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2014.12.24
2014年の大きな出来事と言えば、やはり4月にあった消費税8%への増税が挙げられるでしょう。

国民全員が大きな影響を受けているのですが、僕たちのような建築屋にとっても「景気後退」「負担増」などと言った直接的な影響だけでなく事務手続きや仕入れなどの手間も増え、多岐にわたってかなりの負担になりました。そして、年の瀬となった今でも、まだその影響は続いていると言わざるを得ません。

アトリエ・ニコリ「ハッピーハウス」そして個人的なところでは、とっても小さな家を作ったことが大きな思い出になっています。…それは、夏から秋にかけて子供達とワークショップで作りあげた、アトリエ・ニコリの「ハッピーハウス」です。

ありあわせの材料と自由な発想で、かつコンセプトやデザインにはいっさい妥協することなく、のびのびと作らせてもらいました。

ワークショップに参加してくれた子供達や元子供達も楽しんでくれましたが、プロの僕たちも皆さん以上に楽しませてもらいました。モノ作りの原点を感じさせてもらって、自分たちの技能でこんなにも喜んでもらえるってことが本当に嬉しかったです。

2014年もありがとうございました。良いお年をお迎えください。
小野
2014.12.12
お客様からしばしば聞かれることがあるんです…「四季の家工房さんは新築しかやらないんでしょ?」って。

「いえいえ、とんでもございません。リフォームはとても多いんですよ。ホームページにリフォームの施工事例も掲載しているんでぜひご覧になってくださいね」ってご案内するんですが、そしたら又々「細かい修繕なんかは頼めないんでしょ?」と聞かれてしまうんです。…う〜ん、なんでだろか??

そんなにお高くとまっているつもりはないんですが、どうしてもそう言うイメージが定着しているようで、僕たちとしても逆に意外な捉え方をしていただいているような気がしております。なのでこの際、声を大にして言わせていただきます。「家に関するあれやこれや大概のことはやらせていただきますよ〜!」

僕たちは元々大工職人の集団なので、材木を使うようなことならばほとんど自社で対応しますし、それ以外の業種…例えば水道や電気、建具に屋根なども協力業者を廻します。いくつかの業種が協働して作業する場合の手配や管理もお手のモノなのです。

具体的にどんなことをやってきたかと言うと、それこそ細かいところでは…

  • 棚の取り付け
  • 障子の張り替え
  • 水道の修理
  • 手摺りの取り付け
  • カーテンレールの取り付け
  • 照明器具の交換
  • 縁側の作り替え
  • 床の張り替え
  • 畳の表替え
  • 網戸の張り替え
などなど、キリがないのでこの辺で。ちょっと変わったとこでは…

  • 箱作り
  • 椅子の修理
  • 看板作り
  • テーブル作り
  • 図書館の代本板
  • 木工教室の講師
他にも「えっ?こんなことまでやるの?」みたいなこともやっちゃってます。

それと、一般のお客様には関係はありませんが、同業者との横の繋がりで仕事を手伝わせていただくことも結構あるのです。いわゆるB to Bの仕事ですが、僕たちの世界では「応援」なんて言い方をしています。

例えば、上棟作業などはある程度の人数を揃えて一気に組み立てる作業なので、しばしば応援を頼まれることがあるのです。又、人数だけ揃えればいいってもんじゃぁなくて、やっぱり息の合った仲間と作業する方が仕事も進むし、品質も上がります。なので、大工仲間のこういう横の繋がりはとても大切なんです。

大工が独立する時に技術や道具も大切ですが、この「人の繋がり」がなくてはとてもじゃないけど一人では家なんか作れやしません。まぁ、どんな職種でも一緒でしょうが、何か事を起こそうとする時に、豊かな人間関係を持っているかどうかということはとっても大切なファクターですね。

そんなことも入れると、新築やリフォームだけではなく、年間を通して本当に多くの仕事をさせていただいております。多い年では、ゆうに百の現場を超えてしまうほどです。まぁ、半年かかる現場も「一現場」、一日で終わる現場も「一現場」という数え方ですが…。

で、そんな今までやってきた工事の一覧をまとめてみましたので、このホームページにアップしておきます。ぜひ一度ご覧いただければと思います。
小野
2014.12.08
内貼断熱パネルシステム内貼断熱パネルシステム断熱リフォーム部材の施工講習会に参加してきました。写真は実大模型を見学しているところです。

従来の断熱材と違ってちょっとユニークな商品なので、かいつまんでお知らせしますね。

これは何かって言うと、パナソニックの開発した新商品(と言ってもリリースは2012年11月ですが)の、「内貼断熱パネルシステム」という商品です。名前の通り、単なる製品だけの商品ではなく現場での施工をシステム化した商品で、断熱リフォームを短期間で施工できることが大きな特徴になっています。

従来の断熱リフォーム(新築も含め)は、在来の木造住宅であれば、壁を一度めくって柱と柱の間にグラスウールなどの断熱材を充填するか、柱の表面にスタイロフォームなどのボード状の断熱材を張り巡らせるか、大まかにこの二通りのやり方が主流です。

断熱工事の重要なポイントは断熱材を隙間なく均一に充填していくことなのですが、 新築ならまだしもリフォームとなれば壁の中の構造が複雑であったり、隙間風の通るような構造だったりして、どうやってもマニュアル通りの施工ができない場面が出てきます。そんな時は現場での創意工夫で性能を確保するように考えながら施工することが求められ、個々の大工の技量が試される時でもあります。

そんな時のために、四季の家工房では大工全員が省エネルギー施工技術者講習会を受けて、理論と実践が伴うように日頃から勉強をして、住みやすい断熱リフォームに一役かってきた自負はあります。「エアコンの効きがとっても良くなった」「朝、起きても寒くない」…こんなお声をいただくと、「頑張って作った甲斐があったなぁ〜」と本当に嬉しく思うのです。

ただ、このやり方は内装をすべて撤去しないときっちりとした施工ができないので、リフォーム自体大がかりになります。間取りの変更が伴うような規模の工事でしたら、どのみち大がかりにいじることになるので同時に断熱施工もできるのですが、部屋はそのままで断熱だけなんとかしたい…という場合はあまりにもコストがかかりすぎます。

で、本日ご紹介の「内貼断熱パネルシステム」はいかがでしょうか?メーカーさんの売りは、何と言っても「断熱材が薄い」ことと「施工が早い」ことです。…薄いってホント薄いです。何せ厚さ13oしかないのです。コンパネとほぼ同じ厚さです。

そもそも断熱材は種類が同じであれば厚さに比例して性能が上がるので、「厚い=性能がよい」というイメージがあります。じゃあ、なぜ13oと言う薄さで断熱性能を確保できたのかっていうと…中身が「真空」だからです。13oの真空層で一般的なグラスウール200o分にも相当するそうです。

あまり知られていないかもしれませんが、「真空」ってものすごく断熱性能が高いのです。窓ガラスにしても、通常のペアグラスよりも真空ガラスの方が薄いのに性能が高いです。僕は毎朝、携帯用のステンレス製のマグカップにコーヒーを入れてくるんですが、これが保温性が良くてなかなか冷めないんです。

これも内側のシェルと外側のシェルの間が真空になっていて、その真空層は非常に薄い層になっています。一度激しくぶつけてへこませてしまったことがあるのですが、大した凹みではないのにその部分だけ異常に熱い…熱いということは熱がそこから逃げているということです。要は内シェルと外シェルが接触してしまって、真空層がなくなってしまったんですが、真空の力を体感するいい機会になりました。

その真空層を床、壁、天井にぐるっと張り巡らせるっていうのが、この「内貼断熱パネルシステム」なんです。しかも、13oの厚さの中にベースとなる鋼板や仕上げのクロス下地となる面材も含まれているんで、既存の壁にこれを張ってその上にクロスを貼れば施工は完了してしまいます。何も解体せずに断熱材の施工のみでできちゃうんです。

問題は…真空なんでパネルに穴を開けてしまったら全てご破算です。釘で打ち抜いたらプシュ〜っと残念な音がして、パネルごと交換になってしまいます。プシュ〜っといったパネルは凹んだマグカップのごとく、ただの板でしかありません。

だから現場でのカットを極力少なくするために、すべてのパネルは工場で下加工されてから出荷され、現場では最終的な調整で少しカット作業があるだけです。ビス留めの位置や仮置きの仕方まで指定されていますんで、やはりそれなりにナーバスな建材であることは間違いありませんね。

でも、これは品質の確保と共に工期短縮にも寄与していますんでデメリットではなく、施工側が製品の特長を熟知して注意深く施工すれば済む問題でしょう。そのため、施工する場合は施工店の登録と講習会の受講が原則で、今回の講習会も最後に小さな理解度確認テストがありました。

どんなケースのリフォームに向くかというと…四季の家工房のリフォーム施工実績に掲載しているような、遊び心あふれるオリジナルなリフォームをお考えの方には正直言って向いていないと思います。複雑な形や屋根の形を活かした天井、作り付けの家具などにはそぐわない工法だと言えます。

ではどういう案件に適するか…間取りを変えずに短期でリフォームをしたい場合、例えばお年寄りの居室1室だけを断熱リフォームするとか、マンションのリビングダイニングを断熱するとか、要は四角い部屋を四角いまま使われるのでしたらとても便利な商品です。元々小さな部屋などですと、断熱材で数cmでも壁厚が増えると部屋そのものが狭くなってしまいますが、この「内貼断熱パネルシステム」は何せ13oしか部屋が小さくならないいのでもってこいです。

住まい手の方への大事なお知らせとしては…壁の中に真空層があるんで壁への釘打ちや画鋲の使用は一切できません。じゃ、カレンダーも吊れんのか?と思われますが、ご安心を!鋼板が張ってありますので全面に磁石が使えます。又、この鋼板のために携帯等の電波が悪くなる可能性がありますが、今回の講師の方の言うには「条件にも寄りますが使えないくらい悪くなったことはない」とのことでした。

それと、値段がけっこう高めに設定してある商品ですので、「光熱費が下がっても工事代金が高すぎては元が取れん!」と思われるかもしれませんが、ビフォー/アフターのエネルギーシミュレーションなど、さすが大きなメーカーはソフト面のサポートシステムも良くできています。

又「高性能建材導入促進事業」の最大150万円の補助金対象の製品にもなっていますので、気になった方は一度ご相談だけでもしていただければと思います。(高性能建材導入促進事業については2014年6月6日の日記でも詳しくご説明しています。)
小野
2014.12.01
11月の三連休前半の22日、23日を利用して、壁塗りワークショップ「大人のキッズスタジオ」を開催いたしました。本来だったらその前の週に予定していたのですが、どうしても現場の進捗の方が間に合わなくて…一週間遅らせての開催となりました。15日、16日で予定されていた方には大変申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。

今回の壁塗りに使った材料は「チャフウォール」という、ホタテの貝殻を原料とする自然塗料です。まずは、この材料を選択したポイントをお知らせします。

  • 機能をもった塗料
    チャフウォールはビニールクロスや一般的なペンキとは違って、いろいろな機能を備えた建材です。中でももっとも体感できるのは、臭いの吸着効果と湿気の吸放湿性能です。家庭特有の臭いって気になることがありますが、チャフウォールで仕上げた家はその臭いを感じさせなくなってくれます。梅雨時などは室内の空気の違いを実感できるし、その他にもVOC(化学物質)も吸着してくれたりもします。
  • 簡単に施工できる
    今回、けっこう大きなポイントだったのが、この施工のしやすさです。ローラーを使えば誰でも綺麗に塗ることができます。今回は石膏ボードに直接塗りましたが、いろいろな下地になじむのでビニールクロスや左官壁にも塗りつけることができ、ちょっとした模様替えにも対応できます。又、溶剤を使わないので嫌な臭いもなく、使用後の道具類も水洗いでOKです。
  • 価格が安い
    施工をプロに依頼した場合の価格で比較すると、ビニールクロス<チャフウォール<珪藻土のような順番になります。もちろん細かく分類するとさらにいろいろな仕上げがあるのですが、ここでは大雑把にこんな感じで把握してください。
  • 仕上りが綺麗
    いくら安くて機能に富んだ材料でも、肝心な仕上がりが美しくなくては意味がありません。チャフウォールはマットな感じで仕上がるので、光が柔らかく反射してとても目に優しい仕上がりになります。光の廻りが良くなるので、少ない光源で全体がほわっと明るくなります。
…もちろんデメリットもありまして、一番の難点はコーヒーなどを掛けてしまうと汚れが中まで浸み込んでしまい、取り除くことはほぼできません。軽い汚れならばサンドペーパーで撫でてあげるとほぼわからない程度にはできるのですが、スイッチの周辺など常時触るところも手垢汚れが重なると取れなくなってしまいます。

ただ、スイッチ周りに関しては住まう方の慣れもありますし、足元灯等のLEDの常夜灯を付ければ真っ暗の中で手で探ることがなくなるので、ほぼ問題はないと思います。

それと、色の選択肢が少ないです。赤、黄、緑などの顔料を混ぜて色を作るのですが、もともとチャフウォールそのものは真っ白な貝殻の色なので、「赤味がかった白」とか「黄味がかった白」と言う程度にしか着色はできません。

その他にももみ殻を混ぜてベージュ系の表情にしたりする方法もありますが、いずれにしてもあまり濃い色付けはできません。チャフウォールについては、販売しているエコネクストネットさんのホームページも参考にしてみてください。

チャフウォールチャフウォールの撹拌さてワークショップの様子ですが、まずは材料づくりからです。チャフウォールは粉の状態で10kg入りの袋で届きます。

それを水で練るんですが、その前に顔料を溶かしておくことを忘れてはいけません。今回は黄色顔料をほんの少々入れて、温かみのある白い壁にします。

ほんの少々を大量の白い粉に均一に混ぜることはできないので、まずはペットボトルに黄色い顔料を溶いて「黄色い水」を作っておきます。よ〜くシェイクすることが肝心です。

で、その黄色い水にさらに水を足して9リッターにしておいて撹拌…ここにいよいよチャフウォールを投入し、さらによ〜く撹拌します。手動では混ぜきらないので、電動ドリルにミキサーを装着したものを使いますが、ダマがなくなって滑らかになると出来上がりです。

一般的なペンキよりもかなりドロッとしていて、たこ焼きの粉みたいな感じです。ここで本来ならば一晩おいておくと材料が安定するのですが、今回はそこは省略させていただきました。吹付で仕上げる場合はガンのノズルが詰まる原因になるので、この練りおき時間は必須です。

ローラー用のトレイ隅部分や取り合い部分材料…ここからは職人ぽく「ネタ」と呼びますが、ネタを柄杓でひとすくいローラー用のトレイに移します。まずは、やりにくい部分から塗っていくのが塗装の定石です。

…ということで、隅部分や巾木や窓枠との取り合い部分に、小さなローラーや刷毛を使ってネタを押し込むように入れていきます。ネタがいきわたったらローラーでコロコロとなじませていきます。けっこうこういった隅の部分ってたくさんあって、地味に大変です。

隅がひととおり終わったら、いよいよ面を塗っていきます。天井から始めた方が良いでしょう。ここで活躍するのが長い柄を付けたローラーです。トレイの上でたっぷりネタを絡ませてから、何回かコロコロさせてローラー面に均一にネタを乗せるのがコツです。コロコロする時に力を入れてしごいてしまうと、肝心なネタが落ちちゃったり泡を吹いたりしますんで、軽くコロコロでいいです。

そいつを天井面にあててコロコロッと…押しても引いてもどっちでもいいです。かすれてきたら又ネタを付けてコロコロっと。この繰り返しである程度の面積が塗れてきたら、今度は今までと直角の方向にもコロコロしましょう。一度目のコロコロでネタを配っておいて、直角方向になじませる…と言うイメージです。決して力を入れてしごき落とさないように、ネタをなじませるようにしてください。

壁塗り天井が塗れたら、ローラーから柄をはずして今度は壁を同じような手順でコロコロします。一部屋ごとに区切りをつけますが、よっぽど広い部屋や吹抜けなどはそうもいかないので、角など塗り継ぎできる場所を決めておくと良いでしょう。

さて、これで一度目の塗りは完了したわけですが、多分がっかりするほどムラが残っていることと思います。でも大丈夫!乾燥後に重ね塗りをして、3回塗ると綺麗な壁になりますよ。塗るごとに部屋が明るくなるのを実感できるんで、けっこう充実感が味わえると思います。

素人が塗った壁でもかなり綺麗に仕上がるのがチャフウォールの良いところです。どんな風になったのか興味ある方はご案内しますんで、お問い合わせフォームよりどうぞご連絡ください。

今回の指導はプロの塗装業者ではなく小野が担当しましたが、実はDIYアドバイザーという資格も持ってるんです。DIYやセルフビルをお考えの方は相談にのりますよ!
小野
2014.10.20
時々、以前のお客様をご訪問させていただいています。工務店によっては「定期的に巡回している」という会社もあるようですが、四季の家工房ではなかなかそこまで余裕がないので、本当にと〜きどき(忘れた頃に?)様子をお伺いしにお邪魔しているのが現状です。

外壁の汚れ先日、竣工7年目のお客様を訪問した時ですが、ひと通り話も終わって帰りがけに「ああ、そう言えば外壁が黒く汚れてたんだ…」とのお話が…わざわざ電話するほどではないけどちょっと気になっていたことなど、実際にお会いするといろいろなことが聞けるので「たまの訪問は大切だなあ」と改めて思います。

その汚れなのですが、確かに窓や水切りの際が黒く汚れてしまっています。お客様はカビかなっと心配されてましたが、手で触っても湿気は感じないし、比較的風通しの良い条件の良い部分に汚れがあり、北側の入り角部分などより条件の厳しい所が全然汚れていなかったりします。

このお宅の外壁は高千穂の「そとん壁」で外壁を仕上げてあるのですが、そとん壁は無機質な材料なのでそもそもカビの栄養源となる有機物が存在しません。どうやらこの汚れは空気中の埃がそとん壁のコテ跡のパターンの中に入り込んだり、雨水で吸い上げられたりしたものではないかと思われます。

窓の位置や敷地の形状によって、埃が付きやすい部分と付きにくい部分があるのでしょう。又、そとん壁が無機質でもその付着した埃が有機質で、その有機質を栄養にしてカビが発生することも否定はできません。

スーパーコンクリートクリーナーこの汚れを落とすのはキッチンハイタ―などの漂白剤を使う方法もあるのですが、今回は植栽も近かったので天然植物系の「スーパーコンクリートクリーナー」という洗浄剤を使用することにしました。

名前の通りコンクリートやサイディング、左官仕上げ、石などの洗浄に定評のある材料です。植栽を傷めないのも嬉しいところです。お墓の掃除にもいいですね。
外壁の汚れ落としで、使い方ですがまずは5倍の希釈液を作ります。それを刷毛やローラーを使って汚れた部分にたっぷりと塗り込んでいきます。しっかりと汚れに届くよう、2〜3回塗り込んだ方が良いでしょう。…で、待ちます。
外壁の汚れ落とし30分後、タワシでこすりながら水で洗い流します。簡単でしょ?希釈液が残ったら、玄関ポーチとか敷石とか、ついでに洗っちゃいましょう。
小野
2014.10.17
壁塗り体験「おとなのキッズスタジオ」のお知らせです!

先回の日記でさらっとふれましたが、壁塗り体験のワークショップを開催します。作業の内容はリフォーム中の工事現場をお借りして、内装の壁と天井を塗料で仕上げる工程です。

今回のリフォームは、僕たちプロの職人だけでなくお客様も工事に参加するという「セルフビルド」方式を取り入れています。で、「せっかくだから多くの人に体験してもらおう」と考えてお客様に打診したところご快諾いただき、現場をワークショップの会場として開放してくれることになりました。

塗っていただく材料は「チャフウォール」というホタテの貝殻を原料とした自然素材の塗料で、臭いや湿気、化学物質まで吸着してくれるという優れた機能を持っています。有機溶剤なども使わないのでDIYにも向く材料で、しかもとても優しい表情に仕上がります。今回は石膏ボードに塗りますが、古いビニールクロスの上に直接塗ることもできるので、お部屋の模様替えなどにも適した材料です。

おとなのキッズスタジオ現在、お客様が土日のお休みを利用して、ご夫婦で石膏ボードにパテを塗る下地処理作業を行っています。先回のご案内では日程が決まっていなかったのですが、ようやく下地作りも目処がついて11月22日(土)と23日(日)にワークショップを実行できそうになりました。

募集は大人のみ若干名です。参加ご希望の方は申込書にご記入の上、FAXかメールでお申込みください。
小野
2014.10.22
キッズスタジオ最高のお天気の中、「キッズスタジオ山県会場」は無事終了しました。

参加いただいた子供達、保護者の皆様、そして休日返上でご協力いただいた職人の皆さん、受付を手伝っていただいた地元ボランティアグループの女性の皆さん、感謝、感謝、感謝の気持ちでいっぱいです。
キッズスタジオ今年は例年とちょこっと変えさせていただいて、午前の部と午後の部の入れ替え制を廃止し、午前10時から午後4時までず〜とぶっ通しで開催しました。そのせいか、昨年までは全種目制覇できる子はほとんどいなかったのですが、今年は結構たくさんの子がスタンプカードを完了スタンプでいっぱいにしてくれました。

反省点としては、職人さんのお昼休みの時間が重なってしまい、体験できるブースの数が一時的に少なくなってしまったことですね。なるべくバラけるようにしたつもりですが、ちょっとうまくいかなかったですね。ご迷惑をおかけしました。

来年は奇数番号のブースと偶数番号のブースで休憩時間を決めるとか、改善が必要だと思います。キッズスタジオ山県会場は終わりましたが11月2日には大垣会場がありますんで、「今回来れなかったぁ〜」と言う子供達、大垣においで〜!

さて、この秋はこの他にも色々とイベントを用意しています。キッズスタジオの次はアトリエ・ニコリさんとのコラボ「ハッピーハウスの泥塗りワークショップ」があります。先回の下塗りに続いて、今回は上塗りの作業をみんなでやってみたいと思います。

日時は10月25日(土)の午後1時半から開始します。子供がメインのワークショップですが、童心に戻った大人も大歓迎です。参加希望の方は四季の家工房までメールください。

四季便りにも関連記事があるんで、ぜひチェックしてくださいね。
2014年8月1日の四季便り
2014年8月26日の四季便り
2014年8月28日の四季便り
2014年9月5日の四季便り

おとなのキッズスタジオそれともうひとつ!実際の工事現場で壁塗り体験ができる、その名も「おとなのキッズスタジオ」も企画しました。この現場は、現在四季の家工房で木工事を進めているのですが、内装の壁塗りを建て主さんがご自分で施工するセルフビルドを組み入れているんです。

どうせならワイワイとやってみようということで、ご自宅のリフォーム現場を体験の場として提供してくれることになりました。

なので、経験や技能は問いませんが、丁寧な気持ちで作業してくれる方を若干名募集しています。DIYアドバイザーの小野が指導させていただきますんで、初めての方でも大丈夫です!

で、肝心の日程なんですが…実はまだ未定です。工事の進み具合と建て主さんのご都合とを調整して、11月初旬から中旬のいずれかの週末で実行しようと思っています。場所は坂祝のスーパーオークワの近くです。ご希望の方はあらかじめご一報ください。詳細が決まり次第ご連絡いたします!
小野
2014.10.14
いよいよ今週末は職業体験イベント「キッズスタジオ」です!最近はリピーターの子供達も多いのですが、初めての子供達のためにちょこっと説明しときます。

家を一軒完成させるためには、10〜20種類もの各専門の職人さんが現場で力を合わせて作るのです。「キッズスタジオ」は、そんな家づくりのプロの職人達が実際に使っている道具や材料を持ち寄って、子供達に職業体験をしてもらおう…ってイベントです。きっと、子供達にとって忘れられない素敵な経験になること間違いありません。

今年も約20種類の各専門工事業者の職人さんが、ブースを作って子供達の来場をお待ちしています。例年と変わったところとしては、今年は事前受付を無くして全て当日受付にしました。過去3年の開催実績からおおよその来場者の人数も把握できたので、もっと気軽に来てもらえるようにしてみました。

そして、午前と午後の総入れ替えの二部制を廃止したので、午前10時の開会から午後4時の閉会まで目いっぱい楽しんでもらえるようになりました。もちろん好きな時間に入退場も可能です。

では、念のため場所と日程を確認しておきます。日時は10月19日(日)午前10時から午後4時まで、場所は「山県市四国山公園香りドーム」です(岐阜県山県市大桑726-1)

キッズスタジオ詳しくはこちらのチラシをご覧ください。フェイスブックも始めましたんで、よろしく〜。

キッズスタジオ|facebook

では、皆様のご来場をお待ちしております。動きやすい服装でお越しください!もし「今回都合が悪くて来れなかった〜」って場合も大丈夫です。11月2日には大垣でも開催しますんで、そちらもよろしく!
小野
2014.09.29
「参加型工事」ってご存知ですか?これは、お施主様であるお客様が工事の一部を分担して施工するスタイル事です。新聞や雑誌などでもたまに紹介されていますし、「セルフビルド」とか「DIY」とかのキーワードで検索すると、挑戦した方のブログなんかが結構見つかります。

四季の家工房のお客様も、結構これに挑戦する方は多いんです。床塗り、壁塗り、家具作り…ちょっと意外なところでは水道の配管をされた方もみえます。

セルフビルド現在リフォーム工事を進めているお客様も、工事に参加してくれています。(写真はフローリングを塗装しているところです。)

フローリングは造作工事が終わってから最終段階で塗装をかけてもいいのですが、今回は施工前の段階で1回目の塗装をして、最終的に造作工事が終わったら2回目の塗装をかけることにしました。

大量のフローリングを一度に塗装・乾燥させなくてはいけないので、庭先でちょこっと作業するわけにはいかず、ある程度広い作業面積が必要になります。今回は週末の四季の家工房の作業場を提供させていただきました。来週からこのフローリングを現場に運んで施工します。

今回のリフォーム工事ですが、他にも壁と天井の仕上塗りにも挑戦してもらいます。どんな材料を塗るのかと言うと…ホタテの貝殻を原料としたチャフウォールと言う塗材で、調湿効果や消臭効果があり、見た目もやさしい自然素材です。施工性も良く、ローラーと刷毛を使って塗れるので、根気と丁寧な気持ちさえあれば、どなたでも施工できる材料です。

で、ここでお知らせです。今回、お客様のご厚意で、このチャフウォール塗りを皆さんに体験していただくワークショップを開催させていただくことになりました。実際のリフォーム工事の現場で、本物の材料と道具を使って、ご自分の手で施工してみるという絶好の機会だと思います。

今回は石膏ボードに直接塗りますがビニールクロスの上からでも塗れる材料なので、新築や大がかりなリフォーム工事だけでなく部屋の模様替えとか部分的な壁の補修などをお考えの方も、ぜひ一度ご自分の手で塗ってみていただければと思います。

具体的には、まだ正確な告知はできないのですが、わかる範囲でお知らせしておきますね。場所は加茂郡坂祝町です。日程は10月下旬〜11月の土日で開催を考えていますが、全体の造作工事の工程との関係もあるので正式な告知はもう少しお待ちいただくとして、興味のある方はまずはご連絡をください。募集も若干名なので、お早めにどうぞ!

それと…大切なことなのですが、このワークショップはお客様のリフォーム現場をお借りして行いますので、ヒヤカシ半分の方はご遠慮願います。逆に知識や技術の有無や、器用・不器用などは関係ありません。ご自分の家を塗装するのと同じような気持ちで丁寧に作業してくれる方でしたら、どなたでも結構です。楽しくやりましょう〜!
小野
2014.09.05
中日新聞掲載なんとなんと、アトリエ・ニコリの「ハッピーハウス」が新聞に掲載されました。「泥塗りワークショップ第1回」の様子は、9月4日の中日新聞中濃版をぜひ読んでみてください。

それにしても、記事にも登場した2人の男の子の集中力はすごかったですよ〜。まず僕の指導をきっちり守って、見えなくなる木舞(木の桟)の裏側まで指できっちり泥を詰め込んでくれて、木舞にしっかり泥が絡みついたら掌で丁寧に均す…実は土壁の泥ってけっこう臭うんですよ。

僕なんかにしてみれば発酵したいい匂いなんですが、ちょっと触っただけで「ウンコ臭ぁ〜い」と逃げて行っちゃう子もいました。…ってか女子はほとんど逃げた。(涙)

でも、この2人の男の子はそんなことぜんぜん気にしないで、一心不乱に壁と対峙してました。右廻りと左廻りに分かれて塗り付けていって、二人の手が重なって壁がひとつに繋がった瞬間は、おじさんは感動したよ!で、帰る時も「絶対また来ます!」と力強い言葉を残してくれました。

この2人と逃げて行った女の子たちとは何が違ったんだろう…?僕としてはやりたい子だけやってもらえたらそれでOKと言う感じだったんだけど、ワークショップを終えてからのプチ反省会の中でのニコリのアヤ子先生の言葉にちょっとマジ反省しちゃいました。

アヤ子先生いわく「本来子供はこういうことを楽しめる感性をもってるはず。それを引き出せなかったのは私のノセ方が悪かったんです。だって、これ絶対楽しいもん、もっと皆にやらせてあげたいわ!」…う〜ん、確かにそうですね。僕の対応だと次回も同じような感じに終わっちゃうでしょう。

せっかくのワークショップがもったいないですね。プチ反省会が個人的には大いなる反省になってしまいましたが、自分では気がつかないことに気がつかされる…だからコラボって意義があるんですね。

ってことで、現在ハッピーハウスは下塗りの土を乾燥させているところです。湿気を帯びた土が乾いて、ヒビがいっぱい入って白く固まったら、いよいよ仕上げの上塗りなのですが、この天気なんで乾いたり濡れたりを繰り返しながら、ゆっくりゆっくり乾いていってます。

予定では1ヶ月くらい乾かしたら、上塗りのワークショップをやろうと思ってたのですが、たぶんまだまだですね。ワークショップの日程が決まったらこの日記でもお知らせしますんで、楽しみに待っていてください。
小野
2014.08.28
ハッピーハウスの外壁は泥んこを塗った土壁で仕上げますが、泥塗り作業を始める前に準備作業が結構たくさんあるんです。外壁を支える構造部分は丸く配置した足場丸太の列柱ですが、ここにいきなり泥を塗るわけにはいきません。

そこで、泥が絡まるような下地が必要になるわけです。一般的な日本家屋だと3尺(約90cm)間隔に建てられた柱の間に、竹を格子状に細かく編んだ竹小舞と言う下地を組んで、そこに押し込むように泥を塗り込んでいきます。

ハッピーハウスの場合は外壁を構成する列柱の間隔が20〜30cm程度なので、横方向のみ小舞を組み、その横の小舞に麻縄を編み込んで縦方向の保持をするようにしました。小舞も近所で竹を伐ってきて割って作っても良かったのですが、あいにく今は切り時期ではないのです。

秋から師走にかけての水を落とす時期の竹は耐久性もあってよいのですが、筍の時期からお盆までは活発に水を吸っている時期なので、一見青々として強そうなのですが材としてはすぐ傷んでしまうのでNGです。なので、身近にある端材をさらに細く割って小舞にすることにしました。

ところで、この小舞の状態で泥を塗るとどうなるか…反対側に飛び出した泥がボタボタ垂れてしまいます。本当の土壁は反対側からも押さえつけて、泥が両面から小舞をくわえ込むように塗って丈夫な壁を作るのですが、ハッピーハウスの柱間隔は約20cm(狭いところでは10cmくらい)しかないので、その間を綺麗に抑え込むのは至難の業です。…と言うかそもそも泥塗りは子供達のワークショップで行うので、ある程度簡単に塗れるようにしてあげないといけません。

で、考えたのが農業用の麻布を使う方法です。まず列柱の状態に麻布をぐるっと巻き付けます。柱一本をぐるっと巻くんじゃなくて、小屋全体をぐる〜っと巻くって意味です。この麻布を室内側の仕上げとして、外側から塗りつけた泥を受け止める面にもなるわけです。

でも麻布の網目はかなり粗いので、塗りつけた泥は網目からにゅうっと出てきてしまうと思われます。そこで、麻布の外側に泥のバリアと言う意味で不織布を重ね張りしました。最初から不織布で良かったんじゃない?って思うかもしれませんが、不織布の内装ではやっぱし味気ないんで麻布の方がなじむんですね。

ハッピーハウス泥塗りその上で、小舞を打ち付けて麻縄で編んで、ようやく下地の出来上がりです…の前にもうひと工程あった!

写真の出っ張ってるのはジャム瓶を埋めたものです。ここからランダムに明かりが入ってくると綺麗かなぁってのと、反対に夜はここから漏れた明かりが幻想的かもしれません。そんなアソビです。

いよいよ、泥塗りが始まりました〜。やってみたい人はお気軽にご連絡ください。大人でも子供でもOKです。
小野
2014.08.26
緊急告知!
急な話ですみませんが、第一回目の泥塗りワークショップが決まりました。 8月27日(水)に、アトリエ・ニコリ(関市西境松町)にて行ないます。参加費は大人も子供も1人500円です。

汚れてもかまわない服装と着替えとタオルを持ってきてください。小雨なら決行ですが、大雨の時は中止します。お問い合わせはアトリエ・ニコリ四季の家工房までお願いします。
アトリエ・ニコリのハッピーハウスの現在の状態を報告します。先回の日記では、足場丸太を組み合わせた骨組みが完成したところまででしたが、お盆休みをはさんで屋根葺き作業を行いました。

屋根葺きと言うと、瓦屋根とか板金屋根を想像すると思いますが、ハッピーハウスの屋根はなんと「木」で作ることにしました。木の瓦と言うと驚くかもしれませんが、昔の田舎の家屋では案外多用されていた工法です。当時は屋根用の板を割るのが専門の「へぎ板屋」と呼ばれる職人さんもいたそうです。

板をノコギリで挽くのではなく、大きなナタのような刃物で割ることを「へぐ」と言うのですが、「へぐ」ってのは「剥ぐ」が訛ったのかなぁ。僕たちの世代ではほとんど縁のない仕事ですから詳しいことはわかりませんが、その昔は家の数だけへぎ板が必要だったわけで、きっと村や町と言う地域に必ずへぎ板職人がいたんでしょうね。

では、なぜノコギリで挽くのではなく「へぐ」のでしょう?ノコギリで挽くってことは木材の繊維を切っていくことなので、例え木目方向に挽いたとしてもたくさんの繊維の切り口ができてしまうということで、その切り口から雨や夜露などの水分が材の中に浸み込んでいくんですね。対して「へぐ」場合は繊維に沿って割っていくので、繊維自体を切ることはありません。このことが瓦としての耐久性に与える影響は大きな差があると考えられます。

では「試しにへいでみよう」ってことで、端材にナタを立てて挑戦してみます。「へぐ」と言うのは割ることですから、木の繊維に成り行きを任せることになり、当然まっすぐ「へぐ」のは至難の業です。あっけなく割り口がそれてしまって、綺麗に割るどころかまともな形さえ維持できません。

割り箸を割るのを失敗した経験は誰でもあると思いますが、ちょうどそんな感じに斜めに刃が走ってしまいます。へぎ板職人は材の目を読んだり、刃物を立てる力を加減したり、かなりの経験を要する職業なんだろうなぁと思いました。

そんなわけで、「へぎ板」を使うことはあっけなく断念して、通常野地板に使う杉の製材品を瓦として流用することにしました。耐久性は劣りますが、そもそもこのハッピーハウスは何十年も使い続けることはイメージしていなくて、長くても数年で作りかえたり、少しづつ手を入れて違う形にしたり、そういう変化を楽しむワークショップのベースです。なので、必要以上のお金と労力をかけるのではなく、おもしろい形を作ることに重きを置いています。

ハッピーハウス…と言いつつも、それはそれでだいぶ手間をかけてしまい、おかげでホント可愛くてとぼけたフォルムの小屋になりました。
小野
2014.08.06
先日、某異業種交流会に体験参加してきました。この団体、僕は初めて耳にしたのですが、知り合いの何人かが名前を知っているくらい、このところ会員数を拡大している団体のようです。どんな団体かと言いますと…元々はアメリカで生まれたビジネスのネットワークを構築する団体なんですが、地域ごとに異業種で構成する数十人のグループを作り、そのグループのメンバーが互いに仕事を紹介し合うって仕組みになっています。

今回は岐阜で新たなグループが立ち上ったことを機に会員拡大のためのイベントがあって、それに参加してきたわけです。まぁ会の名称は伏せておきますが、知ってる方は読めば…「あぁ、あれね」とすぐにわかるはずです。

会のスタートは朝の7時…「早〜い」と思われるかもしれませんが、やる気のあるビジネスマン達は朝の時間を効率よく使って仕事の輪を広げています。ホテルの広間が会場なんですが、眠そうな顔をしている人なんて一人もいなくて、皆さんものすごく活動的に名刺交換をしています。

勝手のわからない僕は「どうしようかなぁ〜」と思う間もなく、名刺を持った人が次から次へとやってきてバンバン自己アピールしていくんですね。こんな刺激を受けるのはひっさしぶりですよ。異業種交流会と呼ばれる会には何回か参加したことありますが、この活気はホントすごいです。

さて、この会は「ビジネスを広げること」というはっきりとした目標があります。もっとはっきり言うと「売る」ことずばりそのものです。なので、この一見鼻息の荒いアピール合戦も、なんだかすっきりと気持ちよくも感じるんです。で、「売る」ためにどうするかと言うと、会員間で情報を提供し合うんです。要するに会員同士でお客様を紹介し合う…ということのようです。

異業種ですから、保険屋さん、車屋さん、食べ物屋さん、デザイナー、弁護士、花屋さん、整体師、税理士、そして僕たちのような建築関係…いろいろな業種が集まるので、それぞれのメンバーのさらにその枝葉の潜在的需要がマッチすれば、これまでなかったビジネスのチャンスが創造できるっていうわけなんです。

そのためには、メンバー間が強い信頼関係と絆で結ばれていなくてはいけないので、毎週朝7時から定例会を開いてお互いのビジネスの理解を深めるのだそうです。しかも出席はほぼ強制で、3回欠席すると除名させられるという厳しい掟まであるんです。

まぁ確かにただの仲良し会ではなくビジネスを目的とした会で、言い換えるならばお互いがお互いの営業マンとしての役目を果たさなくてはならないので、毎週一回の営業会議だと思えば「出席するのが当たり前」と言うのもうなずけます。

ここでふと思ったのが、仲間同士で仕事を紹介し合うということは、ある程度クローズなイメージを感じてしまうということです。例えば、何か物を購入したりサービスを受けようと思う時、最近は「まずネットで調べる」と言うのが当たり前になっています。そして、価格やサービスを比較しまくって、納得がいったところで発注となるのが最近のオープンな流れです。

ところが、ひと昔前だとそういう開かれた情報がなかったので、身近な街で探したり知人に紹介してもらったりして、クローズな範囲でお目当ての物を手に入れていましたよね。言葉のイメージとしては「オープン」がクリーンで「クローズ」がダークというイメージが付いてきてしまいますが、オープンで安いものが全て良いと思っている人は逆に少数派なんじゃないでしょうか。クローズな代わりに、紹介者であったり地域に根差したお店であったり、そういう物が挟まるおかげで安心できたり人的交流も広がるかもしれません。

この会のもう一つの特徴としては、「ひとつのグループには、ひとつの専門カテゴリーの業者しか入れない」という約束事があります。例えば、お寿司屋さんの会員が既にいる場合、他のお寿司屋さんは入会することができません。でも、同じ食べ物屋さんでもラーメン屋さんは入会できます。同じグループ内で仕事の取り合いにならないような仕組みなんですね。

これも「企業同士の競争からより良い物が安く提供できるようになる」という世の中の流れとは逆行するようですが、そうした競争の結果何が得られたか…ということに関しては、決して良いことばかりではなかったことを世の中は既に気がついてしまっています。

最近の食の安全の問題とか、安価な海外製品に押されて国内の技術が衰退するとか、そういった問題がまさに競争社会が作り出したマイナスの一面ですね。だから、僕はこの会の方針には大筋で賛同できます。狭いエリアでお互い顔の見える仕事をさせていただく者としては、良い仕組みだと思います。でも、入会はしないことにしました。

会員拡大のためのイベントと、ビジターとしての出席の2回の体験で出した結論です。理由はいくつかありますが、ひとつは会費が結構高くて活動費なども含めると年間数十万円の経費が必要になります。そして、その会費は上部団体に吸い上げられていくのでしょうが、その流れがイマイチ不明瞭です。

もうひとつは、仕事を他の会員さんに紹介するというのは、言葉で言うのは簡単だけどこれはなかなかにハードルが高く、コンスタントにこなそうと思うとかなりのプレッシャーを感じずにはいれません。毎週紹介数の発表をするようですが、紹介数が伸び悩むとつい自腹で何か購入してみたりすることになったりしそうで、そうなると本末転倒だろうしこの辺をやりくりする自信はありません。そんなわけで、結論出しました。

今回一番うれしかったこと!僕がこの体験に参加したのは、四季の家工房の取引先の業者さんからの紹介がきっかけです。紹介でビジネスを広げる会なので、よほど信頼がないとメンバーとして活動していけません。この方も建築関係の業者さんなんで建築屋や工務店などは何十社とお付き合いがあることと思いますが、その中で四季の家工房を選んで推薦してくれたことはとても嬉しく感じます。PのKさん、ありがとうございました。入会できなくてゴメンね。
小野
2014.08.01
地鎮祭アトリエ・ニコリの「ハッピーハウス」の続報です。日曜日に地鎮祭を執り行ったのですが、なんと60名以上の参列者が集まり、朝から晩まで大盛り上がりの楽しい地鎮祭だったようです。残念ながら小野は参列できなかったのですが、かつて経験したことのない大規模な地鎮祭でした。

建物の方はと言うと、これまたかつて経験したことのない小さな小さなマイクロハウスなんですけどね…このギャップがわくわくさせますね〜。

飾りつけは、先週の教室で子供たちが作ったオリジナルの作品をぶら下げて、祝詞はかつてのアトリエ卒業生で大学受験を控えた女子高生が駆けつけてアメージンググレースのアカペラと言う、アトリエならではのオリジナルなやり方で心を込めてくれました。

図面建物のコンセプトは「どこか遠い国にありそうななさそうな、夢のような不思議な家」で、これを子供たちの手を借りながら完成させるって言うのが今回のイベントの目的です。

ただ安全面などの配慮も必要なので全てに子供を参加させるわけにもいかず、今回の上棟作業は大工だけで素早く建てることにしました。で、子供達にはニコリのアトリエの中から見学してもらうことにしたんですが、けっこうお母さんたちの方が熱心に見学してみえた…かな?
材料ハッピーハウスの材料は自然な素材で、ただもしくは安価に手に入る物を使うって方針です。主な構造材となる木材はニコリさんのお友達の元鉄骨屋さんが、使わなくなった足場丸太を提供してくれました。最近は全てスチール製のビケ足場に代わってしまったんで、お役御免となった丸太達です。

僕たちも昔は丸太足場で仕事してたこともありますが、なかなか不安定で今にして思うとよくもこんな足場で高いところに登ってたもんだと我ながらあきれます。と同時に、ちょびっと懐かしさもこみ上げてくる足場丸太です。

床床上棟の朝…まずは配置を決めたら、基礎となるコンクリートブロックを埋め込みます。いくら小さな建物でも台風で飛ばされてしまってはいけないので、基礎はしっかり作ります。

その上に丸太を並べて床にするのですが、丸太は太さもまちまちで反ってたりねじれてたり好き放題に変形してるので、まずは電気ガンナで基準になる面を作ります。

それを並べつつチェンソーで削り合せながら組み立てていきます。一見チェンソーをぶんぶん言わせながらのラフな作業ですが、繊細なことやってるんです。真ん中の柱はハッピーハウスの中心になる芯柱で、いずれ子供たちの手によってトーテムポールになる柱です。午前中はここまでがやっとでした。

上棟上棟午後はいよいよ外壁となる柱を建てていきます。ハッピーハウスはいびつな丸型の平面で、32本の柱を立ててその丸い形を表現していきます。

真ん丸じゃないところがツボで、この建物には直線とか直角とか垂直とか真円とかそういう幾何学は使わないことにしているんです。

ですが、このいびつな形ってのがけっこう難しくて、形を崩しつつリズムは大切にしたい…う〜んブルースみたい。

32本の柱は少し長めにしておいて、全部建ったところで上端を切り揃えます。もちろん揃えると言ってもまっすぐ切りそろえてしまっては面白くないので、自然にウェーブが付くように高いところから低いところへと、気持ちの赴くままに印をつけて、チェンソーで切り揃えていきます。

美しい屋根組その柱の頂部から芯柱の頂部に向かって垂木をかけるところが、今回の建物のハイライトと言えるでしょう。32本の丸太が一点に交わるってのは言葉でいうと簡単ですけど、実際はかなり繊細な寸法の割り出しと加工の精度が要求されます。

で、どんな風になったかと言うと、この蛇の目傘のような屋根組を見ていただければその完成度がわかっていただけるでしょう。自画自賛ではありますが、なかなか美しい屋根組だと思います。見上げてはニヤニヤが止まりません。

最後に軒先をカットするんですが、これも軒の出の長さが一定ではなくグニャグニャの屋根です。グニャグニャの具合が本当にむずかしい…やりすぎると下品になるし、幾何学はつまらない!反省点としては「もっと崩しても良かったかなぁ」と思いますが、やっている時はなかなかに勇気がいるもんですよ。

ということで、本日の作業は終了!ブルーシートで仮の屋根として、続きの作業は盆前頃になる…かな?盆明けにはいよいよワークショップが始まります。参加ご希望の方は、四季の家工房アトリエニコリまでご連絡ください。
小野
2014.07.18
キッズスタジオ2014開催決定!!
キッズスタジオ キッズスタジオ キッズスタジオ
大好評の職業体験イベント「キッズスタジオ」が今年も開催できることになりました。まずは気になる日程ですが、四季の家工房の地元、山県市では毎年恒例の四国山香りドームにて10月19日(日)、大垣では昨年の大垣城ホールの隣の公園に会場を移して11月2日(日)です。まだ詳細は決まっていませんが、今のうちにカレンダーにぐりぐりと赤丸印をつけておきましょう!

今年も職人のおじさん達がいろいろと趣向を凝らして、元気な子ども達の参加を待ってます。募集などに関する詳しいことは、決まり次第このホームページやfacebookの方でもお知らせしますんで、下記のfacebookページに「いいね!」してくださいね。

キッズスタジオ|facebook

又、ブースを出してみたいって言う職人さんも大募集です。我こそはと思う方は四季の家工房までご連絡ください!
小野
2014.07.16
信州の「空中茶室」に触発されたわけではないんだけど、夏休みを利用して子供たちと小屋を建てるワークショップを計画中です。今年1月に関のアート教室「アトリエ・ニコリ」さんで木と釘を使った造形教室のお手伝いをさせてもらったのですが、その流れで今回もニコリさんからコラボレーションのお誘いを受けたんです。

先日、軽く打ち合わせしたんですが、ニコリのアヤ子先生ときたら相変わらず自由な方なもんで、イメージがあっちに行ったりこっちに行ったり膨れちゃったりで、やっぱし一筋縄ではいきませんなぁ…。

小屋と言っても、子供が数人入れるくらいの小さな物なのですが、それでもやっぱり建てるとなるとそれなりに準備と計画が大切です。準備をしっかりやって、当日は子供たちができる仕事を用意しておかないと、なんだか不完全燃焼のまま終わるような気がするんです。

建築の醍醐味って、何もなかったところに柱が建ち梁がかかり、屋根が乗って「形になった〜!」と言うところで感動が生まれるものです。当然、力を合わせて作りあげたって実感がわかないと、成功体験として子供たちの心に残らないと思うので、大人サイドとしてはある程度の演出が必要なんです。

アヤ子先生としては「材料もある物を利用して無くなったらまた考えればいいし、そのくらい自由な方が面白いと思います」って言うんだけど、小さくたって建築なんだから建築屋としてはやっぱり最低限「形」ができないと喜びもわかないのではないかと思います。

屋根も架からないうちに材料切れで作業が止まったりして、その後雨に降られて完成する前に朽ちていく…なんて考えたら「やったぜ〜!」的な感動は味わえないんじゃないだろうか…。

だから僕としては、大まかな形は計画した上で、材料もちゃんと揃えて、やり始めてから多少の舵切りできる程度の曖昧さは残した状態で建てたいと思っています。曖昧さって言うのは、例えば「窓をどこにくり抜くのか」とか「軒先はどのくらい長くするか」とか、建った物を見ながら味付けしていけば十分クリエイティブな楽しさは感じられるはずです。

もちろん屋根までできてしまえば、後は子供の感性にまかせてやりたいようにやらせてあげればいいので、僕の仕事はそこら辺までかな。

こんな感じのワークショップを数日に分けて行おうと思っています。興味のある方はニコリか四季の家工房までお尋ねください。
小野
2014.07.14
信州旅行の二日目です。昨晩は蓼科の民宿に泊まり、獅子肉やイワナの刺身など、猟師料理を堪能しました。この民宿の建物も築150年の民家を移築して作ったらしく、なかなか迫力のある建物でした。

で、今日は「茅野の町に降りて藤森建築を堪能しよう」ってことでナビの案内に従って駅前の美術館まで来たんですが、お目当ての空中茶室らしきものがある雰囲気もない…。受付で聞いてみたら、ここでの展示期間はとっくに終わって、藤森さんの実家の畑に移築したそうです。

…ってよく間違えてここに来る人が多いらしく、ちゃんと案内地図も用意してありました。なぁんだ、良かった〜…しかし、実家の畑??まぁ、行ってみましょ!

クルマでほんの15分くらい走ったところに、もうひとつのお目当ての「神長官守矢資料館」があるんですが、その裏山に空中茶室があるらしく、まずは資料館は横目にパスして山に向けて入っていくと…「あった〜(笑)」と思わず笑い声が出てしまうほどユニークでかわいくて不思議な建物(?)が目に飛び込んできました。

高杉庵空飛ぶ泥舟本当になんでもない山ぎわの畑の隅ににょっきり浮かぶ2棟(?)の空中茶室…「高杉庵」と「空飛ぶ泥舟」が本当にありました!

超有名建築なのですが管理されているわけでも囲いがあるわけでもなく、まぁ人様の土地なのでつつましやかに見学させていただくとします。

もちろんよじ登るわけにもいかないんで外から眺めるんですが、これが見る角度よっていろいろ形が変化して、遊び心の塊のような建築ですね。もちろん実用性はゼロでしょうから、まさに「遊び」なんですね。あ、そっか、建物から実用性を差し引くと「遊び」が残るんだ!イイ事気がついちゃったな。

神長官守矢資料館神長官守矢資料館さて、そこからちょっと見下ろしたところに「神長官守矢資料館」があります。ここがいわば、今回の旅のメインです。

外観でやられ、中に入ってさらにやられました。こういう感性ってきっと誰しもが持っていることなのだと思うのですが、それを建物で表現できるかってなると、なかなか一筋縄ではいかないでしょうね。

家づくりってけっこう決まりごとがあって、それは法的な決まり事から、地域的なこと、職人の立場としての決まりごとや、流通の決まりごと、一般の建て主さんが思っている家の形…などなど、知らず知らずのうちにいろいろな型にはめて考えがちなのが建築という行為です。又、型にはまってしまった方が、何かとスムーズでやりやすいってこともあります。

そんな「決まり事」を一切無視して思いのままに作ったのがこの建物なんでしょうね。「型」にはまらず、人間の根底から湧き上がるようなイメージを具現化したら、こんな形になっちゃった…みたいな。だから、この建物の内外からしみ出すような肌感がたまらないです。以前の旅行でも藤森建築の「秋野不矩美術館」に行きましたが、迫力では今回の「守矢資料館」の方が飛び出してます。

いつも思いますが、四季の家工房のような小さな建築屋にとっては、大工全員で同じものを見るってことがとても大事なことだと思います。家づくりって何もないところから作り始めるんで、作り手の感性がバラバラだと品質もバラバラになるし、結果良い物ができないってことにもなってしまいます。たまには時間を作って、こういう小旅行が継続的にできると良いですね。
小野
2014.07.11
ちょっと前の話になってしまいましたが、ちょうど仕事の谷間があったんで、「こういう時に行くしかない!」ってことで、ちゃっと予定を組んで信州に一泊旅行に行ってきました。今回は男ばかりの7人旅です。

ちひろ美術館レンタカーを借りて、まずは安曇野の「ちひろ美術館」を目指します。ここは絵本画家のいわさきちひろさんの作品を収蔵する美術館なのですが、このちひろさんの絵はたぶん誰でもどこかで目にしたことがあるんではないでしょうか。それだけ多くの絵を残した人です。

黒柳哲子さんの「窓ぎわのトットちゃん」の装丁などもちひろの絵で、そのつながりか美術館の館長は黒柳哲子さんだそうです。トットちゃんでだいたい想像はしてもらえるかと思いますが、美術館全体がメルヘ〜ンな空間になっていて男7人でぞろぞろ歩くのもなんか不釣り合いな感じがしますが、まぁいいや…せっかくここまで来たんだから堪能させていただきます。

ちひろさんの絵はとても柔らかなタッチの絵なんですが、ご本人はたいへん波乱な人生を送ってきたようで、年代ごとに時系列で展示された絵を見ると、どんな気持ちでこの絵を描いていたのか何となく想像できておもしろいです。生活のために絵を描くと言う時期も長く続いたようです。

展示の点数が多かったのであまりゆっくりは見れませんでしたが、柔らかい線と最小限の色を使って表現された、軽いのに存在感がある印象的な絵でした。その他にも動き出しそうな楽しいオブジェがあちこちに点在していたり、天井から深海魚がぶら下がっていたり、大人も子供も楽しめる美術館でした。

ちひろ美術館の屋根さて、僕たちの目当ては絵以外にもあるんです!大工がわざわざ見に行くんですから、やっぱり建物です。この「ちひろ美術館は」屋根の構造がたいへん美しい建物なんです。

建物自体は鉄筋コンクリート造なんですが、屋根の架構がシンプルな部材で構成された木造になっていて、まっすぐ伸びたすがすがしさに中に、ほんの少し取り入れた曲線がとても場を和ませています。

屋根面に向かって照らされた照明も木の肌で柔らかく拡散され、やさしい空間を演出しています。この屋根が連なる外観は、背景の北アルプスの峰々にとけこんで本当に気持ちの良い建物でした。

次に向かうは「ジャンセン美術館」です。ここは僕のリクエストで組み込ませてもらった小さな美術館です。ジャン・ジャンセンと言う人は、ピカソとかシャガールの一時代後のフランスの画家で、世界中の美術館で見ることができますが、ジャンセンだけを集めた美術館はこの安曇野の「ジャンセン美術館」しかありません。

どんなところか楽しみにしていたんですが、美術館に入る前のアプローチで既にやられました…。道沿いに小さな看板があるだけで、美術館そのものは木々に隠れて見えないんです。「あれ?ここで良かったんか?」って思うほど何もない…。で、看板の案内に沿って森の中の細い小道を進んでいくと、左にぐる〜っと回った先の木々の間から少しづつとんがり屋根の建物が見えてくるんです。この、わくわくさせる動線の演出…「うまい!」

気分が盛り上がったところで薄暗い展示室に入っていくと、「おお〜、ジャンセンだぁ!」 美術館ってたいてい薄暗いけど、ここは暗さが際立っていて、まさにジャンセンの世界です。ジャンセンの絵ってなんて言えばいいのか…単に美しいとかでもなく、何となく退廃的でもあり、か細く、悲しげで、かといって暗いかと言うとそうでもなくしっかりと光は感じるし、なんとも不思議な世界観なんです。

描かれている人物も決して豊かではない。でも絶望的かと言うとそうでもなくて、しっかりと自分を見つめているような、そんな等身大なところが人を引き付けるのか…とにかく僕の大好きな画家です。ここにきて年譜を見て初めて知りましたが、昨年お亡くなりになったそうです。生前は安曇野をたいへん気に入って、何度か来ているようです。

さて、腹が減ったんでお昼は安曇野牛のステーキ屋さんにゴーです。レンタカーは交代で運転するんで、最初の方でハンドルを握った人は、ここでご褒美としてビールが飲めるんですね。真っ赤に輝く安曇野の地ビールがたまらん!(次回に続く)
小野
2014.06.06
現在、書類と格闘中です。毎年この時期になると、新しい年度の始まりと共に色々な補助金事業の募集が開始されます。つい先だってもその説明会を聞きに名古屋まで行ってきたのですが、ちょうどタイミングよく事業の要件に適合しそうなリフォーム案件があるので、なんとかあてこめないものかと思い内容の摺り合わせ作業を行っています。

この補助金事業…正式には「平成26年度 住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金(既築住宅・建築物における高性能建材導入促進事業)」と言う長い名称なんですが、簡単に言うと「住宅のリフォームの時に高性能な建材を使えば最大150万円の補助金がもらえる」って制度です。

ただし、性能が良ければどんな仕様でもいいかと言うとそうではなく、リフォーム後に住宅全体の一次エネルギー消費量が15%以上削減されていなければならず、その性能を確保するためにこと細かな要件がたくさんあり、その要件を満たしているかどうか審査してもらうための申請書類がた〜くさんあるんです。そりゃ、国民の税金を財源とする補助金事業なので、審査はおのずと厳しくなるのは仕方ありません。

そのため、僕たちがまずやらなければならないことは、計画中のリフォームをこの補助金の仕様に合わせるといくらコストアップになるかを検証するため、図面や仕様書を書き直して再見積りをして工事金額の総額を計算をするということです。その中から、補助金事業の対象になる工事種目をピックアップして、合計を出して補助金額を概算します。この時も対象工事の全額が補助金としてもらえるわけではなく、合計金額の1/3又は150万円の金額の低い方が実際に受給される補助金となります。

ここでわかった補助金額が、実際に性能を上げるために使った高性能建材導入の差額分と比べてメリットがあるかどうかという検証が必要です。補助金をもらうことばかり考えていても、コストアップが多ければ逆に支払金額が増えてしまうこともあります。仮にプラスマイナスゼロであれば、追加金なしで性能の良い住まいを手に入れられることになるので、採用のメリットはあると思います。

ここまでで充分ややこしいでしょ?…で、まだ先は長くて、この仕様や工事費の詳細などを申請の書式に記入していきます。記入しながらまたまた手直しが必要な項目が露見されたりして、また図面の訂正からやり直しになったりして、やれやれ…です。

さてこの補助金事業ですが、一次公募は既に5月中旬から始まっており、締め切りが6月30日です。もし、このようなリフォームをご検討の方がみえましたら、方針をまとめて書類を作るだけでも2週間くらいはかかるので大至急準備が必要です。又、二次公募もあって、こちらは8月から10月頃になる見込みだそうです。ただし、補助金事業の常ではありますが、財源が無くなり次第終了となりますので、いずれにしても早いに越したことはありません。

窓口となる「一般社団法人環境共創イニシアチブ」のホームページに詳しいことは出ていますが、なかなか読み解くのは大変なので、興味のある方はお気軽に四季の家工房までお問い合わせください。
小野
2014.05.09
「省エネ住宅」「ゼロエネルギー住宅」「スマートハウス」「低炭素住宅」etc.etc.…ニュースや新聞などでどれも聞いたことがある言葉だと思いますが、じゃあ具体的にどういう内容かって聞かれてもスラスラ答えられる人はそうは居ないんではないかと思います。

細かい定義を説明するとなると本1冊くらい必要になるほどの情報量になると思うんで、この日記でそこまで踏み込むつもりはないんですが、気密性と断熱性が良くて、太陽などの自然エネルギーを利用したり時にはカットしたりして、快適に暮らしつつ光熱費を抑えて、ひいては二酸化炭素の排出を減らしましょう…と言った住宅をイメージしてもらえれば良いと思います。

こうした取り組みが日本で始まったのは20年くらい前からでしょうか…正確に言うともっと前からその取り組みはあったのでしょうが、僕が仕事を通して初めて高気密・高断熱住宅に携わったのがこの頃だと思います。

当時は現在のような国主導の政策としてではなく、一部の設計事務所や工務店の試行錯誤と、そしてなにより意識の高い建て主さんの理解があっての民間努力の賜物でした。それが認められたと言うか、市場の求めと環境意識との変化もあって、平成11年の次世代省エネ基準、そして今回の平成25年省エネ基準へと進化しました。

尚、平成25年省エネ基準は昨年の10月に既に施行されており、努力目標としての経過措置期間を経て平成32年にはこの基準が全ての新築住宅に「義務付け」られる方針です。義務ですよ、義務!国としての本気度がわかりますね。

で、ここまでは建物の仕様を決めるって話で、「これからの建物はこうあらねばならぬ」ってことが謳われているんですね。もちろんこの大前提は大切なのですが、これはあくまでも紙の上の話であって、「じゃあどのように作ったらいいか」ってこともとても重要になってきます。

絵に描いた餅であっては意味がないんで、例えば100ミリ厚の断熱材を壁内に隙間なく充填する…って仕様で決まっていても、それを実際の住宅で完璧にこなすには細々とした技術的配慮が必要になります。建物はそんなに単純な作りではないんですね。

壁内の空間と言っても、柱で囲まれた真四角な空間ばかりではありません。補強金物や筋交い、コンセントや電線、換気扇の貫通、水道の配管…などなど、実際の現場ではいろいろな障害が出てくるのが当たり前のことです。こういった諸々の障害をクリアして設計値通りの断熱性能を得るためには、正しい断熱材の知識を持った者が現場で判断しながら施工するってことが重要になります。

これまでも断熱材メーカーの施工マニュアルを参考にしたり、ホームリサーチの検査員から情報を仕入れたりしながら手間暇かけた断熱施工をしてきましたが、今回の省エネ基準の改正を機にもう一度勉強をし直してみました。

住宅省エネルギー技術施工技術者講習昨年の話になりますが、受講したのはこの「住宅省エネルギー技術施工技術者講習」という、全国で開催している講習会です。これまでは設計者対象の講習会が多かったのですが、実際に現場で断熱材を扱う大工を対象とした大規模な講習会は初めてではないかと思います。こういったところでも今回の改正における国の本気度が感じられます。

「国が本気なら、こっちも本気にならなくちゃ」ってことで、四季の家工房ではスタッフ全員でこの講習会を受講してきました。座学と実大模型の見学(現場で取り合いが難しい部位の施工例)、そしてテストも受けて丸一日がかりの勉強となりました。こちらの「省エネ技術講習会合格者」ってとこにウチの大工の名前も載ってます。だいぶ掘らないと出てきませんが、探してみてください!
小野
2014.04.15
ルーターの加工何とも言葉では表現できないような、複雑な加工をしなくてはいけない場面に遭遇することがあります。例えばこんな形…これを何に使うかは後でふれますが、まずはどうやって加工するかです。こういう加工をする時は「ルーター」って道具が大変便利です。

ルーターってのは、縦軸が回転する電動工具です。穴を彫る、溝を彫る、面取りする、側端部を整える…その他にも使い方を工夫すると木工の可能性が広がる、とても汎用性の高い道具と言えます。

で、このルーターですが、ルーター単体で使うこともあるんですが、治具(じぐ)と呼ばれる補助具を工夫すると精度を高め効率よく繰り返し同じ加工ができるようになります。

ルーターこちらの写真のL字型に切り抜かれた合板が治具で、その下に挟み込まれている木材がお目当ての加工される材料です。この治具に沿わせるようにルーターを移動させると、最初の写真のような溝が彫れるわけです。今回の加工は、このL字型の溝を細長い桟に30cmピッチで刻んだものを2本製作しました。

で、これを何にどうやって使うかですが…答えは押入れの布団押さえの桟を受ける部材です、先日お邪魔したお宅で押入れの扉が中から押されて、敷居の溝を乗り越えてすっかりはずれてしまっていました。奥行が浅く中段のない押し入れに、布団を重ねて収納したことが原因になり、雪崩のように崩れてきていたようです。

この布団雪崩を押えて、かつがんじがらめに固定しないような桟…ということで、このL字型の溝を彫った受け材を思い付きました。思いつくってことは、僕たちにとっては加工の仕方と絡ませて最適な方法を考えつくってことです。そこで前半のルーター、そして治具の話題と絡めさせていただきました。

布団押さえの桟を受ける部材布団雪崩が解決1枚目の写真が受け材を取り付けた状態で、2枚目の写真が布団を収納して桟をかけた状態です。布団雪崩はバッチリ解決できました!
小野
2014.04.04
春ですね。暖かくなってきたし太陽も長くなってきたので、外仕事の僕たちにはホントにありがたい季節です。

そして増税…上がっちゃいました。僕たちの仕事や暮らしにどのような影響が出てくるか計り知れない部分はありますが、上がっちゃったんだから仕方ないですね。取られる分、くれるものもある…増税の陰には必ずいろいろな支援と言うか、特例のようなものが政策として用意されているんですが、これが何故か情報としてあまり表に出てこないんでちょこっとお知らせしておきます。

…と書くと、勘の良い方は「建築屋のことだからすまい給付金のことか」とピンとくると思いますが、残念!その話題ではありません。もちろん建築屋としてはこちらの支援策も大事なのですが、まぁこれは各方面からの周知がだいぶ浸透してきていますので、これから家を建てる方はこちらのサイトをまずチェックしてください。

で、ここからが本題なのですが、「子育て世帯臨時特例給付金」のお知らせです。消費税が上がって家計の負担が増えるわけですが、特に物入りの子育て世帯の影響を緩和するために給付金を出してくれるってものですから貰わない手はないと思います。いろいろと条件はあるのですが、児童手当を受給している世帯であればほぼ該当するのではないでしょうか?詳しくは厚生労働省の説明ページをご覧ください。

給付金額が子供一人あたり一律10,000円の一時金です。一時金ってことは一回こっきりですね。上記のホームページの概要のところには「子育て世帯の影響を緩和し…」とあるのですが、仮にこの給付金が向こう一年間の支援策として、この10,000円が5%から8%に増税された3%分を支援してくれるとすると、年間333,333円分の消費に対して増税分がチャラになる…と言うイメージでしょうか。

衣食住に塾や習いこと、そしてレジャー…まぁ正直言わせていただきますと、増税分には全然足りませんな。足りないけどせっかくの現金支給ですので、該当の方はぜひ受給していただきたいと思います。そして受給した分はなんらかの形で世の中に廻していただいて、早く日本に元気を取り戻したいです。

では、どうしたら受給できるかですが、窓口はお住まいの各市町村になります。僕の住んでいる岐阜県関市では3月24日付で市のホームページに情報がアップされていますが、具体的な受給の仕組みはまだ未定のようです。自治体によっては告知自体まだのところもあるようで、対応や準備にはだいぶ差があるようです。

ひとまずお住まいの市町村に問い合わせをして、おおまかなタイムスケジュールや窓口など知っておくと慌てなくて済むかもしれませんね。「う〜ん、10,000円を一回こっきり…」と言うのが実感かもしれませんが、10,000円は待っててもやってきませんよ。ちゃんと受給して有効に使いましょう。ひいてはそれが世のため人のためになります。

こういう支援策ってのは、もらう方が積極的に情報を仕入れて行動しないと、知らないうちに素通りされちゃいます。もっとバンバン告知してもらわんと、知らなかった人はもらい損ねてしまいます。そう言う僕も、つい先日友人のfacebookで教えてもらったばかりです。

発表は年明け早々に行われているようですが、なんだかあえて告知を大々的にしないのでは…なんて勘ぐりたくもなってきますよね。四季の家工房のお客様にはまさに子育てまっ最中のご家族も多いので、ちょいとお知らせさせていただきました。お友達にもぜひ教えてあげてください。

そうそうそれと、忘れてはいけないのが電卓の税率設定の変更です。このファンクションは結構使うんで、5%のままだと大変不便です。取説なんてとってあるわけもないんで「どうしたものか…」と思っていたけれど、電卓の型番で検索してみたら一番上位に「税率設定方法」ってページが出てきました。

皆さん同じ事でお困りのようで…。僕の使っているカシオの場合、「%」の長押しで設定できました。試しに1,000を入力して税込キーを押したら…1,080って出てきました!当たり前だけど…。
小野
2014.03.10
「こんなこともやってますよ」ってお話です。

数年前に新築の住宅を建てさせていただいたお客様から連絡があり、椅子の修理のご依頼をいただきました。…と言っても、僕は家具修理の専門家ではないのですが、たぶんお客様としても誰に頼んだらいいかわからなかったのだと思います。で、「木のことだったら…」ってことで僕に電話をくれたのでしょう。

正直、家具の修理ってけっこう難しいし、直せるかどうか現物を見てみないと何とも言えないんですが、僕としては「木のこと=四季の家工房」ということで一番最初にご連絡をいただけたことがとても嬉しく思います。

この椅子、背もたれを支える両端の部材がいっちゃってました。木を組むにはホゾをホゾ穴に差し込んで固定するのですが、その肝心なホゾが折れてしまってました。幸い中央のスポークと呼ばれる部材は健在で、現在はスポークで形状を保っている状態です。

根本から直そうと思ったら折れた両端の部材をまるっきり新しいものに交換すれば良いのですが、それでは手間がかかりすぎて新しい椅子を買ってもお釣りがくるほど費用がかかってしまいます。

そこで今回は部材はそのままとしてエポキシ系接着剤と一部ビスの力を借りての修理とすることにしました。手順は座板から上の部分を分解して、古い接着剤のカスや折れたホゾの木の破片などを綺麗にこそぎ落とします。次にエポキシ系接着剤が垂れた時に汚してしまわないように、養生テープでくるんでしまいます。

一度仮組みした状態で、はみ出した接着剤をヘラでしごき落とす動作の確認をします。この動作確認って案外大事な工程です。実際と同じ道具を使って手を動かしてみないと、予期せぬ落とし穴があるかもしれません。

いよいよ接着剤を練るんですが、エポキシ系接着剤を選ぶ時は、硬化の速度に気を付けてください。5分とか30分とかいろいろありますが、複雑な作業をする時はできるだけスローなものがお勧めです。接着剤を練り合わせる→各接合部の両面に塗りつける→組み立てる→はみ出した余分をこそぎ取る…って一連の動作を終えるまで硬化してもらっては困るんですね。今回はたまたま手元に使いさしがあったってこともありますが、わけあって60分硬化タイプを使いました。

木の椅子の修理写真はちょうど一連の作業が終わったばかりの状態ですが、実はこれで終わりではありません。エポキシ系接着剤を硬化させるためには温度管理が重要です。今みたいな冬場だと一晩置いても固まってくれません。

なのでこの後、事務所に移動させて暖かい場所で硬化させます。でもこれだけではなくまだ作業が残っています。接着剤は粘度を調整してあるのでかなり粘っこくなってるのですが、エポキシ系接着剤ってかなり垂れやすい性質があるんです。

このままにしておくと硬化するまでに垂れてきたり、ひどいと接合部から抜け落ちて隙間ができたりします。で、その対策として、ある程度硬化が進むまでしょっちゅうひっくり返すんですね。

ひっくり返し作業をやりつつ、養生テープも徐々にはがしていいきます。完全に硬化してしまうと接着剤が養生テープをくわえ込んで、めくるにめくれなくなってしまうんで、このタイミングの見極めも重要です。爪で押してみて硬さを感じるくらいになったら、もうひっくり返し作業は終わりにしても大丈夫です。

…ここまで読んでくれたら、なんで60分硬化タイプを選んだかわかりますね。あとはゆっくり寝かせれば完成です。60分硬化と言っても十分な強度を得るためには丸1日くらいの養生期間が必要なので、ここを勘違いするとせっかくの作業が台無しになっちゃいます。エポキシ系接着剤に限らず、使用前に説明書を確認するのも大事ですね。

今回ご紹介した修理方法は、比較的簡易的な方法です。木の椅子って本当はがっちり固定しない方が良いのです。木と木の接合部が微妙に動くことによって、力を逃がす作用もあるんですね。がっちがちに固めてしまうと、予期せぬ大きな力が加わった時にボキッといってしまう可能性が大きくなります。ですから、本来でしたら元々と同じ部材を削り出しての修理がベストだと思います。

そういうこともあるんで木の椅子には優しく座ってあげてほしいんですが、まぁ普段の生活でそうばかりも言ってられないですよね。
小野
2014.02.28
「筆文字講座」ってのを受講してきました。正確に言うと、僕が参加している異業種交流会で「筆文字の先生を講師に招いて特別に体験講座をやってもらった」って感じです。

この異業種交流会ってのが結構おもしろくて、月に一回定例会を開いてるんですが毎回テーマが違うんです。会員が講師になって自分の得意分野や体験談を語ることもあれば、知り合いで何かの達人がいればお願いして講師に招いたりします。

ビジネスネタから遊びネタ、文化的なことや環境のことなどテーマは何でもありです。まぁ、せいぜい10人くらいの集まりなんで講師も気楽にしゃべることができるんで、人前で話す練習にもなるし、なんかウンチク語りたい方はご招待しますよ。

で、話を戻しますと、今回は会員さんの知り合いで筆文字の達人がいるってんで、「筆文字講座」となったわけです。…そもそも「筆文字」ってなんなのか?なんの事前情報もなく参加したのですが、まぁ想像していたように、最近お店のメニューなんかで良く見かける、あの味わいのある独特のタッチの文字ですね。

筆文字正しいカテゴリーとかはわかりませんが、小学校の授業でやったお習字とはちょっと違うようです。講座の内容とか具体的な書き方については端折りますが、まずは僕が書いた…と言うより「描いた」と言う方がしっくりきますが…「感謝」の文字を見てください!

ずぶの素人が2時間足らずの講座で描いた文字ですよ。もちろんお手本あってのことですが、なかなかのものだと自画自賛しています。あ、もちろん、先生が良かったからですけどね。

筆の運び方とか力の入れ方、抜き方など結構コツがあって、ひとつの文字の中でうまくいったところがあればうまくいかないこともあって、文字としてトータルして納得できる作品はなかなかできないもんです。

ただこの「筆文字」は、習字みたいな約束事がほとんどないんですね。だから、一度描いた線が気に入らなかったらもう一度なぞっちゃってもいいし、「書き順」や「留め」、「跳ね」、「払い」とかもあまり気にしなくてもいいんです。「口」を「○」と書いてもぜんぜんOK…ってか、その方がおもしろくなります。

そんな意味でも、イラストを描くイメージに近いですね。とても自由で気軽に楽しめる分野だと思いました。しかも、上達するといろいろなシーンでとても「使える」テクニックですね。ハガキとかに一言書けたりすると、かなり喜ばれること間違いなしです。

それともうひとつ、2時間足らずの講座だったのですが、ものすごく神経を集中していたのでヘロヘロに疲れました。多分いつも使う神経と、又ちょっと違う神経を使うのでしょう。ヘロヘロに疲れつつ、気分はとても爽やかでした。こういう機会がないと自分からアプローチすることはなかったであろう筆文字ですが、とても楽しい体験でした。

異業種交流会に参加していると、自分の世界観だけでは思いつきもしない分野と出会うことがあって非常に良い刺激になります。仲間のチャンネルに感謝です。で、今回の「筆文字」の先生はみかんさんと言う女性ですが、岐阜周辺で講座を持っていいるそうです。興味がある方、紹介しますよ!
小野
2014.02.12
お引渡しから1年とちょこっと経ったお宅にお邪魔してきました。ちょっとした壁の補修と建具の調整、それからノレン掛けのご依頼をいただいていたので、その取り付けなどが訪問の目的なのですが、こうやってたまにお会いできることは嬉しいことです。

さて、この壁の補修ですが、部位としては壁と天井が交わる隅角の部分です。この部分は壁の石膏ボードと天井の石膏ボードを突き付けにしてあるのですが、材質が石膏なのでビスや釘、接着剤などで直接石膏同士をくっつけることはできないのです。

なので、下地となる木材(胴縁と呼ばれる細角材)を壁と天井に組み、そこに石膏ボードをビス止めしていきます。で、一般的にはこの壁と天井の隅角部分には、マワリコとかマワリブチと呼ばれる化粧を施した角材を取り付けて、隙間の垢隠しをします。

要するにこのマワリコがあるので、壁と天井の石膏ボード施工の時点では、多少の隙間があってもマワリコで隠すことができるのです。さらに、乾燥収縮によって多少下地の木材が縮んだとしても、仕上りに影響が出ることはありません。

マワリコこれが一般的なマワリコのある納まりです。普段はあまり気にしたことがないかもしれませんが、そのような目で見てみると、たいていの家には似たような部材(色や形状はまちまちですが…)が付いているはずです。

…なのですが、四季の家工房の建物ではこのマワリコを付けないことがよくあります。「なんで??」と思われるかもしれませんが、決して手間を省くために省略しているわけではないのです。

壁のクラック逆に、マワリコと言う垢隠しがないので、石膏ボードを張る時点で壁と天井を隙間なくピッタリ納めなくてはなりません。つまり、余計な手間もかかってしまいます上、乾燥収縮の影響をモロに受けるのでこの写真のようにクラックが入ってしまう心配もあるわけです。

…と言うより、たいていの場合、多かれ少なかれこの部分のクラックは入ってしまいます。

「だったらなんでつけないの?」と思われるかもしれませんが、それは空間を広く見せるための「ひと手間」なんです。このよう部材は、意識しても意識しなくても常に視界に入ってきます。意図的にデザインした部材は別ですが、空間を構成する部材は多ければ多いほどゴテゴテとして野暮ったくなってしまいます。

ですから、「部屋を構成する基本的な線の数をできるだけ少なくしながら、合理的に作っていく」…と言うのが僕たち作り手の腕の見せ所でもあるのです。

引き算のモノ作りは意外と大変なんですが、シンプルな面で構成された部屋ってスッキリとして広々感じるものです。しかも、家具やファブリックなどがとても良く映えるので、部屋を好みのしつらえにカスタマイズするのもとてもやりやすくなります。

ゴテゴテした部屋だと、カタログや店頭なんかで惚れ込んで購入した家具が、いざ部屋に置いてみたらイマイチなんてことにもなりかねません。そんな思いもあって、少しのリスクと少しの手間ならば、このような家づくりにチャレンジしても良いのではないかと思っています。

そして今回…入居後1年以上経過しているということもあり、木材の乾燥収縮もほぼ収まっているので先日補修に伺ったというわけです。

壁の補修壁の補修補修のやり方は、内装用の水性コーキング材を細く充填して、固く絞った濡れ雑巾で軽く撫でてあげます。

今回は白のクロス貼りだったのでやりやすかったのですが、色モノや柄モノだと補修が困難な場合もあるので、そのような場合は基本に戻ってマワリコのある納まりにしておいた方が無難です。

3時間ほどの作業でしたが、お茶をいただきながらしゃべっている時間の方が長かったか…もしれません。久しぶりの訪問でしたが、とてもきれいに住んでいただいていて、作り手としても嬉しかったです。
小野
2014.02.03
先日のアートクラスですが…無事終了しましたんで、ちょっと遅れましたがご報告しときます。

とっても良いお天気でしたが風が強い日で、参加の子供達は「寒〜い」と言いながら逃げ込むようにアトリエに入ってきます。なにせ当日が初めて顔合わせなんで、どんな子たちが来るのか楽しみにしていたんですが、みんな元気でやる気まんまんです。みんなアトリエのアートクラスの常連さんなんで、僕よりも場馴れしていて、早速木で遊び始める子や絵本を読む子など、勝手気ままに開始の時間を待つわけです。

で、肝心なアヤ子先生ですが、この方もホント自由な方で、開始の時間になっても号令があるわけでもなく、おもむろに大きな紙に筆と絵具でなにか描きだして、その手元を子供達が興味しんしんに覗き込む。「おのさん みののたくみ」って、僕のこと書いててくれたんですね。しかも、ブチブチのいっぱいついた怪しげな字で。だいだい色の絵具は僕のイメージ!?だったんでしょうか…それを、ばーんとみんなに見せて紹介してくれたわけです。

アートクラスここからがいよいよ僕の出番です。どんな話をするかはその場の雰囲気で決めようと思っていたのですが、まぁこの感じだとみんな「早くやりたくて仕方がない」って感じなので、釘の打ち方や玄能の説明などを手短に。

それとあらかじめリクエストのあったカンナ掛けのデモンストレーションを少々。一通り体験もしてもらいました。あとはケガをしないための安全に関しての注意点を話して、いよいよ制作開始です。

今回アトリエの床を保護するために、12mm厚の合板を敷き詰めて、その中央に杉や桧、ヒバ、米松などの端材を山のように積んでおきました。材料は少しだと面白くないと思ったんで、四季の家工房で出た端材だけでなく、建具屋さんにも声を掛けて山ほど用意しました。

使いきれないほど大量の材料の中から、自分のイメージに合った何かを探して釘でつないでいく、あるいは釘で飾りつけする、やりながらまたイメージを膨らませていく…そんな風にできればいいなと思ったんです。

アートクラス子供達もいろいろなんで、どんどんいけいけで進んで行っちゃう子もいれば、材料を握りしめたまま動けなくなっちゃう子もいたりして、しばらくはほかっておくんですが、ちょっと声を掛けてあげると「これとこれをこうしたい」とか意思表示をしてくれるんです。

で、ちょっとだけ手伝ってあげて2本の棒がL型になると、更にその先にやりたいことが浮かんでくるんですね。材料を探してはあてがってみて、イメージに合わなければまた違う材料を探す…こんな繰り返しで、少しづつ形ができてきます。事前打ち合わせの時に、僕の不安を払拭してくれたアヤ子先生の言葉は本当だったんですね。

いろいろ立体的に形ができてくると、困ったことも出てくるんです。床に材料を置いて釘を打っていた時は良かったんですが、形が立体になってくるとどうしても横方向から釘を打つ場面が出てきたりもします。今まで力を入れて打てた釘が、今度は力が逃げてしまったり、今まで組み立てた部分を壊してしまったりと現実にぶち当たるわけです。

…そんな時もおじさんの出番ですね。補足材をあてて力を逃がさないようにする工夫や、下穴を開ける技を披露して、子供の作りたい気持ちをそこで止めないようにお手伝いしつつ、リスペクトのまなざしもちょこっと嬉しかったりもして…。

アートクラスそれとか、これまでは床に散らばった大量の端材から適当にイメージに合ったものを拾い出して組み立ててたのですが、形ができてきてイメージもいよいよ具体的になってくると、どうしても必要な寸法というものが出てくるんですね。

こういうこともあろうかとノコギリは用意してあったのですが、子供の方から「ここ切ってほしい」と言われるまでは、こちらから「切ろうか」とは言わないんです。でも1人言い出すと「私も、私も」って感じで、後半はだいぶノコギリおじさんとして忙しかったです。

こんな感じで2時間はあっという間に過ぎてしまいました。それぞれの作品を手に帰っていく子供達。ほぼほぼカンナ削りに没頭した男の子は、大量のカンナクズを大切に持ち帰ってくれました。

喉カラッカラですっげー疲れましたが、面白い経験をさせてもらいました。参加してくれた子供達、関係者の皆様に感謝!
小野
2014.01.22
ひょんなことから、造形教室の講師をお引き受けすることになりました。ご依頼いただいたのは関市にある「アトリエ・ニコリ」のアヤ子先生って方なんですが、子供達のアートクラスで木や釘を使って立体を作りたいってことで、「おもしろそう」ってだけで何も考えずに即答でお引き受けしてしまいました。

アトリエについて詳しくはホームページをご覧ください…ってぜんぜん詳しくないんで、僕の方からちょこっと説明を。この「アトリエ・ニコリ」がいつからあるのかは知らないのですが、ついこないだまで長い間お休みしていたそうです。

昨年の暮れに3人の子供の出産と育児を経てようやく再開されたとのことで、今年は再スタートの年になるわけです。そんな大切な時にお声を掛けていただいたんで、できることなら何とかお役に立ちたいですね。

が、しか〜し、アートクラスって何をやるんだろう??先週は染物をやったそうです。絵を描いたり、ごはんを作ったり、ヨガだったり、いろいろあるみたい。僕のお題は木と釘だけど、僕だってとりたててアートな人間でもないし、まぁ技術的なお世話をすればいいのかなっと軽〜く考えていたんです。

今度の日曜日が本番なんで、ちょっと打ち合わせをと思って先ほどアトリエを訪ねてきました。持ってく道具と材料とおおまかな流れだけ教えてもらえばいいかなっと思ってたんですが、「僕は何をすればいいんですか」の問いかけに「小野さんのやりたいように自由にやってもらえばいいですよ」ってニッコリほほ笑まれても…。「え〜っ、まじか??」みたいな…しばし呆然。

ホント、どうしたらいいかわからないんですよ。どんな子供が来るのかとか、どの程度道具持たせても大丈夫かとか、具体的に何か作るのだろうかとか、テーマは何かあるのかとか…「?」だらけなんですね。せっかく来てもらうんだから楽しんでもらいたいし、何か形にしてあげなくてはいけないのかなっていう職人的サービス精神もあるもんで、余計悩むわけです。

まぁ何かためしに作ってみようってんで、木片と釘とカナヅチでトントンやってみるわけです。アヤ子先生は釘とかカナヅチとか縁のない人なのですが、作りたい気持ちがいっぱいの人なもんで、けっこうな勢いでガンガンいっちゃいます。そばで見ていて怖いこと…指を叩かないかこっちがヒヤヒヤでした。

で、釘を打つと木が割れたりもするわけですよ。そしたら割れたとこを見て「オモシロイ」、釘がぐにゃっと曲がったら「ステキ」と目をキラキラさせるんですよ。すごい感性ですね。

こうやっていろいろやっているうちに偶然できた形から何か想像したり、何かのきっかけでイメージが湧いて発展させていったりして、子供ってそういう能力があるそうです。だから、あまり大人が意図して方向付けする必要はないのだそうです。ふんふん、なんだかすごく納得しました。うん、これなら何とかなりそうな気がしてきた。

ということで、1月26日(日)の午後1時から3時まで、「アトリエ・ニコリ」にてアートクラスやります。お問い合わせやお申込みは上記URLから「アトリエ・ニコリ」にお願いします。参加費は1人500円です。

アートクラス…ちなみに、これ僕の作品(?)ですが、アヤ子先生に言わせると「まとまりすぎててプロっぽくておもしろくない」そうです。これ以上柔らかくなれましぇ〜ん(涙)
小野
2014.01.01
あけましておめでとうございます。四季の家工房の今年のテーマは「断熱を極める」です。これまでも断熱に関してはいろいろ勉強会に参加したり、他の工務店さんの現場を見学させてもらったりしてアンテナを張ってきたし、施工も手間を惜しまず丁寧にやってきたつもりです。

なぜ今年のテーマとして「断熱」を掲げたかと言いますと…一般にはまだあまり周知されていませんが、昨年に省エネ基準が改正されました。改正はされたのですが、かなり大幅な改正なので一気に運用すると建築業界が大混乱してしまいます。

そこで、移行期間をおいて2020年に義務化となります。まぁ、あと7年あるんですが、これを「まだまだ先」と捉えるか「既に変化は始まっている」と捉えるかは建築屋さんによってそれぞれ違うでしょう。

四季の家工房としては、自分達の施工を見つめ直す大変良い機会だと思ってます。国の方も、今回の改正にあわせて断熱技術者を養成する仕組みを設けています。

既に昨年の暮れにはスタッフ、大工全員で施工講習会を受けに行きました。他の参加者の顔ぶれをみてみると、設計担当や現場監督は多いけど、実際に施工する大工が受講しに来ているのはまだまだ少数派のようでした。

今年は勉強と実践を繰り返す一年になりそうです。最終的な目的は「お客様のために住み心地の良い家を作りたい」…ただ、その一点です。本年も四季の家工房をよろしくお願いいたします。
小野