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四季便りバックナンバー
 
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2022.12.26
値上げ・値上げ・値上げ…今年ほど値上げに苦しんだ年はないでしょう。食品や光熱費など生活に直接かかわるものはもちろんですが、僕たち建築屋にとっては、建築資材の高騰がまともに大打撃だったわけです。

建築の価格って、大雑把に言ってしまうと「材料代」と「手間賃」ですよね。例えば、工事契約を結んだ後に材料の値上げとかが判明すると、工事代金に値上げ分を転嫁するわけにもいかず、結局差額分が手間賃に喰いこんできてしまう…。

僕たちの生活の基盤となる部分は、基本的にはこの手間賃からいただいています。そんな訳で、「なかなか激動の年だったなぁ」というのが素直な感想です。

そもそも、ウッドショックで「木がない!」ってところから一気に木材価格の値上がりが始まり、あれよあれよという間に「いくらお金を積まれても、無いものは無い!」みたいな状態まで追い込まれてしまって、今思えばこの辺りがボトムだったのですが、その後も供給自体はやや落ち着きを取り戻したものの価格は高止まったまま…という感じでこの年の瀬を迎えています。

もちろん、値上げラッシュは木材だけではなく、ほとんどすべてのアイテムで同時進行しているのは周知の事実で、影響を受けていないものを探す方が大変ですよね。

とまぁ、ぼやいていても仕方ない…逆に、こんな状況でも仕事を続けてこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。材料にも感謝。仲間にも感謝。なにより、お客様に感謝です。今年も一年ありがとうございました。来年も頑張りましょう!
  小野  
 
2022.11.29
とうとう…コロナに感染してしまいました。39℃越えの高熱の中、肉体的にも精神的にも普段とは違う状態で、夢と現実の間を行ったり来たりしつつ、いろいろなことを感じたり考えたりするもんです。せっかく(?)なので、そんな気分が冷めないうちに、思いついたことを書き残しておこうかと思います。

まずびっくりしたのが、「人間ってこんなに眠れるもんなのか」ってこと…何せ最初の3日間は熱が酷かったのですよ。39℃超えがずっと続いて、朦朧としながら寝落ち。目が覚めると2〜3時間くらいは経っていて、起きたタイミングで水分補給や食事。で、またすぐに眠ってしまいます。

次に、遠くの犬の鳴き声で目が覚めます。周りは薄暗くなっていて、どうも昼から夕方まで眠っていたようです。そう言えばこの感じ、前にも身に覚えがあります。数年前にインフルエンザで寝込んだ時も、この遠くで吠える犬の鳴き声を聞いたことがありました。

はて?これは、犬というものは毎日こうやって夕方に吠えているのだろうか?だとしたら普段これを感じないのは、こちらが忙しく動いているために犬の鳴き声など気にも止めていないってことだろうか?あるいは、たまたま僕が寝込んでいる時だけ鳴いているのか…みたいなことを考えているうちに、また寝落ちする…みたいなことを繰り返しつつ、夜は夜でがっつり朝まで眠るのです。

これまでの経験だと、これだけまとめて眠ることが出来れば翌朝目覚めた時には熱も下がり、なんだかちょっと真人間に戻れたようなスッキリ感を味わってきたのですが、今回のコロナはちょっと頑固でした。次の日も38℃後半あたりを行ったり来たりで、ぜんぜん「真人間」感が戻ってきません。

とは言え、少し熱が下がった分、覚醒している時間も増えてきて、そうなると今度は退屈な時間と戦うことになります。で、大好きな映画鑑賞でも…と思いつつAmazonプライムを開くんですが、これが全くダメでした。体が受け付けないというか、画面を見ること自体がとても苦痛で、2時間の映画など無理無理無理…とてもじゃないけど無理です。

「じゃあ、本でも読むか」と思っても、やはり活字を追うことにも苦痛を感じて、目を閉じてしまいます。「視覚からの刺激がダメなら耳を使おう」ということで、思いついたのが最近流行りの朗読サイトです。オーディオブックとかaudibleとかいろいろあるみたいですが、じっくり比較検討する気力はないので、とりあえず無料のところで試してみることにしました。

好みのタイトルを探したりで目を使うのもおっくうなので、とりあえず何でもいいから聞き始めてみました。女性の声で物語は始まりました。その声を元に頭の中に情景を投影したり、キャラクターのイメージを固めていったりします。…が、ん?固まらんぞ。

普段本を読む時は無意識のうちに脳内に場面が設定されていくものですが、朗読を聞くだけではなかなかそれらが像を結んでくれません。かなり積極的にイメージしながら聞かないと、いわゆる聞き流しでは全く何も入ってきません。

なんでだろう…朗読のフィメールボイスが心地良すぎて、理解する前に音として消費されていってしまうのだろうか?それとも体調からくる集中力の無さが原因か?または、朗読という表現そのものが僕に合っていないのか?この検証は体調が戻った時に、まだ朗読への興味が残っていればやってみたいと思います。

ということで最、後に残るのはやっぱり音楽ですね。こちらはいつものSpotifyで。音楽はいいですねー。どんな状態でも受け入れられます。流石に大音量で聞く気にはなれないので、小さな音を枕元で流す感じがいいです。最近の履歴の中から、トム・ウェイツを聴きながら再び夢の世界に行っちゃいます。 という感じで朦朧世界に戻ってきましたが、朦朧世界でトムウェイツを聴きながら考えたことをひとつ。

今回のコロナにかかったことで死ぬ気は全然していないのですが、体力や気力が落ちた時って死が少し身近に感じられたりするものです。人間って死ぬ間際、全ての感覚がなくなって最後に残るのが聴覚だという話を聞いたことがあります。だとしたら、その最後の時間を好きな音楽の中で過ごせたら素敵だなぁと思います。

そのためにはちょこっと仕込みが必要ですね。まずはプレイリストを作らねば。青春時代から現在に至るまでに出会った曲たちの中から厳選して…何時間くらいにまとめれば良いのだろう?あまりにも短くてリプレイを繰り返すのもどうかと思うし、かと言って長時間過ぎて最後まで聞けないうちに逝ってしまうのも悔しいし。

そして、これを家族に周知徹底することも必要です。僕とカミさんでは音楽に対する熱量が違うので、事の重要さを説いておかなくてななりません。何かのついでに流してくれれば良いって言うものではなく、最後に人生を振り返るために必要な仕掛けである…ということを理解しておいてもらわないといけないんです。

あれっ?ちょっと待てよ。これって最後は家族に看取られるって前提になっているけど、必ずしもそんな絵に描いたように事が進むとも限らない…と思ってたら、良いことを思いつきました。そういうアプリがあればいいんじゃないですか!

プレイリストはあらかじめスマホの中にあるとして、時限装置付きのプレイボタンがあれば良いのです。次元装置をどのような設定にするか?ですが、例えば24時間スマホに触れなかったら自動再生されるとか。それか、規則正しい生活をしている人なら、毎朝8時にスマホに触れなかったら再生する…みたいな設定で。

そうすれば、道で倒れて危篤状態で運ばれたとしても、急にスマホからご機嫌な音楽が鳴り出したら、近くにいる誰かが気づいてくれるはずです。その時、画面に「最後の時間を音楽とともに過ごしたいので枕元に置いてください」とかメッセージが出ていれば、きっと助けてくれる人はいるはずです。

全然関係ない時に勝手に鳴り出したらどうするんだ?という心配もありますが、元気な時なら笑ってそのまま聞くもよし、止めるもよし。今の僕みたいに風邪かなんかで寝込んでる時に鳴り出してしまったとしても、まぁそもそも大好きな曲がかかるだけなのでそんなに問題はないかと思います。そこは、エンディングノートアプリみたいな重さはないので大丈夫でしょう。

ってことで、僕はアプリの作り方とか全くわからないので、後はどなたかにお任せします!では、まだ2〜3日は隔離が必要な身なものですから、もう少しお休みをいただきます。四季の家工房はやってますのでご心配なく!
  小野  
 
2022.09.28
夏休みの話が途中のまま…ぼんやりしているうちにすっかり秋っぽくなってきてしまったので、ちょっと慌てて後半を。

で、二日目…まずは早起きして、目の前の海で魚釣りです。僕の釣りのスタイルは、「手漕ぎのシーカヤックを浮かべて、ちょこっと沖まで漕ぎ出ての釣り」です。今回の狙いはシロギスで「あわよくば釣れたキスを餌にしてヒラメなんか釣れちゃったら嬉しいな」と思っていたのですが、シロギスは全然釣れず…かわりに小ぶりの鯛と極彩色のベラも釣れてきます。

このベラって魚は「色がカラフル過ぎてなんだか気持ち悪い」ってことで釣りをする人からは嫌われてるのですが、実はけっこう美味しい魚でして塩焼きや刺身なんかでもいけちゃいます。と言うことで、3時間ほど釣りをして数もまあまあ確保しまして、本日の釣りは終了です。釣った鯛とベラは低温の油でカリカリになるまでじっくり揚げて、翌日全部バリバリとたいらげました。

おなかが減ったところで、民宿に戻っての朝ごはんです。早朝から3時間フネを漕いで腹ペコになったところに、魚、メシ、みそ汁!これまた漁師民宿ならではの朝ごはんがたまらないっす。いつも釣りに来るときは、夜中に走って、夜明けから釣りをして、昼前には上がって帰路を走り、晩ご飯に間に合うように釣れた魚をさばく…というタイトスケジュールに楽しみを詰め込んでいるのですが、体力的にはこれがけっこうキツイのです。その点、今回のように宿があると気持ちにも余裕ができて良いですね!

帰路は三方五湖の湖畔にある若狭三方縄文博物館に立ち寄ってみました。ここ、いつも釣りの帰りに素通りしつつ「いつか寄ろう、いつか寄ろう」と思っていた場所なんですが、なにせ心に余裕がないもんで、「どうせまた来る機会はあるし…」ってことでいつも素通りとなったままだったのです。だったら今回は外せないってことで、念願かなっての(?)来館となりました。

まず僕の興味を引いたのはその建物のいでたちでして…建物には違いないのですが、どう見ても小山にしか見えません。まぁるい芝山のあちこちからコンクリートの円柱がにょきにょきと飛び出しており、それは巨木の株にも見えるし要塞にも見えるし…とにかく異様な光景なのです。

入口がどこなのか判然としないのもおもしろく、山を登ったり降りたり、山すそを巡ったりしながら入口に到達します。もちろん入口への最短ルートもあるのですが、ここは作者のワナにはまってみるのも楽しみで、ゆっくりと時間をかけて縄文時代にトリップする感覚を味合わせていただきます。

で、中へ…胎内を思わせる小山の内部は、円柱に支えられたコンクリートのドームになっています。ドームの天井にはところどころにトップライトが設けられ、円柱をなめるように静かな光が落ちてきています。どうやら小山からにょきにょきと突き出していた円柱は、このトップライトだったようです。巨木の森林に入り込んだと言うか、大聖堂の中と言うか、暗いのだけど暗くない、明るいのだけど明るくない…そんな絶妙な塩梅で、縄文の世界に入り込むわけです。

展示品はと言うと、近くの鳥浜貝塚で発見された数々の出土品をはじめ、各地の縄文土器など、展示品の数はそれほど多くはないのですが、気負わずに見るにはちょうど良いくらいの展示数でした。中でも僕の興味を引いてくれたのは丸木舟です。当時、最先端の技術で作られた夢の乗り物「丸木舟」!このフネに何人乗って、どうやって漕いで、どうやって漁をしたのか…そんなことを想像するととてもわくわくしてきます。

そして、見たかったのに見れなかった物も…この博物館に収蔵されているのに、毎年公開期間がほんのわずかという漆塗りの木の櫛。今回は公開期間ではありませんでした。う〜ん、下調べの悪さ…と反省。この櫛、実は僕が木の仕事をしようかどうか迷っていた頃にいろいろと木に関する本を読みまくってまして、その時に印象に残っていたものの一つなんです。

6000年前の木製品に、同じく木由来の塗料であり接着劑でもある漆を塗った櫛…その赤い色が今も鮮やかな赤であり続けることの凄み。縄文人があえて櫛を赤く塗ったその美意識にも感じるものがありました。もしかしたら、ほんのちょっとかもしれないけれど、僕が木の仕事を選択するきっかけの一部になっているのかもしれない、あの時に本で見たあの漆をじかに見られるのかと思ったら…残念、見れなんだ。と言うことで、レプリカだけ眺めてきました。

この縄文博物館、来てよかったとは思うのですが、残念だったのがなんかちょっと雑然とした感じが目に入ってしまい…。メインの展示は良いのですが、例えば通路にある台やちょっとした細かいところがなんというかチープな感じを受けてしまって、そんなこんなが目に入ってしまうとせっかくの縄文気分が現実に引き戻されたりして…。運営としてもう少し細やかに気を配れば、建物がもっと活きるような気がしました。

ところで、縄文博物館の裏手に年縞(ねんこう)博物館ってのもあるらしい、というかできたのは割と最近みたい。そう言えば、この横は何度も通っているので見かけてはいるのですが、何やら工事をしていたのは記憶にあります。この両博物館の共通入場券ってのがあるそうで、両方見学すると割引もあるとのことでした。建物も魅力的なので、「じゃ、見ておこうか」ということで行ったらびっくり、たいへん!来てみて良かった!

建築屋としてはまずは建物に目が行ってしまいます。何といっても特徴は…長〜いのです。水平が強調された長い建物が宙に浮いている感じ。正確には2階建てなのでしょうが、印象としては細長い平屋を宙に浮かせて、一方は建物で支え、反対側の一方は縄文博物館に対比させるがごとく小山で支えられています。木とコンクリートと鉄で作られた構造はとてもシンプルで、まったく無駄がなく、見ているだけでも気持ちの良い建物です。

ただ、シンプルで無駄がないってことは、作るのが簡単かというと実は真逆で、とても複雑な工程を踏まないと実現できるものではなく、目には見えない(と言うか見せないようにしている)納まり上の工夫や手間が詰まっていることと思います。

さて展示物ですが…入館するとまずシアターに通され、そこで数分間のビデオを見ます。ここでようやく「年縞」の意味、そしてこの建物が細長い意味を知ることになります。本当は行ってもらいたいのですが、とりあえず僕の言葉で簡単に説明しますと…三方五湖の一つに水月湖って湖があるのですが、ここが世界でも稀な奇跡的に条件が整った湖だそうで、水深がそこそこあって川の流入がない。ということは、湖の水が拡販されることがないってことを意味します。そして、日本には四季があるってことがとても重要です。

どういうことになるかと言うと、毎年花粉や木の葉が落ちて、やがて湖の底に沈みます。水深の浅い湖なら風の影響で水が攪拌されたり、川があっても水が動いてしまいますが、水月湖の水はそれらの影響を受けず、毎年順番に沈殿物が静かに堆積していきます。それが積りに積もって7万年分、層の厚さにして45メートルにもなりました。

そこに目をつけた研究者がいて、ここをボーリング調査したのです。ボーリングってのは僕たちの建物の地盤調査でもやることがあるのですが、要は「管を垂直に打ち込んで地中のサンプルを採取する」調査です。この水月湖の45メートルのサンプルを調べたら、7万年分の縞々が見つかったってわけなのです。そして、この7万年分のサンプルを横にして展示したのが、この「年縞博物館」です。細長〜い建物の意味はここだったのですね。

この7万年の縞々を解析すると、7万年間の気候が全部わかるんです。世界中の考古学のものさしになると言うのだから、この発見には実はすごい意味があるのです。ここに来れば、解説付きで7万年のタイムトラベルができるんです。「ただ泥の層を切り取っただけ」と言ってしまえばそれまでなのですが、建物の力も相まって見るだけでも美しいのですよ、これが。

規則正しく連続する屋根の架構と7万年の時との対比…ぜひ一度味わってみてください!
  小野  
2022.09.06
お盆にあまり休めなかったので、夏休みも仕切り直しということで北陸に行ってきました。目的地は若狭の小浜周辺です。この辺りは年に何回かは魚釣りに行っているのですが、いつも夜駆け朝討ち(夜走るもんで)の強行軍で、釣りをしている時間以外は移動している時間です。

なので、知っているようで何も知らない…何度も足を運んでいるので「案外おもしろい所もありそう」ってことも小耳にはさんだりしているので、今回はカミさんと二人旅ってこともあってちょっとゆっくり廻ってみることにしました。

まずは小浜までひとっ走り。高速道路が伸びたので、岐阜からでもとても近くなりました。…とは言っても、いつもの夜駆けの時はした道なのですが…。で、「GOSHOEN」というカフェでモーニングコーヒー。このお店は江戸時代の北前船の回船問屋の建物をほぼそのまま使っていて、玄関からして格調高い!なのに、中に入ると北欧風の家具が置かれたとてもウェルカムな雰囲気で、「あ、なんかイイなこの空間」というのが第一印象です。

なるべく建物の原型を残しつつ最小限に手を加える…この最小限ってのがとっても難しいのは、同業者ですからよくわかるんです。手を加えまくっちゃえばなんとでもなるのですが、そうするとせっかくの建物が台無しになってしまうし、「古いまま残せばよい」と言ったことでもありません。

この建物をカフェとして生き返らせようと決意した方、どうやったら生き返らせることができるか計画をした方、実際に手を使って生き返らせた方、そういった人たちが建物に敬意をはらいながら、丁寧に手を入れていったことが感じられる…そんなお店です。小さな図書館やコワーキングスペースもあって、ヨガやフリーマーケットなどのイベントもやっているそうです。奥には蔵があって、今はまだ閉鎖されていますが、いずれギャラリーになるとのことで楽しみですね。

この回船問屋もそうなんですが、小浜ってお寺がたくさんあるんです。地形的に言って京都の真北、京都から一番近い港が小浜なので、当時は国内の海運だけでなく中国や朝鮮との交易の玄関口でもあったわけで、国際港としてそれはそれは賑わったことと思います。由緒ある神社仏閣が多いのは、経済的にも潤っていた証です。

…と言うことで、どこに行こうか迷ったけど、「GOSHOEN」さんから比較的近い羽賀寺に参ることにしました。
京都や奈良と違ってとにかく人が少ない…というかいないってのが良いです。誰もいない石段を昇ると、檜皮葺きの美しい屋根のラインが目に入ってきました。檜皮葺きというのは、桧の樹皮を何層も重ねて噴き上げていく屋根でして、端部はシュっとしているのに柔らかみとぽってりとしたボリューム感があり、とてもきれいな屋根です。

施工は大変でしょうね〜…薄い桧の皮の部分を何十層と重ねていくので、果てしない作業です。そういう果てしない作業で作られた集合体の美って、素晴らしい!しかも、これが30年も40年も風雪に耐えてくれるって、スゴイの一言です。ちなみに…一度皮をはがされた桧の木は10年そこそこで再生して、再び皮を供給してくれるそうです。境内や裏山には檜皮供給用の桧の林も保全されているそうですが、やっぱりスゴイですね〜!

そんなことを思いながら本堂を眺めていると、中に人影が…。誰もいないと思っていたのですが、ちゃんと解説員の方がおみえでした。中に入って仏像を拝観できるとのことで、せっかくここまで来たのだからということで、拝観料を払ってお話をうかがうことにしました。一通り説明を聞いた後、質問したりしているうちにだんだん話が盛り上がって、気が付いたら小一時間こちらのお寺でお世話になってしまいました。

こんな感じでお寺を巡って、その日は漁師さんの民宿にお泊りです。漁師ならではの珍しい魚の料理を「もう喰えん」と言うほど食べさせてもらって、1日目はここまで。後半の話はまた今度…と言うことで。あ、写真はないんです。デジタルデトックスを兼ねてスマホはクルマに置き去りにしました。って、普段からスマホ忘れて出掛けても平気な人間なので、デトックスの必要ないかもしれませんが…。

どんなとこか興味ある方はご自身で検索してみてください!
  小野  
 
2022.08.08
お盆ではありますが…見学会を開催いたします!お盆休みど真ん中のこの時期に、このような催しを行ったことはないので迷いました。他の建築屋さんでも、この時期の見学会はあまり例がないみたいです。正直、このタイミングしか日程調整ができなかったのです。

はたしてこの日程がご来場のお客様にとって良いのかどうか…「お盆休みは予定があるので無理」ってことも考えられるし、「コロナ禍でどこも行くあてないし、近場の見学会行ってみようか」ってことも考えられるし、だいぶ迷ったのですが「わからないことはとりあえずやってみよう」という自分なりの行動規範?に則り、計画をしてみました。

ちょっと無理があるのは承知の上で、それでもやっぱり「見てもらいたい」というのが作り手としての本音です。ぜひお付き合いただけるとありがたいです。

構造とか断熱とか、そう言ったベーシックな部分は基本的には仕様を決めていますが、毎回「違う条件」「違うご要望」の中で建物を作って行きますので、もちろん同じような建物はありません。毎回見どころとか工夫した点とかは違ってきますが、最終的にカッコよくまとめるのも腕の見せどころです。ご要望どおりに作ったら「要素としてはそろったけど、なんかカッコがイマイチ…」では、愛着の湧く建物にはならないのではないかと思います。

なので、ヒヤリングを重ねてお客様が希望しているイメージを引き出しながら、「できること」「できないこと」「やるべきこと」「やらない方がよいこと」「できたらいいなぁ〜ということ」などを考えて、時には良い方向に期待を裏切ったりもしながら、最終的に喜んでもらえるように作り上げていきます。そうやって出来上がった建物なので、完成した建物を眺めながら毎回「いいなぁ〜」とうぬぼれているのですが、今回の建物もなかなかカッコよく出来上がりました!!

なので、ぜひ「見てもらいたい!」ということで、お盆ではありますが以下の内容で見学会を開催いたします。この機会に、四季の家工房の作る家を一度ご覧になってみてください。

開催日 8月13日(土)、14日(日)
時間 10:00〜15:00 (1時間区切りで各日程4枠)
所在地 岐阜県山県市高富

「建物の概要」
コの字型をした木造平屋建ての住宅です。コの字の中心はお庭になっていて、敷地内の他の建物にも囲まれてプライバシーが守られています。お庭を横切るように、ハンモックを吊るすフックも設けてあります。

外観は真っ黒のガルバリウム鋼板の外壁に、杉板の軒裏がとてもよく映えます。そして深い軒の屋根も真っ黒です。この深い軒も僕たちが家づくりで大切にしているポイントです。軒の無いキューブ状の住宅が流行っていますが、これは確かシンプルでカッコいいのですが、やっぱり日本の家にとって「軒」は大切な装備だと思います。軒があってもカッコいい家は作れる…というところも見ていただきたいポイントです。

今回使った黒いガルバリウム鋼鈑は、黒にこだわって、黒の中でも特に黒い漆黒のものを採用しました。窓枠や雨どい、換気扇のフードなどの小物類まで、外部にとりつく物はすべて黒に統一してあります。

完成見学会室内の素材は、杉板と漆喰が中心になっています。リビングダイニングに面した大きな窓には障子がはめ込まれていて、外からの光を柔らく広げてくれます。

その光を漆喰の壁がさらに柔らかく拡散してくれるので、室内はとても穏やかな明るさです。さらにこの窓は全開口することができるので、お庭と一体になるとても開放的な空間を味わうことができます。

それと…あまり多用するとくどくなるので、ほんの少しではありますが、空間を和らげる工夫として「曲線」も採り入れてあります。木と漆喰の気持ちの良い空気感や曲線が与える穏やかさなどを、実際に建物の中に入って感じてみてください。
>> 現場見学会の詳しい情報はこちら
  小野  
 
2022.07.12
強烈に違和感を感じていることがあります。

「民主主義への挑戦」…多くの政治家やマスコミがこの言葉を唱えますが、あのイデオロギーのかけらもないような、本当にどうしようもない行為がはたして「挑戦」だったのだろうか…。それとも、悲しみや怒りを表すために、つい口をついて出てしまった言葉が「挑戦」だったのだろうか…。

「挑戦」という言葉の中には強い意志を感じますが、今回の蛮行にはそんな意志も、崇高な理念も何もあったものではありません。もちろん、崇高な理念があったとしても暴力は許されるものではありませんが、犯行の動機の一報を聞いた時は「なんでもないのに撃ったのか」と、めまいがするほど驚きました。そして喪失感しか残っていません。

この場で政治について発言することはあまり適切ではない…ということは承知の上で、今回だけは一言だけコメントさせてください。僕が子供のころ初めて覚えた総理大臣のお名前が佐藤栄作首相でした。その後、いろいろな方が首相をお務めになられましたが、その中でも安倍晋三元首相は僕にとってはナンバーワンの日本のリーダーでした。

多くの功績や、逆にうまくいかなかったこともありますが、特筆しておきたいのは「拉致問題にこれほど向き合った方はほかにいなかった」ということです。僕の記憶も曖昧ですが、確かまだ政治家になる前…父上の秘書をしている時からこの問題に真剣に取り組み、ライフワークのようにずっと続けてこられていました。被害者のご家族のコメントや手記などからも、安倍さんが本当に寄り添って尽力されていたことをうかがい知ることができます。

拉致問題は票になりません。ですから、拉致問題に関心を示さない国会議員はたくさんいます。今回の参議院選挙でも話題にすらなりませんでした。でも、拉致って誘拐ですから!国家ぐるみで犯罪を犯して、さらっていった同胞を取り戻せないてのはいったいどう言うこと??

今、これを書いている時に、岸田総理大臣の記者会見のニュースが流れてきました。「安倍元総理の思いを受け継ぎ、特に情熱を傾けてこられた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んで参ります」とのことです。是非、そのお言葉を忘れないように国のかじ取りをお願いしたいと思います。

安倍元首相のご冥福をお祈りいたします。
  小野  
 
2022.04.05
この仕事をやっていて、嬉しい時ってどんな時だろう…。しんどい思いと同じくらい嬉しいことってあるものですが、中でもリピートでご依頼をいただくことって、本当に嬉しいものです。

僕たちの仕事って扱う金額が大きいもんで、食べ物屋さんですとか物販のお店のように、いわゆる「常連さん」に支えられるご商売とはイメージが違って、リピートのご依頼ってそうちょくちょくあるわけではないのです。なので、久しぶりにご連絡をいただくときなどはお客さんの方もやや探り探りの感じで、「覚えてないかもしれませんが…〇年前にリフォームしてもらった〇〇ですが…」みたいなお電話をいただくことがあります。

いや、まったく申し訳ございません。お客様にそんな疎遠感を抱かせてしまっているのは、まったくもってこちらの出不精が原因なのですが、覚えていない訳などゴザイマセン!小野と宇佐美で担当するお客様が違うので、自分が対応しなかった工事については正直なところすぐにピンっと来ないこともありますが、だいたいちょっと話すと「ああ、あの時のあの現場ね」って感じで思い出します。

小さな工務店なのでほぼほぼ仕事の実働はすべて全員で共有しておりまして、それが小さいなりのメリットでもありますが、やはり計画段階から濃密にやり取りさせていただく場合と、すべて決まった後で作業にだけ伺う場合とでは、多少印象の残り方が違ってしまうのはなんとも致し方がなく…。

今回、20年ほど前にリフォームをやらせていただいたお客様からリピートのご依頼をいただきました。とにかく、ひたすら嬉しいです!このリフォーム…僕が独立して一人で仕事を始めた当初の仕事でして、いろいろな挑戦をさせていだき大いに学ばせていただいた思い出の深い建物です。

小屋裏の棟札には、なんと江戸末期の年号が記されています。昭和の時代に現在の場所に移築され、いくつもの世代をまたいで大切に使われてきた形跡があちこちに感じられました。さて、そんな建物の先回のリフォーム…先回と言っても20年前ですが、その時の様子は施工事例からご覧していただけます。

建物の機能的なことや設備とか導線には手を付けず、来客やくつろぎのためのギャラリー空間のようなスペースを作ると言った、プラスα型のリフォームだったのですが、時を経た今回のリフォームの目的は「老後の暮らしやすさ」に焦点を当てた「問題解決型のリフォーム」です。

家族構成の変化やご自身の加齢など、この20年でいろいろなことが変化しました。これからも続く変化に備えて、たぶんこのお客様の世代では最後のリフォームとなる今回、具体的にどうするのかと言いますと…大きく二つの方針を立てました。一つは、断熱して居心地の良い温熱環境を作ること。もう一つは、お風呂やトイレ、床暖房などを最新の設備に更新して、歳を重ねても安心して暮らせるような機能を持たせることです。

この家…なにせ広いんです。広い建物をなんとなく漫然と使ってしまうと、生活に必要ないろいろなシツラエが散らばってしまいます。結果、生活同線が長くなり、また暖房もあちらこちらで局所的な暖房を都度使うことになり、効率が悪いばかりではなく大きな温度差は高齢者にとって危険な領域だとも言えます。

「建物で一番危険な所はどこ?」という問いに対して、なんとなくイメージとしては「階段」とか思いつくかもしれませんが、ダントツナンバーワンに事故が多いのは、何といっても脱衣場を含むお風呂でのコールドショックなのです。

今回のリフォームでは広い建物の中に程よいサイズの空間を作り、その空間とその他の空間を断熱的に仕切ります。そして仕切られた空間の中に、生活に必要な寝室や水回りをコンパクトにまとめて、いわば「温熱環境のシェルターを作る」というのがコンセプトです。

これを文字通りに読むと「なんだか窮屈で風通しの悪い空間」をイメージするかもしれませんが、シェルターのように利用してもらうのは本当に寒さが厳しい時期だけで、それ以外の気候の良い時は開け放って使ってもらえれば日本家屋の良さはちゃんと残せると思います。

本格的に工事が始まるのは5月の連休明けを予定していますが、現在その前段階の準備作業として、リフォーム時の家財を仮置きするスペースを確保したり、5月のシロアリ飛翔のシーズンを前に駆除作業をするなど着々と準備を進めています。
  小野  
2022.01.24
カフェ カフェ山県市の四季の家工房のすぐ近くに住宅を改修したカフェをつくりました。

「こかげ」さんと言いまして、字のごとく木々囲まれたお庭の中にたたずむお店です。そして、そのお庭は川に面していて、のんびり過ごすには本当に最高のロケーションです。

で、お店のご紹介をしたいのですが…実はまだオープンしてないんです。と言うのも、ここのオーナーさんはご自身でお店を切り盛りするのではなく、「いろいろな人にシェアして使ってもらえるようなスペースを提供したい」をコンセプトにこのお店をつくられました。そしてご自身はお庭づくりに専念できるように、現在出店希望者を募っているところです。

「カフェをやってみたいのだけど、お店を構えるのはちょっと…」

「週に一日だけお店をやってみたい…」

そんな方がみえたらお引き合わせいたしますので、四季の家工房までご連絡ください。場所は美山中学校から上流方向に車で3分くらいのところです。厨房器具やテーブル、駐車場なども整っていますので、条件さえ合えば割と短時間で開店できるかも!
  小野  
 
2022.01.01
あけましておめでとうございます。

終わらないコロナ禍、値上げラッシュ、国際的にもきな臭い話ばかり報じられています。僕たちのほんの小さな建築現場の、ほんの些細な出来事のひとつひとつが、そうした世界の動きに影響を受けている…ということを実感した昨年でした。

今年もまだまだ明るい兆しは見えてきません。ですがそれでも、年はあけるもので、新しい年を迎えるということは清々しく、何はさておき感謝の気持ちでいっぱいになります。

僕たちの仕事は家をつくることです。ほんの小さな力かもしれませんが、良い家を残し、住む人に幸せな人生を送っていただく。そして、幸せな人が増えると社会も豊かになる。そんな循環を願い感謝とともに今年も励みます。

本年もよろしくお願い申し上げます。
  小野  
 
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