げにもなっていました。そこで、壁一面の本棚を設けて防音するということを思いつき四季の家工房にお問い合わせくださった…と言うのがご依頼の経緯です。
現地の下見とヒヤリングをさせていただいてまず思ったことは「本棚のみでは音の問題は解消できないだろう」ということと、賃貸マンションなので退去時の修復を考えると「ビスによる固定は現実的ではない」ということです。
で、音に関しては本棚背面にスポンジ状の吸音材を貼りつけて床から天井まで隙間なく防音する方法と、固定に関してはクサビを用いて天井にキズをつけずに固定する方法を考えました。理屈としては市販の「突っ張り棒」と同じなのですが、突っ張り棒より接地面を広くとることにより天井へのダメージを低減してあります。
こんな風にクサビを相向かいに差し込んでぎゅ〜っと効いたところで、ゆるみ防止のためクサビ同士をビスでつなげて固定完了…あとは板で天井とのすき間を隠せば完成です。
こういった家具を納める場合は、納めるところの床、壁、天井の精度が良くなくてもピッタリと納められるような工夫(「逃げ」とか呼んでますが…)を前もって検討しておくことが肝心です。
どんな精度の良い建物でも多少の波うちはあるものですが、今回の賃貸物件は結構誤差が大きくて…なんと天井高が右と左で3cm以上違いました。こういう仕事をするといつも思うのですが…自分たちが作った建物ももしかしたらいつか知らない職人さんが改造なり修繕なりすることもあるかもしれません。でもそういう時に笑われないような、しっかりした仕事を残したいものだなぁと思います。
こちらはトイレの手摺り取り付けです。この建物も僕たちが建てた建物ではないのですが、以前から外壁の塗り替えや浴室改修、物置設置など、ちょいちょい声を掛けていただいているお宅です。
今回は別居していたお母様が同居することになり、急遽、手摺りが必要になったのですが、お急ぎのところちょっとお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。
こちらのご主人はかねてから「うちは下地がちゃんと入っていないから物が取りつかん」とおっしゃってみえましたが、下地の多少はあれ何も無いということはないので、大概の場合何とかなるものです。木造住宅の場合、下地っていうのは石膏ボードを張る時にビスを打ち込むための木を示します。
たいていの場合、胴縁と呼ばれる細角材が横方向に入っていることが多いのですが、そのピッチは大工によって細かかったり粗かったりいろいろですし、柱に直に打ってある場合は縦ですし縦横に井桁状に入っていることもあります。石膏ボードの上から専用の道具を使って下地を探るのですが、大工の癖を読む勘どころのようなものも必要になります。
で、見つかった下地にビスが効くようにすればしっかりと取り付けることはできるのですが、今回の手摺り設置の場合、お母様の体格や動き等を考慮して手摺りの位置を決めるので、もともと入っている下地と付けたい位置がどうしても違ってくるのです。
そこで、写真のような2cm厚の板をまずは壁に取り付け、そこに手摺りを取り付けるようにしてあります。こうすれば狙った位置に手摺りが取りつきます。難点としては板厚分だけトイレが狭くなりますが、使い勝手を重視してこの納まりにしました。
なんだ??この写真は!…と思われるかもしれませんが、ここは耐震改修をしている現場です。自治体から補助をもらっての耐震改修は、着工までにいくつかのステップが必要になります。まずは、耐震診断を受けて現状を把握するところから始まりますが、これはほとんどの自治体で無償で受けられるはずです。
現状を把握して改修が必要となったら、次にやるのは改修計画の作成です。四季の家工房は設計事務所ではないので、現地調査、計算、計画策定、補助金の申請の代行などは現代設計さんにお願いしました。出来上がった計画に基づき見積りをして施工の説明、ご理解いただいたところで契約させていただき、ようやく着工です。
耐震改修ですからお住まいの住宅の壁を一部解体して、補強材や金物を取り付けた上で壁を元通りに復旧するのですが、現代設計さんの計画はとても合理的にできていて、壁の補強工事をする箇所は全て押入れや納戸など居室以外の部位で計画してくれました。そのためお客様の「寝・食・住」はこれまで通り続けていただけました。
まぁ、難点としては納戸に収納されたものを全て移動させてから作業するのですが、移動先の仮置き場がなくて仕方なくトラックに積んでは四季の家工房の作業場に運び、壁が復旧したらまた運び込む…という引越し屋さんのような作業がすご〜く多かったです。
で、この写真は何なんだ?ってことですが…これは壁を解体したところで発見したヘビの抜け殻です。頭の先から尻尾の先端まで完璧な形で残ってました。縁起ものだっていうんでこのニコニコ顔です!改修工事はまだまだ続いてます。来月は屋根の瓦を降ろして、板金に葺き替えます。これでかなりの荷重が減って、耐震上も有利になります。
これは美濃加茂で新築工事中の住宅の階段です。階段にしては短いと思われるでしょうが、これは踊場までの3段分です。四季の家工房でいつも気を遣っていることのひとつに、「階段の勾配をできるだけゆるく作りたい」ってことがあります。
これって簡単そうで実はけっこう難しいものなのです。…というのも、とっても広いスペースがあるなら話は別ですが、大抵の場合は限られたスペースに階段を納めなくてはいけないからです。
間取りづくりをしている時などに主な部屋に気が行き過ぎると、階段が後回しになって結局「狭くて急で暗い階段」…になってしまったりもします。三角形の廻り階段などは省スペースにはもってこいなのですが、これも安全性から言うと極力排除していきたいところです。
なので、ストレートに昇ると急になってしまう場合などは踊場をいくつかかませて、階段を折り曲げたり梁の高さを加減してみたりいろいろな工夫を凝らして作っています。
これが取り付け直後の階段です。親板(斜めの板)に踏板(水平の板)、蹴込み板(垂直の板)がクサビで強固に固定されています。
これは学習塾に納めさせていただいた壁一面の本棚です。この本棚は賃貸マンションの一室で個人経営の学習塾を営む先生からご依頼いただいたものです。この壁面はマンション隣室とを隔てる界壁部分なのですが、集合住宅の宿命で隣室からの生活音の音漏れの問題がありました。
特に子供達が勉強に来る時間帯と夕方の団欒の時間が重なることもあってテレビの音がどうしても気になり、集中の妨げにもなっていました。そこで、壁一面の本棚を設けて防音するということを思いつき四季の家工房にお問い合わせくださった…と言うのがご依頼の経緯です。
現地の下見とヒヤリングをさせていただいてまず思ったことは「本棚のみでは音の問題は解消できないだろう」ということと、賃貸マンションなので退去時の修復を考えると「ビスによる固定は現実的ではない」ということです。
で、音に関しては本棚背面にスポンジ状の吸音材を貼りつけて床から天井まで隙間なく防音する方法と、固定に関してはクサビを用いて天井にキズをつけずに固定する方法を考えました。理屈としては市販の「突っ張り棒」と同じなのですが、突っ張り棒より接地面を広くとることにより天井へのダメージを低減してあります。
こんな風にクサビを相向かいに差し込んでぎゅ〜っと効いたところで、ゆるみ防止のためクサビ同士をビスでつなげて固定完了…あとは板で天井とのすき間を隠せば完成です。
こういった家具を納める場合は、納めるところの床、壁、天井の精度が良くなくてもピッタリと納められるような工夫(「逃げ」とか呼んでますが…)を前もって検討しておくことが肝心です。
どんな精度の良い建物でも多少の波うちはあるものですが、今回の賃貸物件は結構誤差が大きくて…なんと天井高が右と左で3cm以上違いました。こういう仕事をするといつも思うのですが…自分たちが作った建物ももしかしたらいつか知らない職人さんが改造なり修繕なりすることもあるかもしれません。でもそういう時に笑われないような、しっかりした仕事を残したいものだなぁと思います。
こちらはトイレの手摺り取り付けです。この建物も僕たちが建てた建物ではないのですが、以前から外壁の塗り替えや浴室改修、物置設置など、ちょいちょい声を掛けていただいているお宅です。
今回は別居していたお母様が同居することになり、急遽、手摺りが必要になったのですが、お急ぎのところちょっとお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。
こちらのご主人はかねてから「うちは下地がちゃんと入っていないから物が取りつかん」とおっしゃってみえましたが、下地の多少はあれ何も無いということはないので、大概の場合何とかなるものです。木造住宅の場合、下地っていうのは石膏ボードを張る時にビスを打ち込むための木を示します。
たいていの場合、胴縁と呼ばれる細角材が横方向に入っていることが多いのですが、そのピッチは大工によって細かかったり粗かったりいろいろですし、柱に直に打ってある場合は縦ですし縦横に井桁状に入っていることもあります。石膏ボードの上から専用の道具を使って下地を探るのですが、大工の癖を読む勘どころのようなものも必要になります。
で、見つかった下地にビスが効くようにすればしっかりと取り付けることはできるのですが、今回の手摺り設置の場合、お母様の体格や動き等を考慮して手摺りの位置を決めるので、もともと入っている下地と付けたい位置がどうしても違ってくるのです。
そこで、写真のような2cm厚の板をまずは壁に取り付け、そこに手摺りを取り付けるようにしてあります。こうすれば狙った位置に手摺りが取りつきます。難点としては板厚分だけトイレが狭くなりますが、使い勝手を重視してこの納まりにしました。
なんだ??この写真は!…と思われるかもしれませんが、ここは耐震改修をしている現場です。自治体から補助をもらっての耐震改修は、着工までにいくつかのステップが必要になります。まずは、耐震診断を受けて現状を把握するところから始まりますが、これはほとんどの自治体で無償で受けられるはずです。
現状を把握して改修が必要となったら、次にやるのは改修計画の作成です。四季の家工房は設計事務所ではないので、現地調査、計算、計画策定、補助金の申請の代行などは現代設計さんにお願いしました。出来上がった計画に基づき見積りをして施工の説明、ご理解いただいたところで契約させていただき、ようやく着工です。
耐震改修ですからお住まいの住宅の壁を一部解体して、補強材や金物を取り付けた上で壁を元通りに復旧するのですが、現代設計さんの計画はとても合理的にできていて、壁の補強工事をする箇所は全て押入れや納戸など居室以外の部位で計画してくれました。そのためお客様の「寝・食・住」はこれまで通り続けていただけました。
まぁ、難点としては納戸に収納されたものを全て移動させてから作業するのですが、移動先の仮置き場がなくて仕方なくトラックに積んでは四季の家工房の作業場に運び、壁が復旧したらまた運び込む…という引越し屋さんのような作業がすご〜く多かったです。
で、この写真は何なんだ?ってことですが…これは壁を解体したところで発見したヘビの抜け殻です。頭の先から尻尾の先端まで完璧な形で残ってました。縁起ものだっていうんでこのニコニコ顔です!改修工事はまだまだ続いてます。来月は屋根の瓦を降ろして、板金に葺き替えます。これでかなりの荷重が減って、耐震上も有利になります。
これは美濃加茂で新築工事中の住宅の階段です。階段にしては短いと思われるでしょうが、これは踊場までの3段分です。四季の家工房でいつも気を遣っていることのひとつに、「階段の勾配をできるだけゆるく作りたい」ってことがあります。
これって簡単そうで実はけっこう難しいものなのです。…というのも、とっても広いスペースがあるなら話は別ですが、大抵の場合は限られたスペースに階段を納めなくてはいけないからです。
間取りづくりをしている時などに主な部屋に気が行き過ぎると、階段が後回しになって結局「狭くて急で暗い階段」…になってしまったりもします。三角形の廻り階段などは省スペースにはもってこいなのですが、これも安全性から言うと極力排除していきたいところです。
なので、ストレートに昇ると急になってしまう場合などは踊場をいくつかかませて、階段を折り曲げたり梁の高さを加減してみたりいろいろな工夫を凝らして作っています。
これが取り付け直後の階段です。親板(斜めの板)に踏板(水平の板)、蹴込み板(垂直の板)がクサビで強固に固定されています。
柱に階段の親板をはめ込むための溝を彫っています。この住宅は主に細沢が担当して、外の大工は手が空いた時に応援に駆けつけたり、工場で加工した材料を運んだりしてバックアップしています。
写真には出てきませんが、この階段は踊り場が3か所もあるんですよ。それがどれだけ昇り降りを安全かつ楽にしているか…ぜひ見学会で体感してみてください。見学会は12月になると思いますが、またご案内をさせていただきますのでどうぞお楽しみに!
写真には出てきませんが、この階段は踊り場が3か所もあるんですよ。それがどれだけ昇り降りを安全かつ楽にしているか…ぜひ見学会で体感してみてください。見学会は12月になると思いますが、またご案内をさせていただきますのでどうぞお楽しみに!
2015.10.09
現場で上棟作業を行う時には、僕たちの頭の中では全ての仕上げがイメージできています。これがイメージできないと、現代の芯壁の家は作れません。
昔の家は間取りや納まりもほぼ約束事が決まっていて、常に同じ流れに従って作業を進めれば大きくはずすことなく建物を完成させることができました。これは大工に限ったことでなく、大工が作った屋根に瓦屋さんが瓦を葺くのも左官屋さんが壁を付けるのも、おおむね共通認識の寸法や納まりによって作業が進むので、極端な言い方をすれば何の打ち合わせもなく進めることもできるくらいでした。
伝統って言うのはこういうことで、現場の中で培われたノウハウの集約みたいなものだと思います。それこそ一朝一夕には作ることのできない素晴らしい積み重ねです。僕たちにもそうした知識や技術の流れはあるのですが、現代の建築はそれだけではなく現代の要求や規制などに対応した作り方が要求されます。
で、非常に難しくなっているのが、「芯壁」という昔のようなイメージで木を活かした作り方と、現代要求される耐震・台風・断熱・気密などの基準を満たした作り方を両立させることです。例えば、昔の建物には金物やスジカイはなかったので、柱と柱の間には木舞という竹を組んでそこに土壁を塗り込んでいけばよかったのですが、現代の建物はそこに金物や断熱材さらには配管・配線などいろいろな要素が絡み合ってきます。
又、柱には背割りという縦方向の鋸目が入っていて(これは材木の乾燥の収縮割れを逃がすための措置です)、これを見えかかりにするわけにはいかないので壁内に向けるのですが、よほど考えておかないとスジカイや金物が取りつかなくなってしまいます。
もともと、現在の一般的な木造住宅の標準的な仕様は「大壁」を基本としていて、金物メーカーが出している国の認定を受けた金物もほとんど「大壁」前提なので、これを芯壁に適切に納めようとすると本当に大変なのです。
そんなところも先日の構造見学会ではご覧になっていただきました。
昔の家は間取りや納まりもほぼ約束事が決まっていて、常に同じ流れに従って作業を進めれば大きくはずすことなく建物を完成させることができました。これは大工に限ったことでなく、大工が作った屋根に瓦屋さんが瓦を葺くのも左官屋さんが壁を付けるのも、おおむね共通認識の寸法や納まりによって作業が進むので、極端な言い方をすれば何の打ち合わせもなく進めることもできるくらいでした。
伝統って言うのはこういうことで、現場の中で培われたノウハウの集約みたいなものだと思います。それこそ一朝一夕には作ることのできない素晴らしい積み重ねです。僕たちにもそうした知識や技術の流れはあるのですが、現代の建築はそれだけではなく現代の要求や規制などに対応した作り方が要求されます。
で、非常に難しくなっているのが、「芯壁」という昔のようなイメージで木を活かした作り方と、現代要求される耐震・台風・断熱・気密などの基準を満たした作り方を両立させることです。例えば、昔の建物には金物やスジカイはなかったので、柱と柱の間には木舞という竹を組んでそこに土壁を塗り込んでいけばよかったのですが、現代の建物はそこに金物や断熱材さらには配管・配線などいろいろな要素が絡み合ってきます。
又、柱には背割りという縦方向の鋸目が入っていて(これは材木の乾燥の収縮割れを逃がすための措置です)、これを見えかかりにするわけにはいかないので壁内に向けるのですが、よほど考えておかないとスジカイや金物が取りつかなくなってしまいます。
もともと、現在の一般的な木造住宅の標準的な仕様は「大壁」を基本としていて、金物メーカーが出している国の認定を受けた金物もほとんど「大壁」前提なので、これを芯壁に適切に納めようとすると本当に大変なのです。
そんなところも先日の構造見学会ではご覧になっていただきました。
2015.10.06
美濃加茂の建物の現在の様子です。この住宅は木造の構造がそのまま見える「真壁」の家です。「真壁」というのは、昔の民家のように柱と柱の間に壁を設け、柱はそのまま見えかかりになる作り方です。(ちなみに…「真壁」も「芯壁」も同じ意味です。)
四季の家工房は全員が大工なものですから、個人的にはできるだけ木を見せた作り方が好きなのです。ただ、好きな作り方をお客様に押し付けるつもりは全然ありませんので、全面を壁ですっぽり覆った「大壁」の家も作りますし、「大壁」には大壁の良さがあるので偏ることなくご提案しています。
…とは言うものの、こうしたテイストが支持されて新しいお客様とのご縁ができる場合も多いので、施工事例としても「芯壁(真壁)」の家が多くなるのです。
で、今回の建物ですが…芯壁の比率がとても高い内容になっていて、収納やトイレの一部が大壁になる以外は、ほぼすべて芯壁おさまりです。そして、柱だけではなく、ほぼ全ての梁も見えかかりになるという、本当に木がたくさん見える建物になります。「隠せない」ということは、神経を使うポイントがとっても多くなります。「汚さない」「キズつけない」は当たり前ですが、まずは木の選定から始めなくてはなりません。
使用する材木の等級としては「特一(とくいち)」と呼ばれる、まぁ一般的な木材です。本来は大壁で覆ってしまうことを前提とした材木ですので、構造上は問題にならない程度の節や欠けなども当たり前に混在します。これを何も考えずに使ってしまうと、例えばリビングの一番目立つところに大きな節が出てしまったり、出入り口などの通常手で触るであろうところに危険なささくれが出てしまったりします。
節がいやなら本格的な和室に使う「無節」と言う等級の材木を発注すれば良いのですが、それでは何倍も高いものになってしまいます。なので、「特一」をすべて手作業で検品して使う位置や方向を決める「番付」と言う作業をするのですが、これがなかなか大変な作業でして…一手間と言ってしまうにはちょっとヘビーな工程になります。
なにせ12cm×12cm×3mの柱の山が3山くらい、それをばらしながらめぼしい材木をピックアップしていくのですが、全部広げられるような場所もなく、山を崩しては積み、積んでは崩すと言う繰り返しで、主だった部屋の優先順位の高いところから使用材木を決めていきます。二人がかりでほぼ一日かかって、へとへとになりながらの作業となります。
「特一」という、まぁ並みのグレードの材木なので、いいものが多く出ることもあればそうでないこともあります。いずれの場合も「できるだけ適材適所に活かしたい」という思いでやってます。
あれ、現場の進捗がほとんど書けませんでした。また次回!
四季の家工房は全員が大工なものですから、個人的にはできるだけ木を見せた作り方が好きなのです。ただ、好きな作り方をお客様に押し付けるつもりは全然ありませんので、全面を壁ですっぽり覆った「大壁」の家も作りますし、「大壁」には大壁の良さがあるので偏ることなくご提案しています。
…とは言うものの、こうしたテイストが支持されて新しいお客様とのご縁ができる場合も多いので、施工事例としても「芯壁(真壁)」の家が多くなるのです。
で、今回の建物ですが…芯壁の比率がとても高い内容になっていて、収納やトイレの一部が大壁になる以外は、ほぼすべて芯壁おさまりです。そして、柱だけではなく、ほぼ全ての梁も見えかかりになるという、本当に木がたくさん見える建物になります。「隠せない」ということは、神経を使うポイントがとっても多くなります。「汚さない」「キズつけない」は当たり前ですが、まずは木の選定から始めなくてはなりません。
使用する材木の等級としては「特一(とくいち)」と呼ばれる、まぁ一般的な木材です。本来は大壁で覆ってしまうことを前提とした材木ですので、構造上は問題にならない程度の節や欠けなども当たり前に混在します。これを何も考えずに使ってしまうと、例えばリビングの一番目立つところに大きな節が出てしまったり、出入り口などの通常手で触るであろうところに危険なささくれが出てしまったりします。
節がいやなら本格的な和室に使う「無節」と言う等級の材木を発注すれば良いのですが、それでは何倍も高いものになってしまいます。なので、「特一」をすべて手作業で検品して使う位置や方向を決める「番付」と言う作業をするのですが、これがなかなか大変な作業でして…一手間と言ってしまうにはちょっとヘビーな工程になります。
なにせ12cm×12cm×3mの柱の山が3山くらい、それをばらしながらめぼしい材木をピックアップしていくのですが、全部広げられるような場所もなく、山を崩しては積み、積んでは崩すと言う繰り返しで、主だった部屋の優先順位の高いところから使用材木を決めていきます。二人がかりでほぼ一日かかって、へとへとになりながらの作業となります。
「特一」という、まぁ並みのグレードの材木なので、いいものが多く出ることもあればそうでないこともあります。いずれの場合も「できるだけ適材適所に活かしたい」という思いでやってます。
あれ、現場の進捗がほとんど書けませんでした。また次回!
2015.10.02
美濃加茂の構造見学会にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。まだ骨組みの状態なので入っただけではどこが何のスペースなのかピンと来なかったかと思いますが、図面と照らし合わせながら「ここがキッチンで、ここで食べて、ここにこんな家具が作り付けられて…」なんて身振り手振り交えてイメージを膨らませてもらいました。
そして今回の見学会の見どころとして、骨組みである木構造と専用金物による補強、通気の仕組み、隙間風防止の対処など、完成してからでは見えなくなってしまう重要なポイントをご覧いただけたかと思います。次回は完成見学会でお待ちしております。
さて、現場の現在の状態ですが、上棟後、屋根と外壁の防水措置を済ませ、現在は内部の造作に進んでいます。防水措置でいつも特に神経を使っているのが、窓廻りと換気扇などの外壁貫通部分です。もちろん、屋根からは雨漏りしないのは大前提ですが、講習会などで不具合事例などを聞いていると、ほとんどの漏水事故は外壁との取り合い部分からだそうです。
この日記でも何回もふれていますが、まずはサッシを取り付ける前に下端の防水処理をしてからサッシを取り付けて、下端を片面防水テープで押え、両縦、上端の順番で両面防水テープを貼りつけて左右、上部の防水シートを両面テープで押えていきます。
こうすることで、台風などの風圧で万が一外壁仕上げ材の中に入った雨水が窓の中に入ることなく下に落ち、外壁の下部に設けた水切り板金で基礎外側に排水されるような仕組みを作っています。
ここまでは施工マニュアルや施工技術の参考書などにも出ているので、丁寧な建築屋さんだったら皆さんやっていることです。そこで、四季の家工房ではもうひと手間加えてみることにしました。
それがこちらなのですが、外壁の下地材にひと工夫してみました。横に付けてある桟は桧の胴縁と呼ばれる部材で、ここにこの建物の場合はガルバリウム鋼板の角波板を取り付けて仕上げるのですが、この横桟の下に小さな木片を挟んであります。
この木片で横桟を浮かすことにより、前述の台風時などの雨水の外壁内への浸入があっても、この浮かせた隙間から速やかに排水されて、更に通期も促して乾燥させるという作りにしてみました。
次回は、内部造作の様子をお伝えできる…かな?
そして今回の見学会の見どころとして、骨組みである木構造と専用金物による補強、通気の仕組み、隙間風防止の対処など、完成してからでは見えなくなってしまう重要なポイントをご覧いただけたかと思います。次回は完成見学会でお待ちしております。
さて、現場の現在の状態ですが、上棟後、屋根と外壁の防水措置を済ませ、現在は内部の造作に進んでいます。防水措置でいつも特に神経を使っているのが、窓廻りと換気扇などの外壁貫通部分です。もちろん、屋根からは雨漏りしないのは大前提ですが、講習会などで不具合事例などを聞いていると、ほとんどの漏水事故は外壁との取り合い部分からだそうです。
この日記でも何回もふれていますが、まずはサッシを取り付ける前に下端の防水処理をしてからサッシを取り付けて、下端を片面防水テープで押え、両縦、上端の順番で両面防水テープを貼りつけて左右、上部の防水シートを両面テープで押えていきます。
こうすることで、台風などの風圧で万が一外壁仕上げ材の中に入った雨水が窓の中に入ることなく下に落ち、外壁の下部に設けた水切り板金で基礎外側に排水されるような仕組みを作っています。
ここまでは施工マニュアルや施工技術の参考書などにも出ているので、丁寧な建築屋さんだったら皆さんやっていることです。そこで、四季の家工房ではもうひと手間加えてみることにしました。
それがこちらなのですが、外壁の下地材にひと工夫してみました。横に付けてある桟は桧の胴縁と呼ばれる部材で、ここにこの建物の場合はガルバリウム鋼板の角波板を取り付けて仕上げるのですが、この横桟の下に小さな木片を挟んであります。
この木片で横桟を浮かすことにより、前述の台風時などの雨水の外壁内への浸入があっても、この浮かせた隙間から速やかに排水されて、更に通期も促して乾燥させるという作りにしてみました。
次回は、内部造作の様子をお伝えできる…かな?
2015.09.16
地盤改良を施工した美濃加茂市の現場の状況をお知らせします。
前回の写真からちょこっとさかのぼるのですが…この写真は「捨てコン」とか「均しコンクリート」とか呼ばれている、基礎の外周に沿って厚さ5センチほどのコンクリートを打設したものです。
「捨て」とか言うとちょっと聞こえは悪いのですが、何のためのコンクリートかと言うと「基礎位置の印(墨と呼んでます)を正確につける」ことと「コンクリート打設用の型枠を正確かつしっかりと固定するため」の、定盤面となる平らな場を作るためのコンクリートです。
ここで注目してもらいたいことが二点あるのですが、まずは「捨てコン」を打設するために深く掘った筋掘りが外周だけでなく、内部にも3本ほど通っていることです。この筋掘りのおかげで鉄筋も深い位置に入れられるし、基礎の総高さも確保できるので丈夫な基礎が作れるのです。
なぜこの部分を深く掘り下げてまで丈夫にするかって言うと、この真上には1階と2階のスジカイの取りつく壁や、通し柱のある主要な構面が乗っかるのです。だからここでもひと手間かけて、基礎の形状をあえて複雑にしているのです。例えるならば、平べったいパンケーキより凹凸のあるワッフルの方が丈夫ですよね。そのイメージなのです。
もう一つの注目点は写真の左奥の方に立っている配管を見てください。これはトイレやお風呂などの排水の配管なのですが、一般的な木造住宅の工事ではこの「捨てコン」の上に転がすように配管することが多いと思います。しかし、実はここは主筋と言う重要な鉄筋が横切る位置で、ここに配管を転がすとどうしても主筋が途切れてしまうことになります。
四季の家工房では原則として基礎の構造を重視して、配管は「捨てコン」の下を通すようにして基礎の断面欠損が生じないようにしています。ただ、これにもいろいろと制約があって、排水の勾配が取れないような敷地と下水本管との位置関係の場合などは、基礎を貫通させる場合もあります。その場合も、主筋が途切れないように位置を検討して、配管周辺に鉄筋を増設して補強しています。
この鉄筋の写真は、ちょうど筋掘りした部分の立上り鉄筋が組みあがった状態です。筋掘りのおかげで深い位置に鉄筋が通っていることがわかります。ちょうどこの部分は、基礎の立ち上がりが切れる「人通口」と言う部分です。
「人通口」とは文字通り人が通るための開口部で、床下点検時に家の隅々まではって行けるように基礎のところどころに設けた開口で、木造住宅ではメンテナンス上とても大事な開口になります。
大事な開口ではありますが、基礎本体からするとたいへん大きな欠損部分と言わざるを得ません。そのために斜めの補強筋を入れて、力が流れるように配慮してあります。もし筋掘りが無かったら約15センチのコンクリートの薄い板で、しかも鉄筋もベース部分の一本ですべての力を受けることになるのですが、筋掘りのおかげで倍の30センチ、鉄筋も上下2本で支えることができるのです。もちろん具体的にどういう太さの鉄筋が何本いるかとかは僕では判断できないんで、計算して出してもらってます。
この写真でもう一点お知らせしたいのは、縦の鉄筋の上端が釣り針状に曲がっていることです。これも、木造住宅の基礎でここまでやっているのは少数派だと思います。地震などで大きな力がかかった時どのように破壊がおこるかと言うと、コンクリートが割れて鉄筋が飛び出そうとします。コンクリートと鉄筋が互いが絡みあってこそ耐力が出るのですが、バラバラになってしまっては個々の材料としては全く力を発揮しません。
なので、ここもひと手間でフックを作っています。ただ、このフック…実はまともに作ると今度は基礎の厚さとの兼ね合いで問題が出て来ちゃうのです。フックの曲げを最小で作ってもある程度の大きさになってしまうので、そのままだとフックの先端がコンクリートの外面にきわめて近くなってしまうのです。コンクリートのかぶり厚さと言うのですが、これが薄くなると鉄筋の劣化が早くなり、やがて錆びてコンクリートを破裂させるような不具合を呼んでしまうのです。
じゃあ、どうするか…フック部分を斜めにして、基礎の厚さの中心近くにすっぽり収まるようにしました。そんなこんな、見えなくなってしまうところの「ひと手間」「ふた手間」…ホント手間なんですが、ここで手を抜くわけにはいきません。「丈夫になれ、丈夫になれ」と念じるように作っているんです。せっかくなんで、ご紹介させていただきました。
で、この建物ですが、9月26日(土)と27日(日)の二日間、見学会を行います。実はこの日記ではまだ基礎ですが、つい数日前に上棟してきたところなのですよ。現場に行きっぱなしで日記の方が追いついていません〜。
四季の家工房の見学会は毎回予約制とさせていただいてます。お客様の大切なお宅を使わせていただくので、ヒヤカシはお断りなのです。そのかわり、ご予約の上でお越しいただいた方とはゆっくりお話ができるようにしますんで、本気で家づくりをお考えの方はどしどしお申込みください!!
前回の写真からちょこっとさかのぼるのですが…この写真は「捨てコン」とか「均しコンクリート」とか呼ばれている、基礎の外周に沿って厚さ5センチほどのコンクリートを打設したものです。
「捨て」とか言うとちょっと聞こえは悪いのですが、何のためのコンクリートかと言うと「基礎位置の印(墨と呼んでます)を正確につける」ことと「コンクリート打設用の型枠を正確かつしっかりと固定するため」の、定盤面となる平らな場を作るためのコンクリートです。
ここで注目してもらいたいことが二点あるのですが、まずは「捨てコン」を打設するために深く掘った筋掘りが外周だけでなく、内部にも3本ほど通っていることです。この筋掘りのおかげで鉄筋も深い位置に入れられるし、基礎の総高さも確保できるので丈夫な基礎が作れるのです。
なぜこの部分を深く掘り下げてまで丈夫にするかって言うと、この真上には1階と2階のスジカイの取りつく壁や、通し柱のある主要な構面が乗っかるのです。だからここでもひと手間かけて、基礎の形状をあえて複雑にしているのです。例えるならば、平べったいパンケーキより凹凸のあるワッフルの方が丈夫ですよね。そのイメージなのです。
もう一つの注目点は写真の左奥の方に立っている配管を見てください。これはトイレやお風呂などの排水の配管なのですが、一般的な木造住宅の工事ではこの「捨てコン」の上に転がすように配管することが多いと思います。しかし、実はここは主筋と言う重要な鉄筋が横切る位置で、ここに配管を転がすとどうしても主筋が途切れてしまうことになります。
四季の家工房では原則として基礎の構造を重視して、配管は「捨てコン」の下を通すようにして基礎の断面欠損が生じないようにしています。ただ、これにもいろいろと制約があって、排水の勾配が取れないような敷地と下水本管との位置関係の場合などは、基礎を貫通させる場合もあります。その場合も、主筋が途切れないように位置を検討して、配管周辺に鉄筋を増設して補強しています。
この鉄筋の写真は、ちょうど筋掘りした部分の立上り鉄筋が組みあがった状態です。筋掘りのおかげで深い位置に鉄筋が通っていることがわかります。ちょうどこの部分は、基礎の立ち上がりが切れる「人通口」と言う部分です。
「人通口」とは文字通り人が通るための開口部で、床下点検時に家の隅々まではって行けるように基礎のところどころに設けた開口で、木造住宅ではメンテナンス上とても大事な開口になります。
大事な開口ではありますが、基礎本体からするとたいへん大きな欠損部分と言わざるを得ません。そのために斜めの補強筋を入れて、力が流れるように配慮してあります。もし筋掘りが無かったら約15センチのコンクリートの薄い板で、しかも鉄筋もベース部分の一本ですべての力を受けることになるのですが、筋掘りのおかげで倍の30センチ、鉄筋も上下2本で支えることができるのです。もちろん具体的にどういう太さの鉄筋が何本いるかとかは僕では判断できないんで、計算して出してもらってます。
この写真でもう一点お知らせしたいのは、縦の鉄筋の上端が釣り針状に曲がっていることです。これも、木造住宅の基礎でここまでやっているのは少数派だと思います。地震などで大きな力がかかった時どのように破壊がおこるかと言うと、コンクリートが割れて鉄筋が飛び出そうとします。コンクリートと鉄筋が互いが絡みあってこそ耐力が出るのですが、バラバラになってしまっては個々の材料としては全く力を発揮しません。
なので、ここもひと手間でフックを作っています。ただ、このフック…実はまともに作ると今度は基礎の厚さとの兼ね合いで問題が出て来ちゃうのです。フックの曲げを最小で作ってもある程度の大きさになってしまうので、そのままだとフックの先端がコンクリートの外面にきわめて近くなってしまうのです。コンクリートのかぶり厚さと言うのですが、これが薄くなると鉄筋の劣化が早くなり、やがて錆びてコンクリートを破裂させるような不具合を呼んでしまうのです。
じゃあ、どうするか…フック部分を斜めにして、基礎の厚さの中心近くにすっぽり収まるようにしました。そんなこんな、見えなくなってしまうところの「ひと手間」「ふた手間」…ホント手間なんですが、ここで手を抜くわけにはいきません。「丈夫になれ、丈夫になれ」と念じるように作っているんです。せっかくなんで、ご紹介させていただきました。
で、この建物ですが、9月26日(土)と27日(日)の二日間、見学会を行います。実はこの日記ではまだ基礎ですが、つい数日前に上棟してきたところなのですよ。現場に行きっぱなしで日記の方が追いついていません〜。
四季の家工房の見学会は毎回予約制とさせていただいてます。お客様の大切なお宅を使わせていただくので、ヒヤカシはお断りなのです。そのかわり、ご予約の上でお越しいただいた方とはゆっくりお話ができるようにしますんで、本気で家づくりをお考えの方はどしどしお申込みください!!
2015.08.28
今年の夏休みはちょっと長くいただきました。長く休んでどうしたのかと言うと…フランスとポーランドに建物づくしの旅に出ておりました!本当はみんなで行きたかったのですが、進行中の2軒の新築住宅の工事を止めてしまうわけにもいかず、みんなには申し訳なかったのですが僕ひとりで行ってきました。仲間に感謝です。
この旅の話はまた別の機会にゆっくりと書くとして、先日の草刈りをした現場の現在の状態をお知らせします。なんの写真だか良く分からないと思いますが、この中央の白っぽくて丸い部分が柱状地盤改良の天端面の様子です。少々廻りの土がかぶってしまっていますが、この下に直径60cm×深さ約3.5mの改良体が入っています。
この敷地は昔の田んぼを埋め立てた土地なので、地盤面は多少固まっているもののその下には柔らかい層が続き、3.5m下に固い層がありました。この柱状地盤改良はその固い層に直接乗っかっています。要は、豆腐に箸を差して、お皿にかつんとぶつかっているイメージです。
地盤改良が終わったら、いよいよ本体工事の着工です。この写真は「丁張(ちょうはり)」と言って、杭と貫と言う水平の板で建物の外周を一回り大きく囲み、ここに建物の壁(基礎)の位置の印を釘で打って、その釘に糸を渡して空中に建物の平面図を原寸で作るわけです。
この丁張によってこれから作っていく建物の基準となる位置を示すことになるので、境界線からの離れ寸法や道路からの高さなどとっても慎重に扱わなくてはいけない作業となります。基礎屋さんと四季の家工房が立ち会って、何度も図面と照らし合わせながら建物の位置や間仕切り壁となる基礎の位置など確認を繰り返して、正確な丁張りが出来上がりました。
丁張りができたら、その糸を目印にしながら掘り方を始めます。今回は地盤改良を伴う工事なので、地盤改良の天端が基礎の下端の高さに合うように施工してあるのですが、その高さを確認しながらまずは重機で掘っていきます。
重機で掘りすぎてしまうとせっかくの地盤面が壊れてしまうので、丁寧に少しづつ掘って最後のひと掘りは人力で行います。この手間を惜しんで重機だけで掘ると、どうしても掘りすぎたり地盤面を荒らしたりするので大事なひと手間なのです。
掘り方が終わったら砕石を敷き込んで、ランマーという機械を使って敷き均した砕石に転圧をかけて、地盤面を固めていきます。写真の手前に見えているのがランマーです。工事現場でよく見かけると思いますが、バタバタやかましいアレです。やかましいので隣近所にはちょこっとのあいだご迷惑ではありますが、四季の家工房では基礎屋さんに必ずランマーを使って転圧するように指示しています。
最近はランマーを使わないでプレーターと言う小型の機械を使う基礎屋さんも多いのですが、これは四季の家工房では禁止しています。なぜかと言うと…プレーターでは表面は平らに固まるのですが、そもそも叩く力がほとんどない機械なので砕石の下の方はぜんぜん締め固まっていないのです。大切な建物を支える基礎の更に下を支える地盤面なのですから、この見えないところの手間が大切なのです。
砕石で地盤面が固まったら外周に型枠設置のための均しコンクリートを打設して、最後に地中からの湿気の上昇を遮断するための防湿シートを前面に敷いて、ようやくこれで地業が完了です。
今までは下に向かっての作業でしたが、ここからは上を目指しての作業になります。まずは鉄筋の組み立てです。
鉄筋はJIS規格のものを使用します。通常の木造住宅の場合は使用する鉄筋が13mmと10mmで、コンクリートとのなじみが良いように表面がでこぼこになったD13、D10というものを使用します。
ここでまた四季の家工房としてのこだわりなのですが、縦筋の上部がフック状に曲がっているのがわかりますでしょうか?一般的に木造住宅ではあまり行っていない加工なのですが、地震などで強い力が加わった時、このフックが天端の13mmの鉄筋をしっかり掴んでくれて、いざという時の強度アップにつながるはずです。手間がかかるところって、ホント、見えなくなってしまうところが多いです…。
鉄筋が組み終わったら、各部材の寸法や接合部の鉄筋と鉄筋の重なり長さの確認をします。これは基準があって、鉄筋の太さの40倍の重ね長さが必要とされていいます。したがって、10mmの鉄筋ならば40cm以上、13mmの鉄筋ならば52cm以上の重ね代が必要なのです。
自主検査が終わったら、瑕疵保険の保険会社の検査員さんによる検査を受けます。四季の家工房の場合はこの検査で指摘を受けたことは一度もありませんが、この鉄筋検査と上棟後の金物検査は義務となっております。今回も検査は無事OKだったので、次回はコンクリートの打設へと入ります。
それと、旅の話もどこかではさみますんで、お楽しみに!ポーランドの木造建築、すごかったですよ〜!!
この旅の話はまた別の機会にゆっくりと書くとして、先日の草刈りをした現場の現在の状態をお知らせします。なんの写真だか良く分からないと思いますが、この中央の白っぽくて丸い部分が柱状地盤改良の天端面の様子です。少々廻りの土がかぶってしまっていますが、この下に直径60cm×深さ約3.5mの改良体が入っています。
この敷地は昔の田んぼを埋め立てた土地なので、地盤面は多少固まっているもののその下には柔らかい層が続き、3.5m下に固い層がありました。この柱状地盤改良はその固い層に直接乗っかっています。要は、豆腐に箸を差して、お皿にかつんとぶつかっているイメージです。
地盤改良が終わったら、いよいよ本体工事の着工です。この写真は「丁張(ちょうはり)」と言って、杭と貫と言う水平の板で建物の外周を一回り大きく囲み、ここに建物の壁(基礎)の位置の印を釘で打って、その釘に糸を渡して空中に建物の平面図を原寸で作るわけです。
この丁張によってこれから作っていく建物の基準となる位置を示すことになるので、境界線からの離れ寸法や道路からの高さなどとっても慎重に扱わなくてはいけない作業となります。基礎屋さんと四季の家工房が立ち会って、何度も図面と照らし合わせながら建物の位置や間仕切り壁となる基礎の位置など確認を繰り返して、正確な丁張りが出来上がりました。
丁張りができたら、その糸を目印にしながら掘り方を始めます。今回は地盤改良を伴う工事なので、地盤改良の天端が基礎の下端の高さに合うように施工してあるのですが、その高さを確認しながらまずは重機で掘っていきます。
重機で掘りすぎてしまうとせっかくの地盤面が壊れてしまうので、丁寧に少しづつ掘って最後のひと掘りは人力で行います。この手間を惜しんで重機だけで掘ると、どうしても掘りすぎたり地盤面を荒らしたりするので大事なひと手間なのです。
掘り方が終わったら砕石を敷き込んで、ランマーという機械を使って敷き均した砕石に転圧をかけて、地盤面を固めていきます。写真の手前に見えているのがランマーです。工事現場でよく見かけると思いますが、バタバタやかましいアレです。やかましいので隣近所にはちょこっとのあいだご迷惑ではありますが、四季の家工房では基礎屋さんに必ずランマーを使って転圧するように指示しています。
最近はランマーを使わないでプレーターと言う小型の機械を使う基礎屋さんも多いのですが、これは四季の家工房では禁止しています。なぜかと言うと…プレーターでは表面は平らに固まるのですが、そもそも叩く力がほとんどない機械なので砕石の下の方はぜんぜん締め固まっていないのです。大切な建物を支える基礎の更に下を支える地盤面なのですから、この見えないところの手間が大切なのです。
砕石で地盤面が固まったら外周に型枠設置のための均しコンクリートを打設して、最後に地中からの湿気の上昇を遮断するための防湿シートを前面に敷いて、ようやくこれで地業が完了です。
今までは下に向かっての作業でしたが、ここからは上を目指しての作業になります。まずは鉄筋の組み立てです。
鉄筋はJIS規格のものを使用します。通常の木造住宅の場合は使用する鉄筋が13mmと10mmで、コンクリートとのなじみが良いように表面がでこぼこになったD13、D10というものを使用します。
ここでまた四季の家工房としてのこだわりなのですが、縦筋の上部がフック状に曲がっているのがわかりますでしょうか?一般的に木造住宅ではあまり行っていない加工なのですが、地震などで強い力が加わった時、このフックが天端の13mmの鉄筋をしっかり掴んでくれて、いざという時の強度アップにつながるはずです。手間がかかるところって、ホント、見えなくなってしまうところが多いです…。
鉄筋が組み終わったら、各部材の寸法や接合部の鉄筋と鉄筋の重なり長さの確認をします。これは基準があって、鉄筋の太さの40倍の重ね長さが必要とされていいます。したがって、10mmの鉄筋ならば40cm以上、13mmの鉄筋ならば52cm以上の重ね代が必要なのです。
自主検査が終わったら、瑕疵保険の保険会社の検査員さんによる検査を受けます。四季の家工房の場合はこの検査で指摘を受けたことは一度もありませんが、この鉄筋検査と上棟後の金物検査は義務となっております。今回も検査は無事OKだったので、次回はコンクリートの打設へと入ります。
それと、旅の話もどこかではさみますんで、お楽しみに!ポーランドの木造建築、すごかったですよ〜!!
2015.08.06
5月の日記でご紹介した、NPOぎふ楽しい家づくり研究会の「空き家活用プロジェクト」の現在の様子をお伝えします。その前に、プロジェクトの正式名称をお知らせしてませんでしたね…「街中の空家を活用して賑わいを作るプロジェクト」ってのが正式名称です。
さて、まずは6月に行われた「街中の空家を活用して賑わいを作るプロジェクト」の下見会ですが、思いのほかの反響で(個人・団体含めて)20グループの参加をいただきました。興味を持っていただいた方の人数にも驚きましたが、皆さん熱い思いやアイデアをお持ちで、予想をはるかに超えた盛り上がりとなりました。特に参加者同士の意見交換は大変な盛り上がりで、「あ、それ、コラボできますよねえ」なんて会話がそこかしこで…。そして、この模様が新聞やケーブルテレビなどでも紹介されて、更に盛り上がるのでした。
次に行ったイベントは、古い建物と付き合うために必ず必要とされるメンテナンスについて、ワークショップ形式で皆さんに体験していただこう、と言う企画です。第一回目は造園屋さんを講師に招いての「庭の手入れ編」、そして第二回目は四季の家工房から堀部と細沢を派遣しての「床張り編」です。
古い家なので床がぶかぶかになっていたりしましたが、そこのフローリングの張り直しを指導させていただきました。今回は床張りがテーマでしたが、古い家と付き合うためには多少の木工技術があるととても便利です。
例えば古い建物だと床が必ずしも水平とは限らないですし、壁もまっすぐではありません…と言うか、たいていは大なり小なりのゆがみがあります。そこにまっすぐな物を取り付けようとしても、すんなりとはいきません。
ちょっとコツがいったり、言葉は良くないかもしれませんがごまかし方の勘どころのようなものもあります。今回の床張りも、「ただまっすぐに切って張り並べるだけでは綺麗に納まらない」ってことを体感していただけたのではないかと思います。
僕は参加できなかったので実際のところは良く分かりませんが、「とても上手に指導してくれた」となかなかの好評をいただき、なんとかお役には立てたのかなっとホッとしてます。暑い中、皆さまご苦労様でした。
で、下見やワークショップでイメージを膨らませ、さらにプランを具体化した本気モードの4団体から正式な応募をいただき、先日公開プレゼンを開催いたしました。まさに、今回のプロジェクトの山場ともなるイベントです。
会場もいつもの古民家ではなく大垣のソフトピアジャパンの会議室を用意し、審査員には徳島県と長野県の町おこしで活躍するお二人と、この古民家のオーナーさんをお招きしました。
「エステ&断食道場」「ヨガ教室」「ドッグラン」「猫カフェ」…それぞれに特徴のあるテーマを熱く語っていただき、たいへん聞き応えがあるプレゼンでした。皆さん内容は全然違うんですけど、共通している部分もあって、それは思いを同じくする多くの仲間がいる…ということです。多くの人が集まって何か楽しいことをやろうと言う姿勢は、このプロジェクトのコンセプトでもある「賑わいを作る」という部分で、なくてはならない重要なポイントだと思います。
各団体の代表の方にプレゼンをしていただき、審査員からの質疑応答、全員のプレゼンが終わった時点で審査…という流れで審査会は行われました。テーマ自体のおもしろさも重要ですが、「建物がどのように活かされるか」「地域の賑わいにつながるか」「ビジネスとしてのプランや継続性はしっかりしているか」などなど審査項目は多岐にわたります。結果は後日書面にて郵送という形になりますのでここでは言えませんが、たぶんもう結果が届いている頃ではないかと思います。
次回のイベントは「町おこし成功事例の見学」ということで、徳島県神山町を訪問する一泊二日のバスツアーとなります…が、残念ながらあっと言う間に全席予約で埋まってしいまいました。古民家を活用するって動きは、岐阜県内でも個人単位ではすでに多くの事例がありますが、このような組織的な活動はたぶん前例がないでしょう。このプロジェクトがどのような形で進んでいくか、まだまだ分からないことはいっぱいありますが、今回の第一回目をモデルケースとして、各地で開催できれば良いと思います。
今回のプロジェクトはNPO岐阜・楽しい家づくり研究会の桐山さんの強力な牽引力で実現しました。なんかこの文章読んでると小野が頑張ってやっちゃってるみたいですが、実は傍らでお手伝いしている程度ですんで、そこんとこちょっと割り引いて読んでくださいね〜。
さて、まずは6月に行われた「街中の空家を活用して賑わいを作るプロジェクト」の下見会ですが、思いのほかの反響で(個人・団体含めて)20グループの参加をいただきました。興味を持っていただいた方の人数にも驚きましたが、皆さん熱い思いやアイデアをお持ちで、予想をはるかに超えた盛り上がりとなりました。特に参加者同士の意見交換は大変な盛り上がりで、「あ、それ、コラボできますよねえ」なんて会話がそこかしこで…。そして、この模様が新聞やケーブルテレビなどでも紹介されて、更に盛り上がるのでした。
次に行ったイベントは、古い建物と付き合うために必ず必要とされるメンテナンスについて、ワークショップ形式で皆さんに体験していただこう、と言う企画です。第一回目は造園屋さんを講師に招いての「庭の手入れ編」、そして第二回目は四季の家工房から堀部と細沢を派遣しての「床張り編」です。
古い家なので床がぶかぶかになっていたりしましたが、そこのフローリングの張り直しを指導させていただきました。今回は床張りがテーマでしたが、古い家と付き合うためには多少の木工技術があるととても便利です。
例えば古い建物だと床が必ずしも水平とは限らないですし、壁もまっすぐではありません…と言うか、たいていは大なり小なりのゆがみがあります。そこにまっすぐな物を取り付けようとしても、すんなりとはいきません。
ちょっとコツがいったり、言葉は良くないかもしれませんがごまかし方の勘どころのようなものもあります。今回の床張りも、「ただまっすぐに切って張り並べるだけでは綺麗に納まらない」ってことを体感していただけたのではないかと思います。
僕は参加できなかったので実際のところは良く分かりませんが、「とても上手に指導してくれた」となかなかの好評をいただき、なんとかお役には立てたのかなっとホッとしてます。暑い中、皆さまご苦労様でした。
で、下見やワークショップでイメージを膨らませ、さらにプランを具体化した本気モードの4団体から正式な応募をいただき、先日公開プレゼンを開催いたしました。まさに、今回のプロジェクトの山場ともなるイベントです。
会場もいつもの古民家ではなく大垣のソフトピアジャパンの会議室を用意し、審査員には徳島県と長野県の町おこしで活躍するお二人と、この古民家のオーナーさんをお招きしました。
「エステ&断食道場」「ヨガ教室」「ドッグラン」「猫カフェ」…それぞれに特徴のあるテーマを熱く語っていただき、たいへん聞き応えがあるプレゼンでした。皆さん内容は全然違うんですけど、共通している部分もあって、それは思いを同じくする多くの仲間がいる…ということです。多くの人が集まって何か楽しいことをやろうと言う姿勢は、このプロジェクトのコンセプトでもある「賑わいを作る」という部分で、なくてはならない重要なポイントだと思います。
各団体の代表の方にプレゼンをしていただき、審査員からの質疑応答、全員のプレゼンが終わった時点で審査…という流れで審査会は行われました。テーマ自体のおもしろさも重要ですが、「建物がどのように活かされるか」「地域の賑わいにつながるか」「ビジネスとしてのプランや継続性はしっかりしているか」などなど審査項目は多岐にわたります。結果は後日書面にて郵送という形になりますのでここでは言えませんが、たぶんもう結果が届いている頃ではないかと思います。
次回のイベントは「町おこし成功事例の見学」ということで、徳島県神山町を訪問する一泊二日のバスツアーとなります…が、残念ながらあっと言う間に全席予約で埋まってしいまいました。古民家を活用するって動きは、岐阜県内でも個人単位ではすでに多くの事例がありますが、このような組織的な活動はたぶん前例がないでしょう。このプロジェクトがどのような形で進んでいくか、まだまだ分からないことはいっぱいありますが、今回の第一回目をモデルケースとして、各地で開催できれば良いと思います。
今回のプロジェクトはNPO岐阜・楽しい家づくり研究会の桐山さんの強力な牽引力で実現しました。なんかこの文章読んでると小野が頑張ってやっちゃってるみたいですが、実は傍らでお手伝いしている程度ですんで、そこんとこちょっと割り引いて読んでくださいね〜。
2015.08.01
暑い、暑い、暑い〜!!!…よりによって、この暑い日のお昼またぎで現場の草刈りをやりました。1ヶ月ほど前の地鎮祭の時にも草刈りをしたのですが、夏の草の勢いはびっくりするほど早くて、すでに腰の高さに迫ってきてます。
本当は一週間くらい前のもう少し涼しい日を狙って草を刈りに来ようと思っていたのですが、あまり早い時期に刈りすぎても成長の速度に負けてしまいまた元の木阿弥…なんてことになりそうだし、「さて、いつやろうか」と思っているうちに着工ギリギリになってしまいました。
この現場は一年近い計画期間を経て、ようやく明日着工いたします。 午前中1時間かけて草刈り機で草をなぎ倒して、熊手で刈った草を寄せ集める作業を始めたところでお昼となりました。暑い暑いと言いつつも、刈るだけならまぁ機械に頼るわけなのでそれほどエラいわけでもないのですが、寄せ集めるのは100%人力です。
…これがキツイのなんの。今年、僕はすでに熱中症で一度倒れてるもんで、「ここは無理してはいかん」ということで、さっさと道具を置いて食欲があるうちにお昼にしておきました。
で、ごはんをしっかり食べて、梅ドリングで水分補給をして、当然の流れでお昼寝…誰かに揺り起こされた時は、ここがどこだかわからないほど熟睡してました。にっこりほほ笑む見知らぬオッサンにのぞきこまれ、しかもそのおっさん、真っ赤なTシャツ来ていて、うわ〜みるからに暑苦しい!!「え〜っと、おれ、今何やってたんだっけ??」と思いだすのに数秒かかり、そうそう、草刈りの途中で、午後からは地盤改良業者との現場打ち合わせを予定していました。
「○○さんですか?四季の家工房の小野です。よろしくお願いします」ということで名刺交換して、早速地盤改良の位置の打ち合わせをしようと思ったのですが…まだ刈った草どけてなかった。「すみません、すぐどけるんで30分ほど時間ください」と言ったら、ちょうど重機を持ってきているので手伝ってあげるわってことに…いやぁ、ありがたかったです。重機でザバーっと寄せてくれたんで、5分で完了!真っ赤なTシャツのオッサンに感謝です。
そして、ようやく本題の現場打ち合わせに撮りかかれます。まずは建物の位置出しですが、これは地鎮祭の時にすでに木杭と縄で表示してあったので、その再確認です。隣地や道路からの距離、建物の東西南北のラインが直角になっているか等を立ち合いながら確認していきます。
今回行う柱状地盤改良と言うのは、直径60cm深さ3.5mの杭(正確な表現では杭ではないのですが)の上に建物を乗せる構造なので、この杭芯がずれると基礎が杭に乗らなくなってしまいます。そこで、縄で表示した建物形状を目印にして、スプレーマーカーで杭の位置を印していきます。最終的に図面と照らし合わせて、確認OK!今回は31本の杭を打ちます。
次に高さの設定を行います。建物を建てるために造成された敷地なので目で見る分にはほぼほぼ平らに見えるのですが、平らに見える敷地でもたいていは20〜30cm程度の高低差が付いていることが多いです。逆に言うと、多少の高低差がないと雨水がたまって水たまりになってしまいますけどね…。
まずはベンチマークと言って、高さの基準になるポイントを決めます。表示杭を打ったりして、わざわざこのポイントを作る必要はなく、絶対に動かない部分を基準にすればOKです。今回は道路側溝に打たれた官民の境界を示すステンレス製のプレートを、ベンチマークとしました。
そのベンチマークからどれだけ上がった(または下がった)位置が設計時の高さとほぼあっているかを確認して、敷地の高さを確定するわけです。もちろん、敷地もまっ平らではないので、ここで言う敷地の高さとは仮想平面とでも言った方が良いかもしれません。
で、その仮想平面は「GL」と呼ばれ、これから始まる建築工事の高さの一番大事な基準になります。あ、「GL」っていうのは「グランドレベル」の略称です。さて、本日の打ち合わせは地盤改良工事の打ち合わせなので、杭の天端の高さを決めるとき、さっそくこのGLを使って「天はGLから○○cm下がり」とか言うわけです。
これで大事な打ち合わせは終了。後は近隣に関する注意事項とかクルマの止め方とかを説明して、しばし、お決まりの立ち話。今回の担当者は初めて会う人だったのですが、あそこの現場をやったとかどこそこの建築屋さんの仕事が多いとか、どこぞの大工さんと親しいとか…まぁそんな取るに足りない雑談なんですが、こういうことって家づくりの仕事では案外大事だったりするのです。
雑談の中から、こちらの家づくりに対する思いがほんの少しでも伝われば良いし、施工する方もまったく事務的な流れの中で仕事するより、多少なりともお互いを知った上で仕事するのでは気分が違いますよね。
これからしばらくの間、こんな感じで現場の施工の模様をお伝えしようかと思います。何でかって言うと、こうやって皆さんにイメージを膨らませてもらっておいて、構造見学会や完成見学会などでこの現場をご覧いただこうかと計画をしているところです。四季の家工房としては久しぶりの見学会です。建て主さんにも快諾していただき、ご厚意に感謝感謝です。では、続編をお楽しみに!
※ 便宜上「杭を打つ」って言ってますが、今回行う地盤改良工事はあくまでも地盤の補強なので、定義としては正式には「杭」ではありません。
本当は一週間くらい前のもう少し涼しい日を狙って草を刈りに来ようと思っていたのですが、あまり早い時期に刈りすぎても成長の速度に負けてしまいまた元の木阿弥…なんてことになりそうだし、「さて、いつやろうか」と思っているうちに着工ギリギリになってしまいました。
この現場は一年近い計画期間を経て、ようやく明日着工いたします。 午前中1時間かけて草刈り機で草をなぎ倒して、熊手で刈った草を寄せ集める作業を始めたところでお昼となりました。暑い暑いと言いつつも、刈るだけならまぁ機械に頼るわけなのでそれほどエラいわけでもないのですが、寄せ集めるのは100%人力です。
…これがキツイのなんの。今年、僕はすでに熱中症で一度倒れてるもんで、「ここは無理してはいかん」ということで、さっさと道具を置いて食欲があるうちにお昼にしておきました。
で、ごはんをしっかり食べて、梅ドリングで水分補給をして、当然の流れでお昼寝…誰かに揺り起こされた時は、ここがどこだかわからないほど熟睡してました。にっこりほほ笑む見知らぬオッサンにのぞきこまれ、しかもそのおっさん、真っ赤なTシャツ来ていて、うわ〜みるからに暑苦しい!!「え〜っと、おれ、今何やってたんだっけ??」と思いだすのに数秒かかり、そうそう、草刈りの途中で、午後からは地盤改良業者との現場打ち合わせを予定していました。
「○○さんですか?四季の家工房の小野です。よろしくお願いします」ということで名刺交換して、早速地盤改良の位置の打ち合わせをしようと思ったのですが…まだ刈った草どけてなかった。「すみません、すぐどけるんで30分ほど時間ください」と言ったら、ちょうど重機を持ってきているので手伝ってあげるわってことに…いやぁ、ありがたかったです。重機でザバーっと寄せてくれたんで、5分で完了!真っ赤なTシャツのオッサンに感謝です。
そして、ようやく本題の現場打ち合わせに撮りかかれます。まずは建物の位置出しですが、これは地鎮祭の時にすでに木杭と縄で表示してあったので、その再確認です。隣地や道路からの距離、建物の東西南北のラインが直角になっているか等を立ち合いながら確認していきます。
今回行う柱状地盤改良と言うのは、直径60cm深さ3.5mの杭(正確な表現では杭ではないのですが)の上に建物を乗せる構造なので、この杭芯がずれると基礎が杭に乗らなくなってしまいます。そこで、縄で表示した建物形状を目印にして、スプレーマーカーで杭の位置を印していきます。最終的に図面と照らし合わせて、確認OK!今回は31本の杭を打ちます。
次に高さの設定を行います。建物を建てるために造成された敷地なので目で見る分にはほぼほぼ平らに見えるのですが、平らに見える敷地でもたいていは20〜30cm程度の高低差が付いていることが多いです。逆に言うと、多少の高低差がないと雨水がたまって水たまりになってしまいますけどね…。
まずはベンチマークと言って、高さの基準になるポイントを決めます。表示杭を打ったりして、わざわざこのポイントを作る必要はなく、絶対に動かない部分を基準にすればOKです。今回は道路側溝に打たれた官民の境界を示すステンレス製のプレートを、ベンチマークとしました。
そのベンチマークからどれだけ上がった(または下がった)位置が設計時の高さとほぼあっているかを確認して、敷地の高さを確定するわけです。もちろん、敷地もまっ平らではないので、ここで言う敷地の高さとは仮想平面とでも言った方が良いかもしれません。
で、その仮想平面は「GL」と呼ばれ、これから始まる建築工事の高さの一番大事な基準になります。あ、「GL」っていうのは「グランドレベル」の略称です。さて、本日の打ち合わせは地盤改良工事の打ち合わせなので、杭の天端の高さを決めるとき、さっそくこのGLを使って「天はGLから○○cm下がり」とか言うわけです。
これで大事な打ち合わせは終了。後は近隣に関する注意事項とかクルマの止め方とかを説明して、しばし、お決まりの立ち話。今回の担当者は初めて会う人だったのですが、あそこの現場をやったとかどこそこの建築屋さんの仕事が多いとか、どこぞの大工さんと親しいとか…まぁそんな取るに足りない雑談なんですが、こういうことって家づくりの仕事では案外大事だったりするのです。
雑談の中から、こちらの家づくりに対する思いがほんの少しでも伝われば良いし、施工する方もまったく事務的な流れの中で仕事するより、多少なりともお互いを知った上で仕事するのでは気分が違いますよね。
これからしばらくの間、こんな感じで現場の施工の模様をお伝えしようかと思います。何でかって言うと、こうやって皆さんにイメージを膨らませてもらっておいて、構造見学会や完成見学会などでこの現場をご覧いただこうかと計画をしているところです。四季の家工房としては久しぶりの見学会です。建て主さんにも快諾していただき、ご厚意に感謝感謝です。では、続編をお楽しみに!
※ 便宜上「杭を打つ」って言ってますが、今回行う地盤改良工事はあくまでも地盤の補強なので、定義としては正式には「杭」ではありません。
2015.07.10
急は話で申し訳ないですが、明日7月11日(土)に四季の家工房オリジナルの可愛いまな板たちの販売を行います。場所は名古屋市西区にあるイオンタウン名西さん内の2階通路です。この日はピースフルマーケットと言うクラフトマーケットが行われていて、そこへの一日出店になります。
今回もいろいろな樹種で、いろいろな形のまな板を作ってみました。
などなどいろいろです。
それを食用のクルミオイルで仕上げて、ようやくタグの取り付けが終わったところです。名古屋方面の方…よろしかったらお越しくださ〜い。
関市近くの方は、関市西木戸にある「カフェ・マビッシュ」さんでも常設販売していますので、こちらもよろしく〜。
今回もいろいろな樹種で、いろいろな形のまな板を作ってみました。
などなどいろいろです。
それを食用のクルミオイルで仕上げて、ようやくタグの取り付けが終わったところです。名古屋方面の方…よろしかったらお越しくださ〜い。
関市近くの方は、関市西木戸にある「カフェ・マビッシュ」さんでも常設販売していますので、こちらもよろしく〜。
2015.07.03
先回の日記で、今建築中の住宅の特徴が2つあるって書きましたが、2つ目について何も書かないまま終わっていました。なので、その続きです。
今回の住宅は「地域型住宅ブランド化事業」と言う国の政策による仕組みを利用して、補助金を利用してより仕様の高い住宅を作ろう…という目標があります。この「地域型住宅ブランド化事業」というのは「性能の良い木造住宅を供給しよう」って枠組みなのですが、全国一律の基準ではなくて文字通り地域性が重視されるのが特徴と言えます。
地場の工務店がグループを作って地元ならではの共通ルールを作り、その共通ルールを「地域型住宅ブランド化事業」として認定を受けます。岐阜県の場合はいくつかグループがあるのですが、四季の家工房が加入している東海木造住宅協会では「東海温故創新の家」と言う共通ルールを作って認定を受けています。
その共通ルールに基づいて設計したのが今回の住宅なのですが…ややこしいですね。共通ルールと言うとすごく型にはまっているような印象を受けるかもしれませんが、間取りやデザインなど家の個性を表現する部分は自由でして、性能とか維持管理とかそういう建物の基本となる部分で事細かな決めごとがあるのです。
全部解説するとキリがないので、主なところをご紹介しますと…まずは大前提として長期優良住宅であること。構造については通常の木造住宅では要求されていない構造計算をして、部材の寸法や接合方法、耐力壁や基礎の構造を決めます。
まぁ構造を勘に頼って決めるって方が疑問なので、四季の家工房ではいつもやっています。あ、自分ではできないんで設計事務所に依頼してやってもらっているって方が正確ですが…。
断熱性能や通風の解析と言った「省エネ」や「維持管理」のできるような配管方式、地域材の使用、そして担当者は省エネルギー施工技術者講習会を受講すること(四季の家工房は既に全員受講済みです)などなど、目には見えない部分がほとんどですが事細かな共通ルールが決まられているのです。
まずはエントリーをしておいて、そのルールに基づいた設計をして、設計の審査を受け、市町村による認定を受け、ようやく着工…そして着工後は設計通りに施工されているか、通常は2回のところ4回の現場検査を受ける必要もあります。
言葉にすると大変なことのようですが、現場の仕事で言うならば、正直言って今まで当たり前にやってきたこととそんなに大きく違う点はありません。大きく作業量が増えたのは、現場が始まる前の書類の多さですね〜…びっくりするほど書類が多かったですよ。
しかも、書類を廻す機関も多く、ハンコひとつもらうのに2週間もかかったり、そのハンコがなければ次の機関に書類を廻せなかったりで、着工時期は迫るは書類は整わないはでホントハラハラしました。
こんな書き方をすると全部自分でやってのけたようですが、実のところ独力ではこれだけの書類を作ることはできません。東海木造住宅協会の事務局さんには大変お世話になりました。昔と違って工務店経営が技術や技能だけでなく情報戦が重要となった現代、このようなブレインの存在は本当にありがたいです。
小さい工務店だからこそ集まって共通ルールを作り、そのルールの上で各々が個性を出せるような家づくりをする…でなければ大手のメーカーさんに太刀打ちはできません。
さて、これだけ大変な思いをして「地域型住宅ブランド化事業」を利用するメリットはと言うと…まずはわかりやすいところで、今年は120万円の補助金を受けられるってことと、「長期優良住宅」の認定を受けることで「所得税の優遇」「登録免許税の減税」「不動産取得税の優遇」「固定資産税の減額期間延長」など税制上の優遇措置を受けることができるという点です。もちろん、建物自体の性能も上がりますので、建て主さんにとってメリットは多いと思います。
で、この「地域型住宅ブランド化事業」ですが、この事業は今回の平成26年度応募分をもって終了します。今年度からは「地域型住宅グリーン化事業」という事業名になって既に応募が始まってます。なので、建築予定のある方はお早目にお問い合わせください。何せ書類を整えるだけで2ヶ月からかかってしまいますんで…。
今回の住宅は「地域型住宅ブランド化事業」と言う国の政策による仕組みを利用して、補助金を利用してより仕様の高い住宅を作ろう…という目標があります。この「地域型住宅ブランド化事業」というのは「性能の良い木造住宅を供給しよう」って枠組みなのですが、全国一律の基準ではなくて文字通り地域性が重視されるのが特徴と言えます。
地場の工務店がグループを作って地元ならではの共通ルールを作り、その共通ルールを「地域型住宅ブランド化事業」として認定を受けます。岐阜県の場合はいくつかグループがあるのですが、四季の家工房が加入している東海木造住宅協会では「東海温故創新の家」と言う共通ルールを作って認定を受けています。
その共通ルールに基づいて設計したのが今回の住宅なのですが…ややこしいですね。共通ルールと言うとすごく型にはまっているような印象を受けるかもしれませんが、間取りやデザインなど家の個性を表現する部分は自由でして、性能とか維持管理とかそういう建物の基本となる部分で事細かな決めごとがあるのです。
全部解説するとキリがないので、主なところをご紹介しますと…まずは大前提として長期優良住宅であること。構造については通常の木造住宅では要求されていない構造計算をして、部材の寸法や接合方法、耐力壁や基礎の構造を決めます。
まぁ構造を勘に頼って決めるって方が疑問なので、四季の家工房ではいつもやっています。あ、自分ではできないんで設計事務所に依頼してやってもらっているって方が正確ですが…。
断熱性能や通風の解析と言った「省エネ」や「維持管理」のできるような配管方式、地域材の使用、そして担当者は省エネルギー施工技術者講習会を受講すること(四季の家工房は既に全員受講済みです)などなど、目には見えない部分がほとんどですが事細かな共通ルールが決まられているのです。
まずはエントリーをしておいて、そのルールに基づいた設計をして、設計の審査を受け、市町村による認定を受け、ようやく着工…そして着工後は設計通りに施工されているか、通常は2回のところ4回の現場検査を受ける必要もあります。
言葉にすると大変なことのようですが、現場の仕事で言うならば、正直言って今まで当たり前にやってきたこととそんなに大きく違う点はありません。大きく作業量が増えたのは、現場が始まる前の書類の多さですね〜…びっくりするほど書類が多かったですよ。
しかも、書類を廻す機関も多く、ハンコひとつもらうのに2週間もかかったり、そのハンコがなければ次の機関に書類を廻せなかったりで、着工時期は迫るは書類は整わないはでホントハラハラしました。
こんな書き方をすると全部自分でやってのけたようですが、実のところ独力ではこれだけの書類を作ることはできません。東海木造住宅協会の事務局さんには大変お世話になりました。昔と違って工務店経営が技術や技能だけでなく情報戦が重要となった現代、このようなブレインの存在は本当にありがたいです。
小さい工務店だからこそ集まって共通ルールを作り、そのルールの上で各々が個性を出せるような家づくりをする…でなければ大手のメーカーさんに太刀打ちはできません。
さて、これだけ大変な思いをして「地域型住宅ブランド化事業」を利用するメリットはと言うと…まずはわかりやすいところで、今年は120万円の補助金を受けられるってことと、「長期優良住宅」の認定を受けることで「所得税の優遇」「登録免許税の減税」「不動産取得税の優遇」「固定資産税の減額期間延長」など税制上の優遇措置を受けることができるという点です。もちろん、建物自体の性能も上がりますので、建て主さんにとってメリットは多いと思います。
で、この「地域型住宅ブランド化事業」ですが、この事業は今回の平成26年度応募分をもって終了します。今年度からは「地域型住宅グリーン化事業」という事業名になって既に応募が始まってます。なので、建築予定のある方はお早目にお問い合わせください。何せ書類を整えるだけで2ヶ月からかかってしまいますんで…。
2015.06.15
岐阜市内で木造2階建ての住宅を上棟いたしました。
今回の住宅にはふたつの特徴があります。ひとつは旭化成のネオマフォームと、日本住環境のダンシーツを使った高気密高断熱の建物で、マッハシステムという全館空調を導入しています。
暖かいかって?…それはもう、とても暖かくて涼しい建物になります。同仕様での建物はこれで3件目なので、僕たちもだいぶ自信を持って言えるようになりました。こうした性能を確保するためには建材の性能その物もまずは大事ですが、「どうやって施工するか」ということが同じくらい大切になってきます。
気密と断熱の施工は、建物が建つ前の基礎の段階で既に始まっています。この銀色のシートがダンシーツです。このシートにくるまってみたり座ってみるとわかるのですが、体温を跳ね返してとても暖かいのです。又、今時分の強い日差しもカットするので、シートの下はとても涼しいです。
肝心なのは、これを「隙間なくピッタリと連続させて、基礎をすっぽりカバーすること」です。基礎もけっこう複雑な形状をしていて、しかも入り角や出角、アンカーボルトなどの障害物もあるので、丁寧にプレゼントを包むように作業をしていきます。
もちろん、穴を開けてしまったら元も子もありませんが、ダンシーツは引っ掻きなどにも強いので施工中に穴を開けてしまう心配も少なくなります。…もちろん、穴が開く可能性はゼロではありません。だから基礎内にダンシーツを敷き詰める時は、作業靴を脱いで素足で作業するようにしています。
次に基礎の底面と外周部ですが、外周から1メートルの範囲で断熱材を敷きつめます。基礎部分は厚さの制約がないので、ネオマフォームより多少安価なスタイロフォームを使います。これも隙間は禁物で、ピッタリくっつけて連続させるのが重要です。
ここまでが上棟前作業ですが、上棟作業中にも気密断熱の連続性を確保するために、結構いろいろなことを考えながら作業しなくてはいけません。…というか、現場作業が始まってから考えていては遅いので、大工各自が十分に図面を読み込んだ上で全員で作戦会議を行って…いざ上棟です。
一番難しいのが、外部の形状が複雑に出入りしている部分です。単純な真四角の家ならまだしも、玄関ポーチやテラスなど建物形状に凹凸があったり袖壁があったり、1階の屋根が2階の壁に取りつく部分があったり、1軒の家でもいろいろな箇所に取り合い部分が出てきます。
そういう部分の気密・断熱を連続させるためには、作業手順を間違えてはいけないってことです。骨組みを作ることばかり進めてしまうとダンシーツやネオマフォームが切れ切れになってしまって、そういう部分が増えるほど少しづつ建物の性能が下がっていくのです。
話し出すとキリがないので、本日はここまで…。
今回の住宅にはふたつの特徴があります。ひとつは旭化成のネオマフォームと、日本住環境のダンシーツを使った高気密高断熱の建物で、マッハシステムという全館空調を導入しています。
暖かいかって?…それはもう、とても暖かくて涼しい建物になります。同仕様での建物はこれで3件目なので、僕たちもだいぶ自信を持って言えるようになりました。こうした性能を確保するためには建材の性能その物もまずは大事ですが、「どうやって施工するか」ということが同じくらい大切になってきます。
気密と断熱の施工は、建物が建つ前の基礎の段階で既に始まっています。この銀色のシートがダンシーツです。このシートにくるまってみたり座ってみるとわかるのですが、体温を跳ね返してとても暖かいのです。又、今時分の強い日差しもカットするので、シートの下はとても涼しいです。
肝心なのは、これを「隙間なくピッタリと連続させて、基礎をすっぽりカバーすること」です。基礎もけっこう複雑な形状をしていて、しかも入り角や出角、アンカーボルトなどの障害物もあるので、丁寧にプレゼントを包むように作業をしていきます。
もちろん、穴を開けてしまったら元も子もありませんが、ダンシーツは引っ掻きなどにも強いので施工中に穴を開けてしまう心配も少なくなります。…もちろん、穴が開く可能性はゼロではありません。だから基礎内にダンシーツを敷き詰める時は、作業靴を脱いで素足で作業するようにしています。
次に基礎の底面と外周部ですが、外周から1メートルの範囲で断熱材を敷きつめます。基礎部分は厚さの制約がないので、ネオマフォームより多少安価なスタイロフォームを使います。これも隙間は禁物で、ピッタリくっつけて連続させるのが重要です。
ここまでが上棟前作業ですが、上棟作業中にも気密断熱の連続性を確保するために、結構いろいろなことを考えながら作業しなくてはいけません。…というか、現場作業が始まってから考えていては遅いので、大工各自が十分に図面を読み込んだ上で全員で作戦会議を行って…いざ上棟です。
一番難しいのが、外部の形状が複雑に出入りしている部分です。単純な真四角の家ならまだしも、玄関ポーチやテラスなど建物形状に凹凸があったり袖壁があったり、1階の屋根が2階の壁に取りつく部分があったり、1軒の家でもいろいろな箇所に取り合い部分が出てきます。
そういう部分の気密・断熱を連続させるためには、作業手順を間違えてはいけないってことです。骨組みを作ることばかり進めてしまうとダンシーツやネオマフォームが切れ切れになってしまって、そういう部分が増えるほど少しづつ建物の性能が下がっていくのです。
話し出すとキリがないので、本日はここまで…。
2015.06.03
高山市にある木工房「森の宿・森の自然学校」をご紹介します。木工房なので家具を作る工場なのですが、名称から想像できるように「宿泊もできる体験型の木工房」なのです。
どんな体験ができるかっていうと…簡単な物では約1時間の作業で作れるマイ箸やウッドキューブのストラップから、本格的な物は2泊3日で完成させる木の椅子作りのプログラムもあります。僕も写真でしか見ていないのですが、オーク材を使った本格的なスピンドルチェアです。ご家族で滞在して、大きなテーマにチャレンジするってのも素敵な休暇の過ごし方ですね。
新築やリフォームを機会に家具を買い替えるのではなく、自分たちの手で作ってみるという選択もアリではないでしょうか?この他にもいろいろなプログラムがありますので、一度ホームページをチェックしてみてください。
場所は東海北陸道経由で中部縦貫道高山西インターからすぐなので、岐阜や名古屋方面からのアクセスは抜群です。これからの時期、標高600メートルの飛騨清美は気持ちがよさそうです。
四季の家工房が取引している岐阜の木材問屋の後藤木材株式会社さんも、この「森の宿・森の自然学校」を応援しています。今回は後藤木材さんからのご案内で資料をいただきましたので、みなさんとシェアさせていただきます。
不定期ではありますがバスツアーなども企画してますので、ご興味のある方は四季の家工房までお気軽にお問い合わせください。
どんな体験ができるかっていうと…簡単な物では約1時間の作業で作れるマイ箸やウッドキューブのストラップから、本格的な物は2泊3日で完成させる木の椅子作りのプログラムもあります。僕も写真でしか見ていないのですが、オーク材を使った本格的なスピンドルチェアです。ご家族で滞在して、大きなテーマにチャレンジするってのも素敵な休暇の過ごし方ですね。
新築やリフォームを機会に家具を買い替えるのではなく、自分たちの手で作ってみるという選択もアリではないでしょうか?この他にもいろいろなプログラムがありますので、一度ホームページをチェックしてみてください。
場所は東海北陸道経由で中部縦貫道高山西インターからすぐなので、岐阜や名古屋方面からのアクセスは抜群です。これからの時期、標高600メートルの飛騨清美は気持ちがよさそうです。
四季の家工房が取引している岐阜の木材問屋の後藤木材株式会社さんも、この「森の宿・森の自然学校」を応援しています。今回は後藤木材さんからのご案内で資料をいただきましたので、みなさんとシェアさせていただきます。
不定期ではありますがバスツアーなども企画してますので、ご興味のある方は四季の家工房までお気軽にお問い合わせください。
2015.05.28
これは「NPO法人 岐阜・楽しい家づくり研究会」の新たな試みとして、今年第一弾の事業として立ち上げたところです。具体的にどう言うことをやるのかと言うと…大垣にある江戸時代の古民家を利用して「何か面白いことをやってもらいたい」ということで、建物や立地条件を活かせることであれば何でもOKなのです。
ぜんぜん具体的な説明になっていませんね。例を挙げると、物販や飲食のようなお店として使っても良いし、イベントや展覧会のような使い方もありです。興味のある方は、6月14日(日)と15日(月)に現地の下見ができますのでまずは建物を見てみてください。その後、「これならこんな使い方ができるんじゃないか?」という提案をしていただいて、最終的にはプレゼンと審査を経て委託先を決定いたします。
同時に関連したイベントや講演会も企画しています。長野や高知で既に空き家活用事業を軌道に乗せている先人達を招いて成功事例のお話を聞いたり、四国の山村を視察に行くバスツアーなども計画中です。起業を考えている方や大垣への移住を考えている方、学生さんや若い人、もちろん若くない人もOKです。今回は具体的には動けないけど情報取集したい…って方も歓迎です。
「もうちょっと詳しく内容を知りたい」という方は四季の家工房でも結構ですし、下記の「NPO法人 岐阜・楽しい家づくり研究会」に直接連絡していただいても結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
「街中の空家を活用して賑わいを作るプロジェクト募集」
ぜんぜん具体的な説明になっていませんね。例を挙げると、物販や飲食のようなお店として使っても良いし、イベントや展覧会のような使い方もありです。興味のある方は、6月14日(日)と15日(月)に現地の下見ができますのでまずは建物を見てみてください。その後、「これならこんな使い方ができるんじゃないか?」という提案をしていただいて、最終的にはプレゼンと審査を経て委託先を決定いたします。
同時に関連したイベントや講演会も企画しています。長野や高知で既に空き家活用事業を軌道に乗せている先人達を招いて成功事例のお話を聞いたり、四国の山村を視察に行くバスツアーなども計画中です。起業を考えている方や大垣への移住を考えている方、学生さんや若い人、もちろん若くない人もOKです。今回は具体的には動けないけど情報取集したい…って方も歓迎です。
「もうちょっと詳しく内容を知りたい」という方は四季の家工房でも結構ですし、下記の「NPO法人 岐阜・楽しい家づくり研究会」に直接連絡していただいても結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
「街中の空家を活用して賑わいを作るプロジェクト募集」
目的
まだ使える空家を使って、新しいコミュニティを作り上げること
場所
「古民家サロン荒川」(江戸時代から続く旧家)
住所:岐阜県大垣市荒川町397 ※駐車場10台程度有
住所:岐阜県大垣市荒川町397 ※駐車場10台程度有
募集要項
- 「古民家サロン荒川」の母屋・蔵・庭・畑を使って、ご自由に活用法を提案してください。(例:イベント、物販、アトリエ、オフィス、コワーキング、ギャラリー、飲食店等)
- 提案者は個人でもグループでも構いませんが、各1案にしてください。
- 提案者は運営を主体的に行う人、関わることの出来る人であること。(居住地は限定しません)
- 住宅地のため、近隣の生活環境に影響を及ぼすことは控えてください。
- 利用期間…2015年9月〜2017年8月(以降自動更新)
- トライアル期間…2015年9月〜2016年2月まで。(無償)
※トライアル期間以降は有料。月額金額は、提案内容により検討して決定します。(公共料金・町内会費等、別途必要) - 建物等は現況渡しです。改修費用は利用者側の負担になります。
現地見学会
6月14日(日)、15日(月) 10:00〜12:00
※事前にご予約ください。又、この日に都合の悪い方はご相談ください。
※事前にご予約ください。又、この日に都合の悪い方はご相談ください。
募集締切
7月24日(金) ※当日消印有効
提出方法
具体的な利用方法や、賑わい効果の分かる資料(表現方法は自由)を郵送、又はメールにて送付ください。※名前(グループの方は団体名及び代表者氏名)と連絡先を忘れずにご記入ください。
送付先
審査会及びワークショップ
8月2日(日)
10:00〜 審査会(※提案者がご出席ください)
13:00〜16:00 ワークショップ(大垣市情報工房にて)
10:00〜 審査会(※提案者がご出席ください)
13:00〜16:00 ワークショップ(大垣市情報工房にて)
審査員
祁答院弘智(神山町 グリーンバレー理事)、広瀬毅(広瀬毅建築設計室代表、株式会社CREEKS取締役)、所有者、NPO、行政関係者
問い合わせ先
NPO法人 岐阜・楽しい家づくり研究会
事務局:株式会社現代設計事務所 フリーダイヤル:0120-09-4188
事務局:株式会社現代設計事務所 フリーダイヤル:0120-09-4188
2015.05.01
まな板が思いのほか評判がよろしいようで、まな板つながりでいろいろご依頼をいただくようになりました。まずは、ご愛顧いただきまして感謝申し上げます。
で、どんなご依頼をいただいたかと言うと…
事の発端がまな板なもんで、なかなか建物の仕事には結びつきませんが、それでも木で作るものならば、たいていのものはチャレンジしてみようって精神なので、全てお引き受けしました。楽しみつつ作らせていただきますよ!
この中から今回は額縁についてご紹介いたします。これをご依頼いただいたのは、2014年2月28日の日記でご紹介した「みかん」さんという筆文字の先生です。ちょうどご自身のアトリエを開いたところで、作品を装丁する額縁を探していたそうです。
しかも、「普通の四角い額縁じゃあつまらない」「なんか一ひねり効いた独自の額縁が欲しい」と思っていたところに僕のまな板を見てくれて、なんかピッピッと来たらしいです。
ご連絡をいただいてちょっとご希望を聞いてみたのですが、「イメージは持っているのだけど、実際にビジュアルには出せない」「なんかもやもや漠然とおもしろくなりそうって期待感がありつつ、言葉にできない」と言う印象を受けました。
だったらこの際、何も聞かないでとりあえず作ってみる方が創造的で面白いかと思い、打ち合わせ無しで端材を組み合わせてこんなのを作ってみました。
で、どんなご依頼をいただいたかと言うと…
- まな板にジャム瓶を乗せる穴を彫ってほしい…これはマビッシュさんの営業用なので、専用の刃物を使って丸く皿のように彫って納品済〜。
- 本当のまな板…板前さんからかなり大きな本格的なまな板のご注文。現在、木目が細かくて乾燥状態の良い桧(ヒノキ)かイチョウを探し中です。
- 既存の箱を引き出しに変身させる…昨日、材料が届きました。本日、加工です。
- 変な額縁
この中から今回は額縁についてご紹介いたします。これをご依頼いただいたのは、2014年2月28日の日記でご紹介した「みかん」さんという筆文字の先生です。ちょうどご自身のアトリエを開いたところで、作品を装丁する額縁を探していたそうです。
しかも、「普通の四角い額縁じゃあつまらない」「なんか一ひねり効いた独自の額縁が欲しい」と思っていたところに僕のまな板を見てくれて、なんかピッピッと来たらしいです。
ご連絡をいただいてちょっとご希望を聞いてみたのですが、「イメージは持っているのだけど、実際にビジュアルには出せない」「なんかもやもや漠然とおもしろくなりそうって期待感がありつつ、言葉にできない」と言う印象を受けました。
だったらこの際、何も聞かないでとりあえず作ってみる方が創造的で面白いかと思い、打ち合わせ無しで端材を組み合わせてこんなのを作ってみました。
試作品ですが、どうでしょうか?おもしろい形でしょ?縦横の向きを変えて吊り下げると、こんな感じになります。向きが変わるだけで、だいぶ印象が変わって見えるから不思議です。
作った瞬間「これはハート射とめちゃったかな!?」って、ちょっと自分でもニサニサ顔になっていたみたいです。納品に行くと、予想通りの反応をいただきこちらまで嬉しくなってしまいました。作り手冥利に尽きると言うものです。
この路線で少し作り溜めたら、みかんさんのアトリエ「夏みかん畑」で販売もしてもらう予定です。本業の傍らなので時間がかかるかもしれませんが、販売が始まったら又この四季便りでお知らせさせていただきます。
ついでと言ってはなんですが、比較的簡単に作れるコラージュの手法で作った額縁を、5月3日に関市役所の芝生広場で開催される「アースコネクト」で販売するため、現在バタバタと製作中です。
基礎となる□型にくり抜いた合板に、いろいろな色の材料を並べて木工用ボンドで貼っていくだけなので、これなら割とどなたでも作れるかと思います。色のバランスを考えながら組み合わせていくのはおもしろい作業です。
表面に出てくる材は製材機で挽いオガ目が残っていて、ワイルドかわいい感じに仕上がります。現物は「アースコネクト」に見に来てくださいね。
アウトドアをメインテーマに、手作り品や食べ物などの販売もあります。僕も額縁だけではなく、せっかくなので木製のシーカヤックも持って行って芝生に浮かべようと思っています。まぁこれは販売でなく見せびらかすだけですが…。
それと、フォークダンスの生演奏をあるのでギターを忘れてもいけないし、フル装備で参加いたします。連休に遠出をしない方…地元のイベントにぜひ!
作った瞬間「これはハート射とめちゃったかな!?」って、ちょっと自分でもニサニサ顔になっていたみたいです。納品に行くと、予想通りの反応をいただきこちらまで嬉しくなってしまいました。作り手冥利に尽きると言うものです。
この路線で少し作り溜めたら、みかんさんのアトリエ「夏みかん畑」で販売もしてもらう予定です。本業の傍らなので時間がかかるかもしれませんが、販売が始まったら又この四季便りでお知らせさせていただきます。
ついでと言ってはなんですが、比較的簡単に作れるコラージュの手法で作った額縁を、5月3日に関市役所の芝生広場で開催される「アースコネクト」で販売するため、現在バタバタと製作中です。
基礎となる□型にくり抜いた合板に、いろいろな色の材料を並べて木工用ボンドで貼っていくだけなので、これなら割とどなたでも作れるかと思います。色のバランスを考えながら組み合わせていくのはおもしろい作業です。
表面に出てくる材は製材機で挽いオガ目が残っていて、ワイルドかわいい感じに仕上がります。現物は「アースコネクト」に見に来てくださいね。
アウトドアをメインテーマに、手作り品や食べ物などの販売もあります。僕も額縁だけではなく、せっかくなので木製のシーカヤックも持って行って芝生に浮かべようと思っています。まぁこれは販売でなく見せびらかすだけですが…。
それと、フォークダンスの生演奏をあるのでギターを忘れてもいけないし、フル装備で参加いたします。連休に遠出をしない方…地元のイベントにぜひ!
2015.04.16
「嬉しかったこと」
10年くらい前に作らせてもらったカフェのご夫婦と、いろいろと思い出話をしていました。もともとこのご夫婦と歳は離れているのですが、夫婦ともどもお友達のような関係で、共通の友人の話や子供の話、山の話、音楽の話など、この日も夜が更けるのも忘れて話し込んでおりました。
そんな流れでお店を作った当時の話にもなって、うまくいったことや苦労したこと、笑い話など…話は尽きないのです。で、今更こんなこと聞くのも何なのですが、「そう言えば、なんでここ作るの僕に任せてくれたの?」って聞いてみました。
と言うのも、このご夫婦のお友達に地元ではけっこう有名な建築家がいて、その方の話も出てきたのですが、あの頃の流れで行けば当然この方に相談するのが自然な流れなのに、「なぜに僕?」と言う素朴な疑問が湧いて来たのです。とても良い仕事をされている方で、社会的にも認められており、人柄はもちろんこのご夫婦が一番よく知っているわけです。
その頃の僕はと言うと、独立して間もない頃で、まだ現在の四季の家工房の形にはなっていなく、一人で図面を描いたり、大工をやったり、現場監督だったりで、まぁいつも汚い格好で走り回ってました。携わった建築もまだまだ少なく、スタイルが確立している訳でもなかったのです。だから余計に「なぜに僕?」ってふと思ってしまったのです。
思い起こしてみれば、お引き受けした当時は、そんなことを考える余裕すらなかったのだと思います。頼まれたからには少しでも良い物にしたいって「欲」もあるもんですから、ただただ全力でやっていました。そんな訳で今更ではありますが、沢山のブレインに囲まれたこのご夫婦が何で僕を指名してくれたのか、ぶっちゃけ聞きたくなって「なんでここ作るの僕に任せてくれたの?」と聞いてみたのです。
答えはシンプルでした。
「通常はこうやって作る」ってことは、長い年月の間に蓄積された経験に基づく、いわば「スタンダード」であり、これを守っていれば大きく失敗することはないっていう安心感もあります。ですからこのスタンダードから外れるってことは、起こり得る不具合を想定して、新たな作り方を構築する想像力と技能が求められます。通常使わない材料を使ってみたり、古い物を新しいところに融合させてみたり…しかも、完成した時に美しくあるのはもちろんですが、10年後も20年後も機能してくれなくてはいけません。
「欲しいモノ」と言ってもお客様は素人さんなので、絶対にやってはいけない建築上の禁じ手だったり、情報の偏りにより選択肢の視野を自ら狭めている場合もあります。なので「欲しいモノ」をそのまま作ることだけが決して良い仕事だとも思っておらず、まずは「欲しいモノ」のイメージや使い方などを徹底的にヒヤリングして、「欲しいモノ」の本質を見極める作業が大切です。
その上で、「欲しいモノってのはこう言う感じでしょ」ってこちらから提案して、ピッタリ当てはまった時はお客様も喜んでくれるし、こちらもかな〜り嬉しいもんです。
「一緒に考えてモノづくりをする」ってことは、そんなに簡単なことではないのですよ。ビジネスとしてだけ考えるならば、でスタンダードをはずさないのが一番楽なのです。でもそれだけでは満足のいく家づくりではなく、妥協を受けいれた家づくりになってしまいます。お客様と作り手との双方に、少しでも良い物にしたいって「欲」がなくては、とてもじゃないけどできない…それくらいエネルギーのいる作業です。
こうした、良い意味での「欲」はモノづくりに携わる者の資質でもあり、そういうところをこのご夫婦が見てくれていたのかと思うと、今更ながらとっても嬉しく感じたのです。ありがたいことにその「欲」は、現在も衰えておりません。
10年くらい前に作らせてもらったカフェのご夫婦と、いろいろと思い出話をしていました。もともとこのご夫婦と歳は離れているのですが、夫婦ともどもお友達のような関係で、共通の友人の話や子供の話、山の話、音楽の話など、この日も夜が更けるのも忘れて話し込んでおりました。
そんな流れでお店を作った当時の話にもなって、うまくいったことや苦労したこと、笑い話など…話は尽きないのです。で、今更こんなこと聞くのも何なのですが、「そう言えば、なんでここ作るの僕に任せてくれたの?」って聞いてみました。
と言うのも、このご夫婦のお友達に地元ではけっこう有名な建築家がいて、その方の話も出てきたのですが、あの頃の流れで行けば当然この方に相談するのが自然な流れなのに、「なぜに僕?」と言う素朴な疑問が湧いて来たのです。とても良い仕事をされている方で、社会的にも認められており、人柄はもちろんこのご夫婦が一番よく知っているわけです。
その頃の僕はと言うと、独立して間もない頃で、まだ現在の四季の家工房の形にはなっていなく、一人で図面を描いたり、大工をやったり、現場監督だったりで、まぁいつも汚い格好で走り回ってました。携わった建築もまだまだ少なく、スタイルが確立している訳でもなかったのです。だから余計に「なぜに僕?」ってふと思ってしまったのです。
思い起こしてみれば、お引き受けした当時は、そんなことを考える余裕すらなかったのだと思います。頼まれたからには少しでも良い物にしたいって「欲」もあるもんですから、ただただ全力でやっていました。そんな訳で今更ではありますが、沢山のブレインに囲まれたこのご夫婦が何で僕を指名してくれたのか、ぶっちゃけ聞きたくなって「なんでここ作るの僕に任せてくれたの?」と聞いてみたのです。
答えはシンプルでした。
「一緒に考えてくれそうだったから。」
こんな嬉しい言葉があるでしょうか!僕には建築を始めてからずーと変わらない想いがあるのですが、それは「住む人が欲しいモノを作る」ってことです。文字にしてしまえばあまりにも当たり前なことのようですが、いったん建築を供給する側の人間になってしまうと、「これは通常こうやって作るものだ」っている固定概念が先行してしまって、通常でないことに対しては検討するまでもなくバリアを張ってしまう…っていう傾向があるのです。又、これを一概に「悪いこと」とくくることもできないのです。「通常はこうやって作る」ってことは、長い年月の間に蓄積された経験に基づく、いわば「スタンダード」であり、これを守っていれば大きく失敗することはないっていう安心感もあります。ですからこのスタンダードから外れるってことは、起こり得る不具合を想定して、新たな作り方を構築する想像力と技能が求められます。通常使わない材料を使ってみたり、古い物を新しいところに融合させてみたり…しかも、完成した時に美しくあるのはもちろんですが、10年後も20年後も機能してくれなくてはいけません。
「欲しいモノ」と言ってもお客様は素人さんなので、絶対にやってはいけない建築上の禁じ手だったり、情報の偏りにより選択肢の視野を自ら狭めている場合もあります。なので「欲しいモノ」をそのまま作ることだけが決して良い仕事だとも思っておらず、まずは「欲しいモノ」のイメージや使い方などを徹底的にヒヤリングして、「欲しいモノ」の本質を見極める作業が大切です。
その上で、「欲しいモノってのはこう言う感じでしょ」ってこちらから提案して、ピッタリ当てはまった時はお客様も喜んでくれるし、こちらもかな〜り嬉しいもんです。
「一緒に考えてモノづくりをする」ってことは、そんなに簡単なことではないのですよ。ビジネスとしてだけ考えるならば、でスタンダードをはずさないのが一番楽なのです。でもそれだけでは満足のいく家づくりではなく、妥協を受けいれた家づくりになってしまいます。お客様と作り手との双方に、少しでも良い物にしたいって「欲」がなくては、とてもじゃないけどできない…それくらいエネルギーのいる作業です。
こうした、良い意味での「欲」はモノづくりに携わる者の資質でもあり、そういうところをこのご夫婦が見てくれていたのかと思うと、今更ながらとっても嬉しく感じたのです。ありがたいことにその「欲」は、現在も衰えておりません。
2015.04.10
昨日、緊急告知した「まな板の展示会」ですが、急なことだったもんで、写真もなくてスミマセン。今朝ばたばたと搬入してきたんで、やっと写真をアップできます。
ずらっと並んだ色も形もばらばらのまな板たち…なかなか壮観でしょ。何故かこのコたちは並べると、よりいっそう愛嬌をふりまいてくれるんですよ。
この棚、普段は本が並べられているのです。決してまな板たちのために用意した物ではないのですが、なんかあつらえたみたいにぴったりですね。
もうひとつ嬉しいハプニングがありまして、関の刃物メーカーの志津刃物さんとコラボできることになりました。これも急に決まったのですが…と言うより搬入に行ったらそういう話になっていて、ビックリでした。それにしてもまな板と包丁…これ以上のコラボがあるでしょうか。
しかも、関の高級ブランド!志津刃物さんの包丁!心なしか、まな板も少し高級に見えてきますなぁ。どうやら、このまな板作りを始めるきっかけにもなったフードコーディネーターのN子さんがさりげなく声を掛けてくれたそうで、どちら様もありがとうございます。
展示販売は土曜日の夜の営業が終るまでです。どうぞよろしくお願いいたします。
ずらっと並んだ色も形もばらばらのまな板たち…なかなか壮観でしょ。何故かこのコたちは並べると、よりいっそう愛嬌をふりまいてくれるんですよ。
この棚、普段は本が並べられているのです。決してまな板たちのために用意した物ではないのですが、なんかあつらえたみたいにぴったりですね。
もうひとつ嬉しいハプニングがありまして、関の刃物メーカーの志津刃物さんとコラボできることになりました。これも急に決まったのですが…と言うより搬入に行ったらそういう話になっていて、ビックリでした。それにしてもまな板と包丁…これ以上のコラボがあるでしょうか。
しかも、関の高級ブランド!志津刃物さんの包丁!心なしか、まな板も少し高級に見えてきますなぁ。どうやら、このまな板作りを始めるきっかけにもなったフードコーディネーターのN子さんがさりげなく声を掛けてくれたそうで、どちら様もありがとうございます。
展示販売は土曜日の夜の営業が終るまでです。どうぞよろしくお願いいたします。
2015.04.09
緊急告知です!たいへん急な話で申し訳ありませんが、本日4月9日(木)から3日間、関市のカフェささやさんにて「まな板の展示販売会」を開催することになりました。
…と言うのも、「つながりフェスティバル行けなかったんだよね〜」と言うお声が結構あったので、先日の日曜日に地元山県市の十五社神社さんの青空フリマに出店を予定していたんですが、残念ながら雨のため中止となってしまいました。
増産したまな板たちは又の機会のためにとっておきましょう…と思っていたそんな折、カフェ・マビッシュさんのオープニングでささやさんとばったり会って、立ち話している時にまな板の話になったんですね。
「私も見てみたいなぁ〜」とささやさん。そこに「私も欲しいのよ〜」という方も加わって、「じゃ、ささやで1dayまな板屋さんやりましょう〜!」って話になりました。その後、「せっかく搬入するなら1dayじゃもったいないんで3daysで」ってことになりました。ささやさん、ありがとうございます!
ふらっと行けば誰かがいて、点と点が面になっていく、みたいな地域に根差したカフェ文化、おもしろいですね。ささやさんにしろ、マビッシュさんにしろ、こう言う楽しい空間作りのお手伝いができたことは建築屋として本当にありがたいことです。
今日からの3日間…ぜひ「カフェ・ささや」さんまでお気軽に遊びに来てください!(まな板がどんな感じかは、つながりフェスティバルの様子をご覧ください。)
…と言うのも、「つながりフェスティバル行けなかったんだよね〜」と言うお声が結構あったので、先日の日曜日に地元山県市の十五社神社さんの青空フリマに出店を予定していたんですが、残念ながら雨のため中止となってしまいました。
増産したまな板たちは又の機会のためにとっておきましょう…と思っていたそんな折、カフェ・マビッシュさんのオープニングでささやさんとばったり会って、立ち話している時にまな板の話になったんですね。
「私も見てみたいなぁ〜」とささやさん。そこに「私も欲しいのよ〜」という方も加わって、「じゃ、ささやで1dayまな板屋さんやりましょう〜!」って話になりました。その後、「せっかく搬入するなら1dayじゃもったいないんで3daysで」ってことになりました。ささやさん、ありがとうございます!
ふらっと行けば誰かがいて、点と点が面になっていく、みたいな地域に根差したカフェ文化、おもしろいですね。ささやさんにしろ、マビッシュさんにしろ、こう言う楽しい空間作りのお手伝いができたことは建築屋として本当にありがたいことです。
今日からの3日間…ぜひ「カフェ・ささや」さんまでお気軽に遊びに来てください!(まな板がどんな感じかは、つながりフェスティバルの様子をご覧ください。)
2015.03.30
数日間、冬のような寒〜い日が続きましたが、ようやく春本番がやってきましたね。桜もぼちぼち咲き始めました。春の到来には先を越されましたが、カフェ・マビッシュさんの工事も大詰めです。大詰めと言うか、四季の家工房の工事は全て終わってまして、現在はオーナーの手による「味付け」作業が着々と進んでいるところです。
カフェの見せ場のひとつ、カウンターのデザインはコレ!以前の日記でふれた合板の端材を寄せ集めてコラージュした壁を採用していただきました。どうです、この存在感。合板の断面を地層に見立てた、マッシブな感じの壁です。
カフェの見せ場のひとつ、カウンターのデザインはコレ!以前の日記でふれた合板の端材を寄せ集めてコラージュした壁を採用していただきました。どうです、この存在感。合板の断面を地層に見立てた、マッシブな感じの壁です。
しかもこれ、女性オーナーの手作りなんですよ。厚い物や薄い物、くさび形に斜めになっている物、アクセントの四角など、心のおもむくままに貼っていくのですが、実はそんなに簡単ななく作業ではなく、出幅が揃いすぎないようにばらしてみたり、揃えるところは寸法を測って揃えなくてはいけないし、なかなか忍耐力に加えて集中力も必要な作業なのです。
しかも、水平のラインが崩れると、地層のイメージが台無しになるので、細部に注意するとともに全体を見渡す、総合力が問われます。
実際に現場の作業に入る前の準備も大切でして、この部分は四季の家工房がばっちりサポートさせてもらっています。合板の端材を集めてはとにかく丸鋸で割りまくるんですが、手持ちの丸鋸でやってたらキリがないので自動で丸鋸がスライドするパネルソーと言う機械が大活躍してくれます。
幅が均一にならないように厚い物や薄い物をおりまぜるのですが、大量に割っているとどうしても単調になってしまうんで、あえて斜めにしたりしていろいろな形を切りだすようにしました。ゴミ袋に入れておくと本当にゴミのようですが、これはわざわざ手間をかけた大切な材料なのです。
現場でのとっかかりの指導も行います。まずは対象となる壁面に約5cmピッチで水平の線を印します。これは、この線にあわせて貼ると言う意味ではなく、何段も貼っていくうちに水平のラインがずれてしまわないように目安として使うラインです。
多少ずれたとしても早めに気がつけば修正も可能ですが、ほぼほぼ貼り終わったところで最後の隙間が斜めになっていたら修正のしようがありません。そのための目安となる重要なラインなのです。
貼りつけは速乾ボンドを使いました。このボンドは両面に塗布して、塗布後しばらくオープンタイムをおいてから貼りつけると、仮押さえなしでぴたっとくっつく大変便利な接着剤です。最初に壁面に10cm幅くらいで塗布しておいて、それからくっつける合板に塗布し、しばらくオープンしてからギュッと貼りつけると、もう落ちてくることはありません。
で、現物をあてがって幅や長さなど前後左右との取り合いを考えながら、ちょうど良い物を探してはくっつけていきます。なかなか根気のいる作業です。
最後にコゲ茶色の水性塗料を水で薄めたものを塗ったら仕上がりです。ほんのちょっと着色しただけですが、合板の切り口の縞模様が一段と際立って壁全体の陰影が深くなりました。う〜ん、いい感じだ!
カフェ・マビッシュさんは4月7日の午前9時にリニューアルオープン予定です。ぜひ!
しかも、水平のラインが崩れると、地層のイメージが台無しになるので、細部に注意するとともに全体を見渡す、総合力が問われます。
実際に現場の作業に入る前の準備も大切でして、この部分は四季の家工房がばっちりサポートさせてもらっています。合板の端材を集めてはとにかく丸鋸で割りまくるんですが、手持ちの丸鋸でやってたらキリがないので自動で丸鋸がスライドするパネルソーと言う機械が大活躍してくれます。
幅が均一にならないように厚い物や薄い物をおりまぜるのですが、大量に割っているとどうしても単調になってしまうんで、あえて斜めにしたりしていろいろな形を切りだすようにしました。ゴミ袋に入れておくと本当にゴミのようですが、これはわざわざ手間をかけた大切な材料なのです。
現場でのとっかかりの指導も行います。まずは対象となる壁面に約5cmピッチで水平の線を印します。これは、この線にあわせて貼ると言う意味ではなく、何段も貼っていくうちに水平のラインがずれてしまわないように目安として使うラインです。
多少ずれたとしても早めに気がつけば修正も可能ですが、ほぼほぼ貼り終わったところで最後の隙間が斜めになっていたら修正のしようがありません。そのための目安となる重要なラインなのです。
貼りつけは速乾ボンドを使いました。このボンドは両面に塗布して、塗布後しばらくオープンタイムをおいてから貼りつけると、仮押さえなしでぴたっとくっつく大変便利な接着剤です。最初に壁面に10cm幅くらいで塗布しておいて、それからくっつける合板に塗布し、しばらくオープンしてからギュッと貼りつけると、もう落ちてくることはありません。
で、現物をあてがって幅や長さなど前後左右との取り合いを考えながら、ちょうど良い物を探してはくっつけていきます。なかなか根気のいる作業です。
最後にコゲ茶色の水性塗料を水で薄めたものを塗ったら仕上がりです。ほんのちょっと着色しただけですが、合板の切り口の縞模様が一段と際立って壁全体の陰影が深くなりました。う〜ん、いい感じだ!
カフェ・マビッシュさんは4月7日の午前9時にリニューアルオープン予定です。ぜひ!
2015.03.09
春…と言うか初夏を思わせるような良いお天気でした。岐阜市金(こがね)公園の「つながりフェスティバル」はたいへんな盛り上がりで、楽しい一日はあっという間に過ぎていきました。
ご来場の皆様、スタッフの皆様、出店された皆様、まずは感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
こういうイベントへの出店は初めてだったので、商品の陳列方法や設営から撤収までの一連の流れ、会場の雰囲気など、わからないことだらけの参加でした。そんな時に良い人に出会うものです、正確に言うとすごーく久しぶりの再会なのですが、2週間ほど前に革細工をやっている若者とツナフェスの話になって、「僕も出店するんですよ〜」ということで「じゃあ、一緒に搬入して隣同士にお店を出そう」ってことになったんです。
この若者…僕の息子が保育園の時にお世話になった男性保育士さんで、僕自身も保育園の行事の時に一緒にバンドを組んだりして、楽しませてもらった仲なんです。卒園後、ちょっとご無沙汰だったのですが、良いタイミングに良い再会があるものですね。さすが「つながりフェスティバル」です。
オープン一時間半前に会場の金公園に入ったのですが、すでに半分くらいのブースが設営されていて早くもお祭りムードです。で、適当に場所を見つけて、自慢の陳列台をささっと組み立てて、開店準備OKです。
この陳列台…現場で使うコンパネ作業台をヒントに作ったのですが、1分間で組み立てが終了するなかなかの優れものでして、「この台がほしいなぁ〜」と言うお客さんもいたくらいです。どんなのかは、作業場で試し組みした時のビデオがあるんで見てくださいね。
「陳列台の組み立て映像」
さて、まな板の売れ行きはと言うと…オープン前からちょこちょこ売れ出して、午前中で大きめのサイズのものはほとんど売れてしまいました。
僕も作りながら「このくらいのサイズが売れ筋かもなぁ〜」とは思っていたのですが、何せ余った端材を利用して作るのでおのずとサイズには制約が出てきます。特に幅に関しては15cm前後の材が多く、20cmくらいのものが最大サイズです。
その後もちょこちょこ売れ続けて、イベント終了の4時頃には陳列台に隙間が目立つようになり、まずまずの大盛況だったと思います。
選ぶ人も大変です。全て形が違うし、樹種もサイズもいろいろだし、そんな中から自分に合ったものを探すのは楽しいことです。あれこれ使い方をイメージしたり、食材やテーブルとの色合いを考えたりしながら、悩みぬいて1枚を選んでいく方もいれば、一目で「あっ、このコかわいい!」と直感勝負の方もいて、そういう人たちとのおしゃべりも楽しませていただきました。
今回、販売させていただいたまな板は全て無垢の木材で作って、塗装はクルミオイルで仕上げてあります。クルミオイルは食料品店で売っている食用のものなので、「これ以上安全な塗料はない」と言っても良いでしょう。(クルミアレルギーの方は使用されない方が良いと思います。)
塗膜としては弱い物なので水で洗うと表面がかさかさしますが、気にならない方はそのまま使っていただいても大丈夫ですし、気になるようでしたらサンドペーパーで軽く撫でてからクルミオイルを塗ってもらえば、元通りに戻ります。どうぞ、末永く可愛がってやってください。
意外だったのは、各地のクラフトマーケットの主催者の方々から出店依頼のオファーをいただいたことです。夜なべ仕事がまたまた続きそうです〜。
ご来場の皆様、スタッフの皆様、出店された皆様、まずは感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
こういうイベントへの出店は初めてだったので、商品の陳列方法や設営から撤収までの一連の流れ、会場の雰囲気など、わからないことだらけの参加でした。そんな時に良い人に出会うものです、正確に言うとすごーく久しぶりの再会なのですが、2週間ほど前に革細工をやっている若者とツナフェスの話になって、「僕も出店するんですよ〜」ということで「じゃあ、一緒に搬入して隣同士にお店を出そう」ってことになったんです。
この若者…僕の息子が保育園の時にお世話になった男性保育士さんで、僕自身も保育園の行事の時に一緒にバンドを組んだりして、楽しませてもらった仲なんです。卒園後、ちょっとご無沙汰だったのですが、良いタイミングに良い再会があるものですね。さすが「つながりフェスティバル」です。
オープン一時間半前に会場の金公園に入ったのですが、すでに半分くらいのブースが設営されていて早くもお祭りムードです。で、適当に場所を見つけて、自慢の陳列台をささっと組み立てて、開店準備OKです。
この陳列台…現場で使うコンパネ作業台をヒントに作ったのですが、1分間で組み立てが終了するなかなかの優れものでして、「この台がほしいなぁ〜」と言うお客さんもいたくらいです。どんなのかは、作業場で試し組みした時のビデオがあるんで見てくださいね。
「陳列台の組み立て映像」
さて、まな板の売れ行きはと言うと…オープン前からちょこちょこ売れ出して、午前中で大きめのサイズのものはほとんど売れてしまいました。
僕も作りながら「このくらいのサイズが売れ筋かもなぁ〜」とは思っていたのですが、何せ余った端材を利用して作るのでおのずとサイズには制約が出てきます。特に幅に関しては15cm前後の材が多く、20cmくらいのものが最大サイズです。
その後もちょこちょこ売れ続けて、イベント終了の4時頃には陳列台に隙間が目立つようになり、まずまずの大盛況だったと思います。
選ぶ人も大変です。全て形が違うし、樹種もサイズもいろいろだし、そんな中から自分に合ったものを探すのは楽しいことです。あれこれ使い方をイメージしたり、食材やテーブルとの色合いを考えたりしながら、悩みぬいて1枚を選んでいく方もいれば、一目で「あっ、このコかわいい!」と直感勝負の方もいて、そういう人たちとのおしゃべりも楽しませていただきました。
今回、販売させていただいたまな板は全て無垢の木材で作って、塗装はクルミオイルで仕上げてあります。クルミオイルは食料品店で売っている食用のものなので、「これ以上安全な塗料はない」と言っても良いでしょう。(クルミアレルギーの方は使用されない方が良いと思います。)
塗膜としては弱い物なので水で洗うと表面がかさかさしますが、気にならない方はそのまま使っていただいても大丈夫ですし、気になるようでしたらサンドペーパーで軽く撫でてからクルミオイルを塗ってもらえば、元通りに戻ります。どうぞ、末永く可愛がってやってください。
意外だったのは、各地のクラフトマーケットの主催者の方々から出店依頼のオファーをいただいたことです。夜なべ仕事がまたまた続きそうです〜。
2015.03.04
先回の日記で端材を使って作った「カッティングボード」の記事を書きましたが、端材の再利用ネタでもうひとつ。先回の再利用は「捨てるのがもったいなくて取っておいた木」の使い道だったのですが、今回はさらにディープに…今まさに捨てられようとしているゴミの活かし方のご提案です。
この袋に入ったゴミは構造用合板の切れっぱしです。建築現場では、壁や床や屋根などの下地としてこの材料がよく使われています。よく「コンパネ」とか呼ばれていますが、厳密に言うと「コンパネ」と「構造用合板」はぜんぜん違うものです。「コンパネ」はコンクリートパネルを略した言い方で、コンクリートを流し込むための型枠を作るための材料です。
コンクリートが固まるまでの短期間を目的に作られた合板なので、本来、住宅のように長期にわたって住み続ける部分に使うためのものではありません。これを下地にして床を作ったりすると…10年とか20年経つと接着面が剥離して床がぶかぶかになってしまいます。たまにそのようなお宅から改修工事のご依頼をいただきますが、たいていの場合はこの接着面の剥離が原因です。
話がそれましたが、この「構造用合板」をどうやって再利用したものか…以前から温めていたアイデアなのですが、現在改修工事を進めているカフェ・マビッシュさんに使えるんじゃないかなぁと思い、ちょこっとサンプルを作ってみることにしました。
そのアイデアってのは…「合板の切り口を利用してコラージュしてみるってのはどぉ??」ってことなんです。合板ってのは通常は切り口は見せないのがセオリーなのですが、そこをあえて切り口を見せちゃう…切り口をじっと見てると、縞々で案外キレイだってことに気がつきます。
それを積み上げていくと地層のようでもあり、色が違ってたり穴があいていたりも程よくアクセントになり、この感じをどこかで使ってみたかったんですが、そこにマビッシュさんからの「ちょっとジャンクな感じのお店にしたい」って一言が結びついてしまいました。この言葉が鍵となって、古い引き出しがガバっと開いて、そうしたらこのイメージが飛び出してきた…って感じです。
元々お店の細かなしつらえと言うか味付けの部分は工房mituさんにお任せするはずだったので、あまり出しゃばるのはいけないと思ってるのですが、たまたまお店のアクセントとなるカウンターの壁の仕上げがまだ決まっていなかったのと、お金もあまりかけられない…ということなので、このゴミの再利用もいいのではないかと提案させてもらうことにしました。
で、イメージを伝えるべくサンプルを作ってみました。1枚目の写真のように積み重ねた端材が、実際に使う時には2枚目の写真のような感じになるんですが…どうですか??
着色したらもっと良くなると思いますよ!ぜひ、ご検討を!
この袋に入ったゴミは構造用合板の切れっぱしです。建築現場では、壁や床や屋根などの下地としてこの材料がよく使われています。よく「コンパネ」とか呼ばれていますが、厳密に言うと「コンパネ」と「構造用合板」はぜんぜん違うものです。「コンパネ」はコンクリートパネルを略した言い方で、コンクリートを流し込むための型枠を作るための材料です。
コンクリートが固まるまでの短期間を目的に作られた合板なので、本来、住宅のように長期にわたって住み続ける部分に使うためのものではありません。これを下地にして床を作ったりすると…10年とか20年経つと接着面が剥離して床がぶかぶかになってしまいます。たまにそのようなお宅から改修工事のご依頼をいただきますが、たいていの場合はこの接着面の剥離が原因です。
話がそれましたが、この「構造用合板」をどうやって再利用したものか…以前から温めていたアイデアなのですが、現在改修工事を進めているカフェ・マビッシュさんに使えるんじゃないかなぁと思い、ちょこっとサンプルを作ってみることにしました。
そのアイデアってのは…「合板の切り口を利用してコラージュしてみるってのはどぉ??」ってことなんです。合板ってのは通常は切り口は見せないのがセオリーなのですが、そこをあえて切り口を見せちゃう…切り口をじっと見てると、縞々で案外キレイだってことに気がつきます。
それを積み上げていくと地層のようでもあり、色が違ってたり穴があいていたりも程よくアクセントになり、この感じをどこかで使ってみたかったんですが、そこにマビッシュさんからの「ちょっとジャンクな感じのお店にしたい」って一言が結びついてしまいました。この言葉が鍵となって、古い引き出しがガバっと開いて、そうしたらこのイメージが飛び出してきた…って感じです。
元々お店の細かなしつらえと言うか味付けの部分は工房mituさんにお任せするはずだったので、あまり出しゃばるのはいけないと思ってるのですが、たまたまお店のアクセントとなるカウンターの壁の仕上げがまだ決まっていなかったのと、お金もあまりかけられない…ということなので、このゴミの再利用もいいのではないかと提案させてもらうことにしました。
で、イメージを伝えるべくサンプルを作ってみました。1枚目の写真のように積み重ねた端材が、実際に使う時には2枚目の写真のような感じになるんですが…どうですか??
着色したらもっと良くなると思いますよ!ぜひ、ご検討を!
2015.02.24
「ナラ、タモ、メープル、チェリー、チーク、ポプラ、アッシュ、etc.」…これ木の名前です。それも広葉樹ばかり。しかも切れっぱしばっか。
この妙な形の板は、これらの広葉樹を使って作っている「まな板」なんです。「まな板」と言うより「カッティングボード」と言った方が、おしゃれかもしれませんね。まな板と言うと長方形の板を思い浮かべますが、それじゃあ面白くないので思いっきり自由な形を作ってみました。
使い方のイメージは…まな板の上で料理すると言うよりは、チーズやお菓子などを盛り付けてテーブルのアクセントとして使ってもらえれば良いかなぁと思います。作り方はそんなにむずかしくないんで、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
この妙な形の板は、これらの広葉樹を使って作っている「まな板」なんです。「まな板」と言うより「カッティングボード」と言った方が、おしゃれかもしれませんね。まな板と言うと長方形の板を思い浮かべますが、それじゃあ面白くないので思いっきり自由な形を作ってみました。
使い方のイメージは…まな板の上で料理すると言うよりは、チーズやお菓子などを盛り付けてテーブルのアクセントとして使ってもらえれば良いかなぁと思います。作り方はそんなにむずかしくないんで、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
じゃあ、作り方をご紹介します。まずは、材料の準備…今回はとにかく端材の有効利用を考えたので、作業場のすみっこに立てかけてるやつや、材木屋さんから売り物にならない端材(これが案外まとまった材なんですが)を格安で分けてもらったりして、100枚を目標に揃えてみました。
樹種は問わず、色の違いを愉しめるように、白っぽい木、茶色っぽい木、赤っぽい木など見た目重視です。
端材ではありますが建築や家具に使う材料なので厚さもかなりあり、そのままではゴツすぎるためまずはバンドソー(帯鋸)で半分の厚さに割り返します。次に鉋盤でノコ目がなくなるところまで削って、およそ13mm厚の板ができました。
その板に鉛筆で自由に線を描いていきます。今回のコンセプトとして、すべて違う形で極力幾何学形にならないようにしました。ただし、すべて違う形なんだけど、何となく共通点があるようなないような…。
又、立てかけて並べた時、何となく見え方が面白いと良いなぁと言う思いもあり、立てかけた時に落ち着きが良いように底辺に一ヵ所直線部分も作ってみました。直線が全くない物もありますがまぁだいたいこんな感じで、ひとつひとつが作品であり並べてみたら全体が作品のような…そんな感じを狙いました。
自由に線を引くのは本当に楽しい作業ですが、すべて自由にと言うわけにはいきません。何せ材料は自然の木なので節や割れや虫喰い等の欠点により絵柄が左右されます。したがって、大きさやだいたいの形は材料によって決まり、その条件を活かしつつ線を描いていくんです。
形はあえていびつにするんですが、いびつな中にも気持ちの良いいびつさと気持ちの悪いいびつさがあるのに気がつきます。そして、カーブとカーブが流れるように連続するように、手首を支点にして鉛筆を長く持ったり短く持ったりしながら、半径を調節したり、肘を支点にしてみたり、勢いだけで描いてみたり…。
時に直定規をしならせてみたり、缶コーヒー、ガムテープ、ヤカンのふたなど、丸い物は何でも利用してみたりもします。ただ、真ん丸な物は使いすぎると面白くない形になってしまうので最小限にとどめますが…。
この下絵を描く作業は本当に楽しくて、最初の10枚くらいはどんどん描けてしまいます。ところが、数を描くにつれアイデアが続かなくなることに気付かされ、「イメージの枯渇って案外はやいものなんだなぁ」と自分でも驚いたりもします。なので、気分転換しながら辛くならない程度にやってますが、大量にイメージを絞り出す作業って、案外脳みその良いトレーニングになるのかもしれませんよ!
いよいよ切り出しです。道具はジグソーを使いました。ジグソーのコツは「慌てない」ということです。電動工具はつい先を急いでどんどん切り進みたくなりますが、よくある失敗はカーブの外に膨らんでしまうことです。カーブの内側を使う場合は外に対して何回切り直しても材は無事ですが、カーブの外側を使う場合はいったん膨らんでしまうと元に戻すことができません。余計な刃跡を残してしまうと、次の工程のサンダーがけで仕上げるのに何倍もの時間を要してしまいます。
又、無理に軌道を修正しようとして鋸刃にねじる力がかかると、材料との摩擦で鋸刃が熱を帯び刃が折れる原因にもなります。それと、材種や木目方向によっては木の繊維を引っ掛けてバリが浮いてしまうので、そんな時はマスキングテープを材料の上面に貼ってから切ると良いでしょう。ジグソーは上方向に切断していく工具なので、下面にバリが出ることはほぼありません。
最終段階のサンダー仕上げです。今回は大量に作るので電動工具のベルトサンダーを使いますが、一枚や二枚だったらサンドペーパーを使って手で仕上げても良いでしょう。ジグソーの切り口は#60くらいのペーパーから始めて、#120か#240と倍々に番手を上げて研磨すれば効率よくきれいに仕上がります。
カーブに沿って仕上げるので、5mm程度のゴム板にサンドペーパーを巻き付けて使うと便利です。表裏の面も仕上げたら、最後は面取りです。面取りもサンドペーパーで良いですが、あまり面を取りすぎると形の印象がぼやけてしまうので、僕の場合は手で触ってあたりが柔らかくなる程度にほんのちょっと取るだけにしています。まぁ、ここは好みもあるので、よしなに…。
塗装をする場合は、口に入れても大丈夫な安全な塗料を選んでください。僕は塗膜を作るような塗装はせず、クルミの油を摺りこんでいます。何せ食べ物なのでこれ以上安全な塗料はありませんが、アレルギーだけには気を遣った方がいいですね。
やり方は…布キレでクルミの実を包んでクルミを粉々に砕くと、じわっと油が染み出てきます。それをじかに摺りこむだけで塗装完了です。クルミひと粒でこのサイズのまな板ならば5枚くらいは塗れると思います。何回か洗っているうちに取れてしまいますが、そうしたら又塗り重ねればいいんです。そのうちにどんどん味わいが深い色になっていきますよ。
さて、今回大量に作ったのには訳がありまして…3月8日の「つながりフェスティバル」に出店します。
完成品が欲しい方は岐阜市金公園にGO!面白そうなブースやイベントがたくさんありますよ〜!
樹種は問わず、色の違いを愉しめるように、白っぽい木、茶色っぽい木、赤っぽい木など見た目重視です。
端材ではありますが建築や家具に使う材料なので厚さもかなりあり、そのままではゴツすぎるためまずはバンドソー(帯鋸)で半分の厚さに割り返します。次に鉋盤でノコ目がなくなるところまで削って、およそ13mm厚の板ができました。
その板に鉛筆で自由に線を描いていきます。今回のコンセプトとして、すべて違う形で極力幾何学形にならないようにしました。ただし、すべて違う形なんだけど、何となく共通点があるようなないような…。
又、立てかけて並べた時、何となく見え方が面白いと良いなぁと言う思いもあり、立てかけた時に落ち着きが良いように底辺に一ヵ所直線部分も作ってみました。直線が全くない物もありますがまぁだいたいこんな感じで、ひとつひとつが作品であり並べてみたら全体が作品のような…そんな感じを狙いました。
自由に線を引くのは本当に楽しい作業ですが、すべて自由にと言うわけにはいきません。何せ材料は自然の木なので節や割れや虫喰い等の欠点により絵柄が左右されます。したがって、大きさやだいたいの形は材料によって決まり、その条件を活かしつつ線を描いていくんです。
形はあえていびつにするんですが、いびつな中にも気持ちの良いいびつさと気持ちの悪いいびつさがあるのに気がつきます。そして、カーブとカーブが流れるように連続するように、手首を支点にして鉛筆を長く持ったり短く持ったりしながら、半径を調節したり、肘を支点にしてみたり、勢いだけで描いてみたり…。
時に直定規をしならせてみたり、缶コーヒー、ガムテープ、ヤカンのふたなど、丸い物は何でも利用してみたりもします。ただ、真ん丸な物は使いすぎると面白くない形になってしまうので最小限にとどめますが…。
この下絵を描く作業は本当に楽しくて、最初の10枚くらいはどんどん描けてしまいます。ところが、数を描くにつれアイデアが続かなくなることに気付かされ、「イメージの枯渇って案外はやいものなんだなぁ」と自分でも驚いたりもします。なので、気分転換しながら辛くならない程度にやってますが、大量にイメージを絞り出す作業って、案外脳みその良いトレーニングになるのかもしれませんよ!
いよいよ切り出しです。道具はジグソーを使いました。ジグソーのコツは「慌てない」ということです。電動工具はつい先を急いでどんどん切り進みたくなりますが、よくある失敗はカーブの外に膨らんでしまうことです。カーブの内側を使う場合は外に対して何回切り直しても材は無事ですが、カーブの外側を使う場合はいったん膨らんでしまうと元に戻すことができません。余計な刃跡を残してしまうと、次の工程のサンダーがけで仕上げるのに何倍もの時間を要してしまいます。
又、無理に軌道を修正しようとして鋸刃にねじる力がかかると、材料との摩擦で鋸刃が熱を帯び刃が折れる原因にもなります。それと、材種や木目方向によっては木の繊維を引っ掛けてバリが浮いてしまうので、そんな時はマスキングテープを材料の上面に貼ってから切ると良いでしょう。ジグソーは上方向に切断していく工具なので、下面にバリが出ることはほぼありません。
最終段階のサンダー仕上げです。今回は大量に作るので電動工具のベルトサンダーを使いますが、一枚や二枚だったらサンドペーパーを使って手で仕上げても良いでしょう。ジグソーの切り口は#60くらいのペーパーから始めて、#120か#240と倍々に番手を上げて研磨すれば効率よくきれいに仕上がります。
カーブに沿って仕上げるので、5mm程度のゴム板にサンドペーパーを巻き付けて使うと便利です。表裏の面も仕上げたら、最後は面取りです。面取りもサンドペーパーで良いですが、あまり面を取りすぎると形の印象がぼやけてしまうので、僕の場合は手で触ってあたりが柔らかくなる程度にほんのちょっと取るだけにしています。まぁ、ここは好みもあるので、よしなに…。
塗装をする場合は、口に入れても大丈夫な安全な塗料を選んでください。僕は塗膜を作るような塗装はせず、クルミの油を摺りこんでいます。何せ食べ物なのでこれ以上安全な塗料はありませんが、アレルギーだけには気を遣った方がいいですね。
やり方は…布キレでクルミの実を包んでクルミを粉々に砕くと、じわっと油が染み出てきます。それをじかに摺りこむだけで塗装完了です。クルミひと粒でこのサイズのまな板ならば5枚くらいは塗れると思います。何回か洗っているうちに取れてしまいますが、そうしたら又塗り重ねればいいんです。そのうちにどんどん味わいが深い色になっていきますよ。
さて、今回大量に作ったのには訳がありまして…3月8日の「つながりフェスティバル」に出店します。
完成品が欲しい方は岐阜市金公園にGO!面白そうなブースやイベントがたくさんありますよ〜!
2015.02.17
早い!早すぎる〜!1月が終わったと思ったら、2月ももうちょこっとしか残っていない!まぁ年の初めは誰にとっても早いのでしょうが、今年の四季の家工房は時間の経つスピードが特別に早く感じられます。何せ年明け早々に上海の現場に2週間、上海から帰ってきたと思ったら、今度は長野に1週間出張工事に行ってました。
そんな中、カフェ・マビッシュさんの改修工事を進めつつ、昨年の末に基礎工事を始めた住宅の木工事が本格的に始まったり、etc...etc...で、大忙しと思っていたら、なんと上海の追加工事にまたお声がかかりました。それも、急なんてもんじゃあなくて「明日これますか?」みたいな話です。
この現場、日本企業の上海での事業展開のお手伝いなんです。これまで中国に進出する日本企業と言うと、まずは工場等の生産拠点であったり物流であったり「モノ」が絡むところから始まり、やがてITやコンビニのような情報やサービスを輸出するようになりました。
で、今回の現場のお施主様である日本の企業が上海に持ち込むのは、日本のリラクゼーション文化とも言ってよい「あれ」なんです。まぁ詳しくは言えませんが…日本人だったら身近な存在のものです。
これまで経験も習慣もないようなスタイルの文化を異国で展開するのですから、ここまで形にするには並々ならぬご苦労があったことと思います。僕たちはその最後の味付けのところで呼んでいただいたわけですが、その味付けって言うのがこの会社がこだわった「和」のしつらえなんですね。
最後のギリギリまで作業して、オープン前日の深夜遅くまで頑張ってきたみたいです。まぁ僕は行ってないんですんけどね…。本当は行った本人が日記を書いてくれれば、もっと臨場感があるおもしろい文章になるんでしょうけど、何せウチの人たち筆不精なもんで…。
こういう仕事にたずさわると感じることなのですが、人間の欲求ってやっぱり「衣・食・住」のような生存に不可欠なことから充足させていって、最終的なニーズとして「快適性」や「利便性」が商品となるんですね。「リラクゼーション」を輸出するって、まさにそういうことなんだと思います。市場がないところに市場を作っていくなんて、本当にすごい仕事だなと思います。
そんな中、カフェ・マビッシュさんの改修工事を進めつつ、昨年の末に基礎工事を始めた住宅の木工事が本格的に始まったり、etc...etc...で、大忙しと思っていたら、なんと上海の追加工事にまたお声がかかりました。それも、急なんてもんじゃあなくて「明日これますか?」みたいな話です。
この現場、日本企業の上海での事業展開のお手伝いなんです。これまで中国に進出する日本企業と言うと、まずは工場等の生産拠点であったり物流であったり「モノ」が絡むところから始まり、やがてITやコンビニのような情報やサービスを輸出するようになりました。
で、今回の現場のお施主様である日本の企業が上海に持ち込むのは、日本のリラクゼーション文化とも言ってよい「あれ」なんです。まぁ詳しくは言えませんが…日本人だったら身近な存在のものです。
これまで経験も習慣もないようなスタイルの文化を異国で展開するのですから、ここまで形にするには並々ならぬご苦労があったことと思います。僕たちはその最後の味付けのところで呼んでいただいたわけですが、その味付けって言うのがこの会社がこだわった「和」のしつらえなんですね。
最後のギリギリまで作業して、オープン前日の深夜遅くまで頑張ってきたみたいです。まぁ僕は行ってないんですんけどね…。本当は行った本人が日記を書いてくれれば、もっと臨場感があるおもしろい文章になるんでしょうけど、何せウチの人たち筆不精なもんで…。
こういう仕事にたずさわると感じることなのですが、人間の欲求ってやっぱり「衣・食・住」のような生存に不可欠なことから充足させていって、最終的なニーズとして「快適性」や「利便性」が商品となるんですね。「リラクゼーション」を輸出するって、まさにそういうことなんだと思います。市場がないところに市場を作っていくなんて、本当にすごい仕事だなと思います。
2015.01.19
ありきたりな言葉で言うと…「あっと言う間に1月も終わりそう〜」な感じですね。今年の年明けの四季の家工房は、いつもと違う感じでスタートしました。何が違うかって言うと、現在通常の半分人員…3人しかいないんです。その3人がフル稼働でやっている仕事は、関の「カフェ・マビッシュ」さんの改修工事です。
このカフェはちょっとというかかなり変わっていて…お店がないのです。正確に言うとお店がないわけじゃあないのですが、建物としてのお店ではなく、道路沿いのちょっとしたスペースに置いたパラソルやパーゴラの下できままな時を愉しむ…みたいな、とってもユニークで自由なスペースなんです。
お店もユニークなら訪れるお客さんもユニークな人たちばかりで、ふらっと行ってそんな人たちとおしゃべりを楽しめる、なかなかおしゃれなお店なのです。
僕もオープン当初からの常連客のひとりでして、スケッチ展覧会を開かせてもらったり、手作りカヤックの完成お披露目をさせてもらったり、ギターのライブやらレッスンやらで、たいがいお世話になっております。そのマビッシュさんがお店の改修工事を頼んでくれたのですから、まあ本当に男冥利に尽きると言うものです。
ただ、これはとても難しい仕事なんです。何せオープンエアーのお店を一部インドアにするのですから、もともとのオープンな感じを残しつつ機能と内装をまとめなくてはいけません。お客さんたちの注目度も高いですし、なかなか緊張感に包まれた年明け一発目の仕事です。
大変なこともあれば楽しみにしていることもいっぱいあって、今回の改修工事は工房mituさんとのコラボなんですが、このmituさんの手作りのアイテムがどんな風にマビッシュを彩ってくれるのか今からわくわくしています。mituさんは木や鉄やいろいろな素材を自由な感性で使って行く名人で、僕たちのような職人から見れば決して完成度は高くはないのですが、味のある作品をひょいひょいと作ってしまうんですね。
mituさんこれまでもマビッシュさんに少しづつ手を加えていて、行くたびに何かが進化(変化?)していて、そこを探すのもお客さんの楽しみのひとつだったかも…?「マビッシュの歴史=工房mituの歴史」みたいな感じですね。
だから、今回の改修工事も四季の家工房としてのデザインを前面に出すのではなく、オーナーとmituさんの感性が表現しやすいようなベースをとりまとめる役に徹しようと思ってます。(ただ、これがなかなか難しい役なのですよ。) マビッシュさんの、春のオープンをお楽しみにお待ちください!
で、四季の家工房の他のメンバーはどうしてるかと言うと…現在、上海に出張中です。上海で何をやってるかと言うとあまり詳しくは申せませんが、現地に事業展開する日本企業の店舗の内装工事をさせてもらいに行っています。建物本体は中国の建設会社が建てるのですが、その中で「和」にこだわった見せ場作りとして日本の大工が呼ばれたわけです。
毎日工事進捗の写真が送られてきますが、慣れない土地や食べ物に苦労しつつも頑張っているみたいです。もうそろそろ帰国できそうかな〜…?
このカフェはちょっとというかかなり変わっていて…お店がないのです。正確に言うとお店がないわけじゃあないのですが、建物としてのお店ではなく、道路沿いのちょっとしたスペースに置いたパラソルやパーゴラの下できままな時を愉しむ…みたいな、とってもユニークで自由なスペースなんです。
お店もユニークなら訪れるお客さんもユニークな人たちばかりで、ふらっと行ってそんな人たちとおしゃべりを楽しめる、なかなかおしゃれなお店なのです。
僕もオープン当初からの常連客のひとりでして、スケッチ展覧会を開かせてもらったり、手作りカヤックの完成お披露目をさせてもらったり、ギターのライブやらレッスンやらで、たいがいお世話になっております。そのマビッシュさんがお店の改修工事を頼んでくれたのですから、まあ本当に男冥利に尽きると言うものです。
ただ、これはとても難しい仕事なんです。何せオープンエアーのお店を一部インドアにするのですから、もともとのオープンな感じを残しつつ機能と内装をまとめなくてはいけません。お客さんたちの注目度も高いですし、なかなか緊張感に包まれた年明け一発目の仕事です。
大変なこともあれば楽しみにしていることもいっぱいあって、今回の改修工事は工房mituさんとのコラボなんですが、このmituさんの手作りのアイテムがどんな風にマビッシュを彩ってくれるのか今からわくわくしています。mituさんは木や鉄やいろいろな素材を自由な感性で使って行く名人で、僕たちのような職人から見れば決して完成度は高くはないのですが、味のある作品をひょいひょいと作ってしまうんですね。
mituさんこれまでもマビッシュさんに少しづつ手を加えていて、行くたびに何かが進化(変化?)していて、そこを探すのもお客さんの楽しみのひとつだったかも…?「マビッシュの歴史=工房mituの歴史」みたいな感じですね。
だから、今回の改修工事も四季の家工房としてのデザインを前面に出すのではなく、オーナーとmituさんの感性が表現しやすいようなベースをとりまとめる役に徹しようと思ってます。(ただ、これがなかなか難しい役なのですよ。) マビッシュさんの、春のオープンをお楽しみにお待ちください!
で、四季の家工房の他のメンバーはどうしてるかと言うと…現在、上海に出張中です。上海で何をやってるかと言うとあまり詳しくは申せませんが、現地に事業展開する日本企業の店舗の内装工事をさせてもらいに行っています。建物本体は中国の建設会社が建てるのですが、その中で「和」にこだわった見せ場作りとして日本の大工が呼ばれたわけです。
毎日工事進捗の写真が送られてきますが、慣れない土地や食べ物に苦労しつつも頑張っているみたいです。もうそろそろ帰国できそうかな〜…?
2015.01.01
あけましておめでとうございます。
2015年、消費増税は先送りされましたが、あいかわらず先行きの不透明さは変わりません。多分この感覚は、少なくとも僕がビジネスの最前線にいるうちはずっと続くと思われるので、いつまでも憂いてばかりいても仕方がありません。
そんな折、藻谷浩介さんの「里山資本主義」という考え方に出会いました。漠然と考えていたこと、あるいはこういう生き方もいいなぁと思っていたことが豊富なデータと独特な切り口で解説され、将来の不安が薄らぎ気持ちにぽっと明るい兆しが見えるような、そんな素敵なお話です。
そんなことをエネルギーにしつつ、本年も「皆さまの欲しい家」を作るため邁進して参ります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2015年、消費増税は先送りされましたが、あいかわらず先行きの不透明さは変わりません。多分この感覚は、少なくとも僕がビジネスの最前線にいるうちはずっと続くと思われるので、いつまでも憂いてばかりいても仕方がありません。
そんな折、藻谷浩介さんの「里山資本主義」という考え方に出会いました。漠然と考えていたこと、あるいはこういう生き方もいいなぁと思っていたことが豊富なデータと独特な切り口で解説され、将来の不安が薄らぎ気持ちにぽっと明るい兆しが見えるような、そんな素敵なお話です。
そんなことをエネルギーにしつつ、本年も「皆さまの欲しい家」を作るため邁進して参ります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。