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四季便りバックナンバー
 
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2023.03.07
この仕事をやるようになってからずいぶんな年月になりましたが、まだまだ知らないことはいっぱいある…というお話です。

扉を開くときに、「ぎっぎっぎぃー」と音が鳴ったらどんなもんでしょうか?僕としては扉は「すぅ〜っ」と開いてほしいのですが、この感覚ってもしかしたら現代の価値観にとらわれすぎているのかもしれません。

祠の扉これ…山の神様をお祀りする小さな祠なんです。祠本体は四季の家工房で作ったものではないのですが、なぜか扉の建て込みだけご依頼いただき、正面の観音開きの扉と、扉が取り付く枠の部分のみ作らせてもらいました。

サイズ感は扉一枚が手のひらより一回り大きい程度のほんの小さなものでして、桧の板を削って作ったものです。これがどのように取り付いているかと言うと…扉本体の端部が上下に飛び出していて、飛び出た部分を丸く削ってあります。ここが回転軸の心棒になって、受ける側の枠には丸い穴が掘られていて、そこに差し込んで扉を建てるわけです。

祠の扉ここからが本題なのですが、この丸い心棒と丸い穴の関係性が問題です。穴に対して心棒の直径が大きすぎると固くはまって動かないし、緩すぎるとカタカタしてしまいます。じゃ、どのくらいがいいかと言うと…これはつくり手の感覚になってしまうのですが、もし僕が作るのなら「すぅ〜っ」と開く程度に調整していたのではないかと思います。

でもこれ、違うらしいのです!実は「ぎっぎっぎぃー」と音が鳴らないとダメみたいです。音が鳴った方が格式を感じられるとのことです。そう言われてみると、確かにそんな感じもしますね。古い山門などでも扉がスカスカ開くよりも、おもむろに音を響かせながら開いた方が重厚さも感じさせます。何より、気軽に出入りするところではなく、心して敷居をまたぐ…みたいな精神性も加味されることでしょう。

いや〜、初めて知りました。建築の世界はやっぱり奥が深いですね…と感心してたのですが、なんと僕以外は宇佐美も堀部も知っていまして、「小僧の時に教わった」とか「誰それがそんな仕事をしていた」とか、薪ストーブにあたりながらそんな茶飲み話を楽しみました。

で、この音を鳴らすにはちょっとしたコツがあるそうで…心棒の部分をまん丸に削るのではなくて、ほんの少しだけ楕円になるように削るのだそうです。ほんの少しってところがミソで、ちょっとでも削りすぎてしまうと音は出なくなり、扉本体ごとつくり直しとなってしまいます。楕円の長径の2箇所をほんの少しきつめにして摩擦力を与えることで、微妙な音の加減と開くときの抵抗のバランスを取ります。難しいですね〜!

と言うことで、「ぎっぎっぎぃー」という音はコチラ!



知らずにスコスコの扉を建ててしまったら、「四季の家工房がつくった祠は音がならん!」ということで末代までの恥をさらすところでした。めでたしめでたし。
  小野  
 
2023.02.08
前回の四季便りでは排水管の勾配について書きましたが、ではウンコになった気持ちで、自然の摂理に従って配管を流れてみようかと思います。

まずは、トイレに座ってポトンと落ちたところが、トイレにたまった水(封水)の中です。タンクのレバーを引く、あるいはリモコンのスイッチで洗浄水が流され、サイホン現象により便器内部のS型の壁を越えてウンコは配管へと旅立ちます。

便器と配管のつなぎ方は床を抜いて真下に落とす床付けタイプと、壁を抜いて横に流す壁付けタイプがありますが、圧倒的に床付けが主流なので、ここでも床付けをイメージして…ウンコはまずは真下に落ちていきます。落ちたところで今度は横方向に曲がって建物の外を目指すのですが、上からはザアザアと水が流れてくるのでその勢いでウンコは横方向に流され、基礎の真下をくぐりぬけて家の外に出て、地面の下の配管までやってきました。

たいていの場合はここにマスという掃除口が設けられ、ここでまた90°横に曲げられて、今度は建物に沿って道路の方を目指して流れていきます。そして、公共下水道や浄化槽までたどり着いてくれれば一安心です。建築屋としては無事にウンコを送り出すという責任を果たせた思いです。

話を家から出て横移動を始めたウンコに戻します。ここまでくると当初はスゴイ勢いのあった洗浄水の力も弱まり、流しそうめんのごとくユラユラとした横移動が始まります。イメージは「ユラユラ」「プカプカ」です。水とともに流れるっていうのが重要です。

ここで先回の1/50とか1/100の勾配が重要になってきます。この時、配管の勾配が緩すぎたり水平だったらどうなるかというと…当然流れる勢いは弱まり、やがてウンコを流す力を失います。そうなると勢いを失った水はウンコを運ぶことはできず、やがて水だけが引いて行ってしまい配管内にはウンコが残されます。

配管の直径は10cmほどありますんで、この一撃で配管が詰まるわけではないのですが、水が引いてしばらくすると、これまで水というベールにまとわれていたウンコもやがてウンコの本質を取り戻し、ベタベタと配管にまとわりついてきます。そこに次のウンコが流されてくるとどうなるか…一旦できたウンコのダムにぶつかったウンコはさらに層を重ね、やがて配管全体がウンコで閉じられた状態になってしまいます。これがいわゆる「詰まり」です。

では、勾配を急にすればいいかと言うと…これはこれで宜しくないのです。どういうことが起こるかと言いますと、「水のスピードが速くなりすぎて、ウンコより先に水だけ流れて行ってしまう」のです。あくまでもウンコと水は一緒に流れる「ユラユラ」「プカプカ」というイメージが大切なのです。

そこで、話を先回の冒頭に戻して、「従来のトイレを節水タイプのトイレに交換するとトラブルが起こることがある」ってことですが、もちろん必ずこのトラブルが起こるわけではなく、たまたま悪い条件が重なってしまうと「こんなことも有り得る」という事例だと思ってください。

家の周りを見回してみて、地面が部分的に陥没しているとか、マスが沈んだり飛び出したり傾いたりしているとか、基礎がひび割れているなどの現象が見受けられたら要注意です。あるいは、過去にも外部で汚水があふれたことがあるとか、長い間空き家になっていた場合などもお気を付けください。

最後に…水道屋が使い方のヒントとしてこんなことを言ってました。「寝る前に水だけ流しておくとだいぶ違いますよ」と…まぁ、寝る前に「大」をすることはあまりないかとは思いますので、最後の「小」の時に「大」で流すとかでもよいと思います。

では、ウンコの話はここまで。ウンコ、ウンコと連発して失礼しました。リアルな方が伝わりやすいかと思って…というか、だんだん自分でもオモロクなってしまい…。
  小野  
2023.01.30
令和5年のスタートダッシュはいかがでしたでしょうか?四季の家工房は割と平穏な日々で、かと言って暇なわけでもなく、近所のリフォームの現場をいじったりしつつボチボチなスタートとなりました。

現場がとても近い…というか工場のほんとに近くなので、10時3時の休憩は工場に戻って、工場の片隅に置いてある薪ストーブに火を入れて過ごしています。火が起きると一人二人と人が集まってきて、ダベりながらコーヒーを飲む…というのが四季の家工房の冬の景色です。

「ダベる」と言うくらいで、本当にくだらない話や、どこでどんな魚が釣れたとか、あそこで食べたあれは旨かったみたいな話から、少し仕事に絡むような話…例えば、どこぞの大工が新しい道具を買ったらとても調子が良いようだとか、どこどこで道路工事が始まっているのであの道は通らない方がよいみたいな豆情報まで、まぁダベるわけです。火を眺めていると会話が弾んで良いですね、休憩時間が長くなりすぎてしまいますが…。

この日は、四季の家工房の大工の他に、水道屋の職人も交じって火を囲んでいました。で、聞いた話。「たまにですけど、古いトイレから節水タイプのトイレに交換してトラブることがあるんスよ〜」と、ここだけ聞くと「節水トイレはダメじゃん」ということになりますが、そういうことではありません。節水トイレ自体はTOTOとかINAXみたいなメーカーが設計して作っているものなので、便器本体に問題があるわけではないんです。

そもそも、ぼっとん便所から水洗トイレに変わっって来たのは昭和40〜50年頃のことで、当初は天井付近につけられたタンクから、高低差を利用して水を流す仕組みでした。ちょうど僕の少年時代とも重なるのでよく覚えているのですが、タンクからぶら下がったチェーンを引き下ろすとタンク底の栓が持ち上がり、それはそれは迫力のあるゴーという大音量と共に水が一気に駆け下りてきて、ウンコを流し去ってくれるのでした。

一度に流れる水量もかなりの量で、今調べてみると初期の水洗便所の水量は20リットル程だったようです。毎回ドバァ〜っと全量を流すと水がもったいないので、「オシッコの時は流す量を加減しなさい」とよく母親に叱られていました。

そんな初期の水洗トイレもやがて目にすることがなくなり、タンクの位置が低いロータンク式になりました。それも最初のころは壁の角に付ける三角形のタンクで便器とタンクが別々になったものでしたが、やがて洋式便器の一般化と共に便器とタンクが一体になったものも出回ってきて、カタチ的にはほぼ現在のトイレの形状に進化してきました。この頃の洗浄水量は約13リットルが標準的になり、3割以上の節水を実現したわけです。

僕は引っ越しが多かったおかげで、ここまで全てのトイレの歴史を身を持ってたどってきている…ということになります。その後は仕事を通してトイレを取り付ける側になって、数えきれないほどのトイレを設置してきましたが、現在主流なのが冒頭に出てきた「節水型のトイレ」です。タンク式のものもタンクレスのものも、現在は洗浄水量が約4リットル弱になり、初期から比べると8割の水を節約したわけで、トイレメーカーの技術革新は素晴らしいものですね。

これは僕の想像ですが…新しいトイレの開発のために、目標値を設定してフォルムを考え、実際につくってみて、実際にウンコを流してみて、しかも固いのや柔らかいのや、長いのや太いの…様々な実験を経て製品にするまでには、様々なご苦労があったものかと…。ちなみに、この節水トイレですが補助金の対象にもなっていますので、交換を検討されているならタイミング的には良いですよ。

で、なぜこれがトラブるかと言いますと…便器そのものではなく、建物側の配管に原因があるのではないかと思われます。水圧で下から上に持ち上げることができる給水と違って、排水はポンプアップという例外を除いては、あくまでも自然落下を利用して上から下に向かって流れるだけです。だから流れるためには自然の摂理が絡んできます。

そのため排水管に勾配をつけておくのですが、新築時はともかくとして、10年20年という時間の流れの中で土中に埋めた配管自体が沈下していく事もあります。その沈下も部分的に起こる場合があるのですが、そうなると新築時に確保していた勾配が水平に近くなってしまったり、時には逆勾配になってしまうこともあります。これまで13リットルの水で流していたので多少の勾配不足があっても流れていたものが、4リットルに交換したとたんに流れていかなくなる…と言うことも考えられます。

「じゃ、あらかじめ急な勾配をつけておけばいいじゃん」と思われる方もいるかもしれませんが、これはこれで具合が悪いのです。標準的な勾配は配管の太さにもよるのですが、1/50〜1/100と言う決まりがあります。これは「50センチで1センチ下がる」とか「1メートルで1センチ下がる」という意味です。これを守って配管を敷設するのって結構シビアな仕事でして、ただ穴を掘ってパイプを埋めてるだけに見える水道屋さんの仕事って、案外繊細な仕事なのです。

長くなるので一旦ここまでとして、続きは次回に回します。
  小野  
 
2023.01.01
あけましておめでとうございます。令和も5年目になりました。年頭のご挨拶として、気持ちの良いことばかり書ければ良いのですが、今年もなかなか難しい一年になりそう…と言うのが実感です。昨年から引き続き、年明け早々にも値上げの情報が飛び交っていたり、世界的不安定な状況にも未だ明るい兆しは見ることができません。

そんな中、日本が次世代半導体の国産化に向けて大きく舵を切ったことは、とても希望の持てるニュースです。半導体って、いまやこれ無しには生活も生産も教育も…ひいては国として重要な案件までも、ほとんどのことが立ち行かなくなってしまうほど無くてはならない存在です。

その最先端の次世代半導体を国産できるってことは、ある意味、国の有り様を左右する重大な事柄です。もちろん、一朝一夕に成ることではありませんが、次世代半導体が旗振り役となって、再び「モノづくりニッポン」として一人一人が前を向いて生きていけるような社会になってほしいですね。

僕たち建築屋もモノづくりの末端として、そんな社会を支えられような存在でありたいと思います。本年も、四季の家工房をよろしくお願いいたします。
  小野  
 
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